成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 レジアンナがコロコロと楽しそうに言った言葉に、事情を知らなかったお付きたちが動揺し、クラリーチェが恥ずかしそうに言った言葉に、オリバーが顔色を悪くした。

「お嬢様……」
「ちょっとした出来心で……」

 嗜められるように声をかけられ、申し訳なさそうに身体を縮こまらせるリアーヌ。
 リアーヌは発言自体を咎められたと勘違いしていたが、オリバーとしては公爵家のお嬢様が信じてしまうほどのウソを軽々しく口にしないでほしい……という懇願だった。
 ――正しく伝わることは無かったが……

「リアーヌ様ったらすごく真面目な顔で仰るものだから……」
「ビアンカ様だって本気になさってしまって……」
「手を伸ばされた時は慌てて止められていらっしゃったわ?」
「……お恥ずかしいですわ」

 饒舌に語られる自分の失敗談に頬を染めるビアンカ。
 それを庇うように声を上げたのはレジアンナだった。

「あれはリアーヌが酷かったのよ。 冗談ならもっと冗談のように言わなくては」

(違うんだよ……あれは途中まで真顔で「――なーんてね!」でオチがついて笑いとして成立するはずだったんだよ? なのにビアンカがボケにボケで対抗してくるから……!)

「――本当に酷いと思うわ?」
「ーーすみませんでした!」

 ビアンカからの正式な苦情を受け、リアーヌは誠心誠意謝罪の気持ちを表し、頭を下げた。

「まったく……」

 その謝罪を受け、ビアンカが呆れたように肩をすくめると、周りの友人たちもクスクスと笑い声を漏らし始めた。

「ーーでも、本当に楽しかったわ」

 レジアンナのしみじみとした言葉にクラリーチェや友人たちが口々に同意する。

「……とっても」
「ふふっ きっととても叱られますわね?」
「ーーそれでも平気なくらいには楽しかったですわ?」
「ええ、ええ! 本当に!」

 そんな興奮しきったご令嬢たちを眺めながら、オリバーは頭を抱えながらボソリと呟く。

「ヴァルム様になんと報告すれば……」
「……いつも通りつつが無く、とか……?」
「……バレますから」
「ーーみなさまで仲良くバラを鑑賞なさっておいででした。 とか」
「……ずいぶん言い回しがお上手になられましたね?」

 呆れたように笑いながらも、その態度にどことなく誇らしさを感じ取り、リアーヌは目を輝かせた。

「いけますかね⁉︎」
「いけないんですけどねー。 ヴァルム様にそんなごまかしは通用しないんでー」
「あああ……やっぱり……」

 情けない声を上げてガックリとうなだれるリアーヌ。
 そんなやりとりを見つめていた友人たちは、クスクスと笑い合いながら顔を見合わせ、そしてやはり楽しそうに口元を隠しながらコロコロとした可愛らしい笑い声を上げた。
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