631 / 1,038
631
しおりを挟む
「ーー理由を聞きたい」
パトリックの答えにすぐに反応を見せたのはレオンだった。
そう声をかけられたパトリックは一度フィリップを見つめ、フィリップが軽く頷くのを確認するとようやくレオンに向き直った。
「クラリーチェ様だけならばリアーヌ嬢といい関係を築けると思いますが……その周りがどう判断するかまでは……」
その答えにレオン、そしてエーゴンがわずかに顔をしかめる。
確かにクラリーチェの周りを固める友人たちは、茶会で時折目撃するリアーヌの砕けた喋りかたや態度がクラリーチェに向けられるのを良しとはしないだろう。
レオンたちにはそんな確信めいた予感があった。
「ーー今回の計画は時期尚早だっただろうか……?」
肩を落とし、ソファーに沈み込むように背中を預けたレオンは小さく呟くような声でたずねる。
「――必要な確認だったと思っているよ。 今でもね」
レオンを労るように答えるフィリップ。
この言葉にウソは無かった。
――無かったが、時期尚早だと言ったレオンの言葉にも同意している自分もいることをフィリップは感じていた。
――もう少し丁寧にリアーヌやボスハウト家を調べていれば対応は変わったのではなかろうか……――本当に自分たちはリアーヌが陛下の従姪だという事実を軽んじてはいないのか?
王子であるレオンが望んだとはいえ、自分が公爵家の人間だとはいえーー自分たちの選択は本当に間違いでは無かったのだろうか?
フィリップの頭の中ではそんな考えが後から後から湧き上がってきていた。
「……あの女の暴走は放置できない。 ましてやボスハウト家や王妃と組まれるのも厄介だ。 強引だったことは認めるが、悠長にしていられる問題じゃないんだ……ーー今も尚ね……」
「……彼女でないならば――あの女狐か」
レオンは王妃の顔を思い浮かべながら憎々しげに吐き捨てる。
自分の素性は陛下やパラディール公爵家が隠したものだ。
そこにミストラル公爵家まで加わり自分を隠しているーー
つまりはこの事実に触れるということはそれら全てを敵対することに他ならない――
それが分からぬ者などこの貴族社会にはおらず――自然と情報元は限られていく……そして、ボスハウト家がその候補から外れた今、その可能性は自分の母を追いやったあの女でしかないーー……レオンはそう考えていた。
「本当にあの女の目的が分からないね……あちらと手を組んでいるのにどうしてこちらに接触するのか……ーーあんな態度でハニートラップということも無いだろうしねぇ……?」
パトリックの答えにすぐに反応を見せたのはレオンだった。
そう声をかけられたパトリックは一度フィリップを見つめ、フィリップが軽く頷くのを確認するとようやくレオンに向き直った。
「クラリーチェ様だけならばリアーヌ嬢といい関係を築けると思いますが……その周りがどう判断するかまでは……」
その答えにレオン、そしてエーゴンがわずかに顔をしかめる。
確かにクラリーチェの周りを固める友人たちは、茶会で時折目撃するリアーヌの砕けた喋りかたや態度がクラリーチェに向けられるのを良しとはしないだろう。
レオンたちにはそんな確信めいた予感があった。
「ーー今回の計画は時期尚早だっただろうか……?」
肩を落とし、ソファーに沈み込むように背中を預けたレオンは小さく呟くような声でたずねる。
「――必要な確認だったと思っているよ。 今でもね」
レオンを労るように答えるフィリップ。
この言葉にウソは無かった。
――無かったが、時期尚早だと言ったレオンの言葉にも同意している自分もいることをフィリップは感じていた。
――もう少し丁寧にリアーヌやボスハウト家を調べていれば対応は変わったのではなかろうか……――本当に自分たちはリアーヌが陛下の従姪だという事実を軽んじてはいないのか?
王子であるレオンが望んだとはいえ、自分が公爵家の人間だとはいえーー自分たちの選択は本当に間違いでは無かったのだろうか?
フィリップの頭の中ではそんな考えが後から後から湧き上がってきていた。
「……あの女の暴走は放置できない。 ましてやボスハウト家や王妃と組まれるのも厄介だ。 強引だったことは認めるが、悠長にしていられる問題じゃないんだ……ーー今も尚ね……」
「……彼女でないならば――あの女狐か」
レオンは王妃の顔を思い浮かべながら憎々しげに吐き捨てる。
自分の素性は陛下やパラディール公爵家が隠したものだ。
そこにミストラル公爵家まで加わり自分を隠しているーー
つまりはこの事実に触れるということはそれら全てを敵対することに他ならない――
それが分からぬ者などこの貴族社会にはおらず――自然と情報元は限られていく……そして、ボスハウト家がその候補から外れた今、その可能性は自分の母を追いやったあの女でしかないーー……レオンはそう考えていた。
「本当にあの女の目的が分からないね……あちらと手を組んでいるのにどうしてこちらに接触するのか……ーーあんな態度でハニートラップということも無いだろうしねぇ……?」
28
あなたにおすすめの小説
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
モブ令嬢は脳筋が嫌い
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる