【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 ゼクスの言葉にホッとしたように、えへへーと笑うリアーヌに、ゼクスもへにゃりと笑い返す。

「ったく……ーーそれで? 荷物は兄ちゃんが持つのか?」
「それは俺たちが」

 店員の言葉に反応したのはゼクスの護衛たちだった。

「ーーおう……?」

 一歩進み出したその護衛に大きな荷物を受け渡しながら、店員は首を傾げた。
 その護衛が荷物を肩に担ぎ、馬車は運ぶ背中をチラリと見つめながら、ゼクスはにこやかな笑顔を浮かべながら、その店員に話しかけた。

「ーーついでに俺も買っていっていいですか?」
「……今日は厄日かよ……」
「もちろん……同じ値段で構いませんよね?」
「兄さん、そりゃーー」
「おや……それじゃ……昼食が遅くなっちゃうかなぁ……?」

 ゼクスは芝居が勝った様子で眉を下げ、言外に「希望額になるまで俺も粘りますけど?」と伝える。
 店員は思い切り顔をしかめながら再び髪を掻きむしる。

「あーもう……なんつー客に捕まっちまったんだか……ーー嬢ちゃんより少ねぇなら諦めな。 ありゃ少なく見積もっても大袋五以上になったからこその値段だ」

 手をパタパタと振りながらぞんざいな態度で言う店員。
 そんな店員に、ゼクスは楽しそうにニンマリと笑いながら口を開いた。

「ーーでは三百で」

 その発言にピタリと動きを止める店員。
 しかしすぐにため息をつきながら呆れたように言った。

「ーーうちは量り売りはしてねぇ。 グラム買いがしてぇならよそ行きな」
「いえいえ、胡椒を大袋で三百お願いします。 あ、レッドペッパーとナツメグは大袋で二百にして下さい」
「……冗談だって言うなら、もう少し分かりやすい調子で言ってもらえるか?」
「あいにくと本気なんですよねー」

 ニコリと笑うゼクスの態度に、本気で買うつもりなのだと、ようやく理解した店員は、顔を引き締めながら口を開いた。

「ーー今は無理だ。 ここにはそんなに置いてねぇ」
「……それは数日の猶予があればスパイスを準備していただけるーーということでいいんですかね?」
「ああ。 二日待ってくれ、準備させる」
「ーーでは準備が整いましたら伝言をいただけますか?」
「……分かった。 どこに使いを出せばいい?」
「港近くにある波ノ屋と言う宿でーーラッフィナート商会と言っていただければ、確実に伝わります」

 そう言いながら、ゼクスはニヤリと意味ありげに微笑む。
 店員はゼクスの言葉にギョッと目を見開き、ハクハクと口を開く。

「……ラッフィナートだと?」

 そんな店員の態度にニヤリと笑ったゼクスは、握手を求めスッと右手を差し出しながら口を開いた。
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