成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「一応旦那様にご報告してから、両家に連絡を入れさせていただきます」

 そう答えたオリバーにリアーヌはホッと息を漏らした。

「ーーこれで何事もなく解決すると良いんですけど……」
「……ーーきっと大丈夫だよ。 シャルトル家もミストラル家もこの国の中枢を担う大貴族だし、ボスハウト家の使用人は優秀だし……ーーきっと問題なく解決しちゃうって!」

 ゼクスはリアーヌを安心させるように、わざとらしいほど明るい声でこたえた。

「ーーですね!」

 明るく答えつつ、感じている不安を隠すリアーヌ。

(……早く犯人が捕まって、こっちに被害が来ないと良いんだけどな……ーーって本当に嫌がらせされてるらしいユリアにはちょっと悪いかもだけど……ーー自作自演じゃないなら、犯人が捕まったら嬉しいだろうし、向こうだって犯人捕まえたいだろうし、流石に喜んでくれるでしょ……)



 レーシェンド学院の教養学科、その建物近くのフリースペース。
 リアーヌたちは最近、そこで昼食を取ることが日課となりつつあった。

 原因はユリアへの嫌がらせで、その情報交換や情報収集の為、レジアンナやクラリーチェ、そしてその友人たちと集まることがお決まりになってしまったからだったーー

「……え、今日もなんですの?」
「らしいですわ」
「ーー最初は三日おき、二日おきとかでしたのに……」
「ここのところ毎日じゃありませんか?」

 眉をひそめながら話し合う友人たち。
 ーー今日はクラリーチェとレオンが共に昼食を取るということで、クラリーチェとその友人たちの姿は無い。

「……ですが、かの方のクラスメイトたちが、朝に放課後に時間を問わず、決して少なくない人数でかの方を見守っていると聞きましたが……」
「ーー最近の標的はかの方の持ち物らしいですわ。 教科書やペンケース、ノートなどが盗まれ、後日それがどこかにばら撒かれているそうです」
「……ーーけれど結局、それを盗むのはかの方からなわけで……」

 一人がそう発言すると、みんな一斉に黙り込み、レジアンナーーつまり自分が意見を共にする者の判断を待った。

「ーーお腹の中まで好かれる人物ではなかったということなのでは?」

 レジアンナがお菓子をつまみながら肩をすくめると、それ同意するように頷きながら微笑みを深くする友人たち。

(主語をぼかせばウワサ話してでもセーフらしいけど……ーーこの会話がユリアの以外の誰に当てはまるのかと……ーーま、今はどこ行ってもこの話で持ち切りだし、教養学科の人たちだってみんなこのレベルでボカしてるから、私たちだけ注意を受けることはないんだろうけどー)
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