成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 リアーヌはキュッと唇を引き結びながら頭の中でグチり続ける。

(つーか……私これでもなんだけどな……? 元庶民だって、今お貴族様の一員だよ⁇ ここまで直接的にバカにしてくる? ーー平民だった時は貴族ってもっと恐ろしい存在だったけどな……)

 リアーヌは漠然と感じる違和感に、えも言われぬ居心地の悪さを感じていたーー

 ◇

「どうやらのお方が黒幕のようですわね」

 その日の昼休憩、レジアンナはリアーヌやビアンカ、そして友人たちを招いたお茶会という名の情報交換の場を設けてくれた。
 そこでビアンカはかいこう開口一番言い放つ。
 ーーしかし、その言葉に驚いたそぶりを見せた者は、“黒幕”という強い言葉を使ったビアンカにギョッと目をむいたリアーヌだけだった。

「黒幕って……」

 リアーヌがチラチラと周りの反応を伺いながらビアンカに声をかけるが、本人も周りも冷静なままだった。
 それに戸惑うリアーヌに今度はレジアンナが話しかける。

「ご本人が言ってらっしゃるのよ。 隠すつもりもないほどにハッキリとね」
「……そう、なの?」

 リアーヌの言葉にレジアンナは大きく頷きながら言葉を続けた。

「ええ。 たくさんの方が見聞きしていらっしゃるの。 あの方ご自身が「リアーナが悪者。 どうにかしなきゃ! ーーそのために力を貸してくれるなら、いざという時はフォルステル家や“私”が守ってみせるわ!」……そう、はっきり言ったとね」
「……マ? そマ?」

 ユリアのあまりの何も考えていないであろう迂闊な発言に、リアーヌは思わず顔を顰めながら首を傾げた。

「……そ、ま?」
「あ、それマジって意味ね?」
「マジ?」
「あー……本当って意味なんだけど……」

 リアーヌの発言が理解できずに、聞き返すレジアンナに答えながらリアーヌは(ヤバ……)と内心で慌てていた。
 そして、なんとかこの事態をごまかそうと口を開きかけた時、爪先にそれなりの圧を感じた。

(痛いでござる……ーーなんかちょっと慣れつつあるけど、痛いでござる……)

 その瞳に少しの涙を滲ませながらそちらに視線を送ると、リアーヌに向かって美しい笑顔を浮かべているビアンカと目があった。

(ーーごめんて……わざとじゃないんだって……)

 ヘラリ……と苦笑いを浮かべ、申し訳なさそうに眉を下げたリアーヌだったが、そんなリアーヌにレジアンナの弾んだ声がかけられた。

「そま、よ! そま! 本当なんだから!」

 レジアンナはクスクスと楽しそうに笑いながら、新しく覚えた言葉を楽しそうに披露し始める。
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