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第45話 勇者パーティ

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「あっはっはっは! いやぁ、しかし大将がモンモンまで食っちまうとは予想外だったよ!」

ベルモおまえのかなり悪質な意図を感じたけどな…」
 
 ブリーフィングとその後の壮行会を兼ねた宴会が終了し、4つの一党パーティはそれぞれ振り分けられた部屋へと帰って行った。
 そして俺達はベルモの私室で集まって二次会をしている、という訳だ。もちろん男女5人で全員が全裸。久々の『スキンシップタイム』である。
 
「初めは我々全員がモンモンを女の子だと思っていたからな。うちの『勇者様』が躊躇いなくモンモンを貫いていたのは、さすがに予想外だったがな」

 クロニアが俺の事をいかにも見境なしの好き者であるかの様に囃し立てる。事実誤認もいい所なので抗議したい。
 
「な?! あれはお前たちがけしかけたからだろ! 俺だって好きで男とやりたかったワケじゃ…」

「お兄さん、僕の事そんなにキライなの…?」

 モンモンが悲しそうな顔でじっと見つめてくる。目に涙が溢れて今にも零れ落ちそうだ。モンモンは『顔は美少女』だから頭が混乱してくる。

「あ、いや… 嫌いな訳じゃなくて、俺は元々ノンケで…」

「良かった!!」

 またしても俺の言葉は途中で遮られ、モンモンが正面から抱きついてきた。そそり勃った男の一物同士が擦れ合い不思議な気分にさせられる。

「まぁ、モンモンったらズルいですわ!」

 モンモンの一連の行動が芝居な事は誰が見ても明らかだ。その上で俺に抱き着く口実にした訳であり、同様にチャンスを狙っていたティリティアも俺の腕に抱きついてきた。細身ながら形が良く柔らかいティリティアの胸を腕に押し付けられて、俺の心拍数も上がって来た。

 自然とクロニアやベルモも身を寄せ合って来て、そのままその晩はベルモを交えて初の5人(乱交)パーティと相成ったのだった。

 ☆

「『あちらの』勇者様のお付きの僧侶はルピさんと言う方で、王都のアイトゥーシア教会所属の方でした」

 饗宴が一通り落ち着いてまったり雑談タイムに入った時に、こまごまと情報収集をしてくれていたティリティアの報告会が自然と始まった。

「そのルピさんから色々と伺ってきたのですが、勇者のショウ様は近隣の小作人の次男坊だそうで、冒険者や衛兵といった荒事の経験は無いそうです。また、ルピさんが選ばれたのはショウ様と同郷で顔馴染みだったからだとか…」

 勇者は教会によって選定され『聖剣』を賜っているので、恐らく『神のお告げ』的な決まり方をしたのだろう。あまり覇気が無さそうなのは、自分の意志とは無関係に強制させられている、って事なのかも知れないな。

「更に一緒にいらっしゃる仮面の方は、名を『チャロアイト』と仰るそうです。ローブで体型を隠し、同じ一党パーティのルピさんですら仮面のせいで声が掠れて、中身が男か女かも判別できないとか… こちらは『王立冒険者支援協会』から派遣されてきた方らしく、教会からもこの方の指示に従う様に言いつかっているそうです」

「つまり教会肝いりの勇者様一党パーティは剣も持ったことの無い百姓の倅と、荒事に不慣れな坊さんと、薄気味の悪い正体不明の人物の寄せ集めって事なのかい? 普通に考えればもう少し気の利いた面子を揃えられただろうにねぇ。それこそ教会の人脈なら5点冒険者で固める事だって出来たはずさ…」

 ベルモの考察ももっともだ。国家や教会が邪神や魔王に備えて送り出す勇者としては、俺たちが出会った勇者パーティは装備も面子も貧弱すぎる。それこそ『ひのきのぼう』と『ぬののふく』で「魔王を倒してこい」と言われるどこかのゲームを彷彿とさせる。

 それにあのチャロアイトとかいう仮面の人物、俺の読みが正しければあいつは『魔法使い』だ。匠合ギルドから派遣されてきたと言うが、禁忌とされる魔法を使える人物のコネクションとして一番現実的なのは匠合ギルドに他ならない。
 俺達のワイバーン退治の時に手を貸してくれた(?)魔法使いと同一人物かどうかは極めて怪しいが、あんなにも分かりやすく怪しい奴が何人もいるとは思えないし、全くの無関係というのも考え難い。
 
 まぁその辺の不可解な事情も加味して、あちらの勇者様もアイトゥーシア教会から『聖剣』を貰っているらしいから、アイトゥーシア本人から直接剣をたまわった俺と、どちらが強いのか競ってみるのも悪くない。例の『蛇の化け物』を早く倒した方が勝ちって事で、一方的に勝負を挑ませてもらおう。

「『聖女ホムラ』様の一行は女性ばかり5名の冒険者の集まりです。ホムラ様が『聖女』と呼ばれているのも、教会が『聖人』として序したのではなく、以前に今回の様な大規模任務に於いて、多量の怪我人を治療した事による称号らしいです。回復術師として見習いたいですね」

 なるほど、強力な回復術の使い手が近くにいてくれれば、俺達前衛冒険者も安心して戦えるって物だ。冒険は何が起こるか分からないから、保険はいくらあっても困る事は無い。

「聖女様のお仲間に男性が居ないのは、彼女が教義に従って貞操を守っているからだそうです。外から見た感じでは『女性だけの集団』の良い所と悪い所の両方を兼ね備えている一党パーティですわね…」

 ティリティアの言葉にクロニアとベルモが感慨深くウンウンと頷いている。なんならモンモンも頷いている。俺だけ『女性だけの集団』の良し悪しがピンと来ていない感じだ。後で教えてもらおうっと。

「そういや姫様、アンタも何だかんだ盛大に脱ぎ散らかしているけど、『教義』とやらはもう良いのかい?」

 ベルモがからかう様に口を挟んできた。ティリティアの優しい笑顔に忘れがちになるが、元々ティリティアはゴブリンに凌辱されるまでは敬虔で清楚な聖女候補だった。彼女を守れなかったのはひとえに俺の力不足だ。未だに俺に抱きついて慟哭した彼女の声が頭から離れない。

「そう、かつてのわたくしもあれほど清楚だったのに、今では勇者様の腕に抱かれて幸せと快楽を感じる1人の『女』に破戒してしまいました… でも親の見える所で退屈な尼をやっていた頃よりも、こうして皆さんと裸のお付き合いをしている今の方が断然楽しいですわ!」

 一瞬物憂げな表情を見せたティリティアだったが、次の瞬間には満面の笑顔で俺に抱きついて来た。そのままそろそろ回復し始めた俺の股間に手を伸ばし、物欲しそうな顔をする。

 まったく、明日は大捕物が控えているというのに、まだまだ宴は終わりそうに無いな……。 
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