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二期 二章
コロシアム 下
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「見間違いでなければ、君はおそらくあのメンバーの中で、群を抜いて強い。」
騎士は一呼吸おいて、こう告げた。
「本気で行くよ。」
審判が手を挙げる。本日最後の試合。
「俺も本気でいくよ。騎士さん」
審判が振り下ろす。
「試合、かいしぃぃぃ!!!」
おそらくこの瞬間、俺と騎士の姿を目で追えている人はいないだろう。
俺と騎士は号令とともに飛びかかった。蹴った地面は抉れ、ぶつかるたびに衝撃波が生じた。
「ぜあぁっ!!」
俺は渾身の力を込めて右ストレートを出す。騎士は寸分狂わず、そこに盾を持ってくる。右ストレートを防いだ騎士は、そのまま盾を横に流し俺の打撃の威力をそのままいなした。
いなした騎士はその力を回転し利用した。右手に持った剣の柄で俺の頭を狙う。
俺はスレスレでしゃがみ、足払いをかけるが少し飛んで躱される。
そんな駆け引きが一瞬のうちに流れる戦い。あからさまに騎士は強い。
俺は少し立ち止まり、しんとなった会場の中、騎士に尋ねた。
「なぜ俺たちの強さがわかったんだ?俺以外の三人には手加減してただろ?」
騎士は答える。
「まあ、長年の感、かな?ただ、君は1つ勘違いしている。俺はまだ、手加減してるよ?」
「なに!?」
刹那ー、
先の戦いで見せたあの加速。俺の常時神化スキルを使用した状態(最低パーセント。身体強化付与、身体強化は動体視力も強化される。)ですら目で追えないスピード。あの重装備でなおこの速度。
「それっ!」
激痛。ベルゼ・ブブに手の平を喰われた時とは違う、確かな鈍痛。俺は剣の柄で横腹を思い切り殴られた。
「がはっ…!!」
試合場の壁まで思い切り体が吹っ飛ぶ。体制を立て直すこともできず、そのまま衝突した。
「ほら、まだ行くぞ。久しぶりなんだ、全力を出すのは。」
追い討ちをさらにかけてくる騎士。盾で殴り、拳で殴り、柄で殴る。
会場に穴が開くのではないかという勢いで俺を殴りつけてくる。
痛え…
ブチッ
俺の中で何かが切れる音がした。
「おらっ!!」
「クソが…」
俺は騎士がこれで最後と言わんばかりの振り下ろした剣の刃を握りそして、折った。
「…は?」
面食らった顔を浮かべる騎士。俺はイラついていた。
「こっちにきてこんな事ばかりだ。痛い思いばかり。向こうで死んだ時にすでに最悪な痛覚を味わったのにも関わらず、だ。」
騎士は目を白黒させている。会場はどよめき立つ。
「自分にいろいろ言い聞かせて、この世界を救わなきゃならないとか考えて…修行でここに来たら、わけわからん騎士と試合だの…」
俺は彩人だった頃を思い出した。
「あっちもこっちもブラック企業かよ!!!!!」
絶叫した。
「な、なにを言っているんだ!?」
目の前で慌てふためいている騎士の頭に思い切り頭突きをかます。
「ガッ…アァ!?」
ゴツッと鈍い音がした。
騎士は頭を抱えながら膝をついた。
「舐めすぎだろお前も、少しストレス発散付き合ってもらうぜ。」
この時、神化を今出来る最大パーセントまで引き上げた。
膝をついた騎士の横腹に全力の蹴りを入れる。
「ヒュ」
謎の音を出してぶっ飛んで行く騎士。さっきのお返しだ!!
「ぐあぁ!!」
壁にぶつかる騎士。壁は円形に抉れ、騎士はめり込む。
「かはっ…、くそ、不意だった…」
「まだ、休めないぞ。」
俺は吹っ飛ばした騎士を走って追いかけ、すでに次の攻撃の準備に入っていた。
「あまり、なめるなよ!!」
俺の追撃の蹴りを剣を持っていた右手で防ごうとしてきた。
が、俺はその腕をへし折りながら蹴りとばした。
…これが間違いだった…
その瞬間会場がざわついた。
腕をへし折られ飛んで行った騎士は、地面に叩きつけられゴロゴロと転がった。
審判が急いで駆け寄り、脈を図る。
「気絶、だ…」
その言葉を聞いてハッと我に帰った。
…手加減、し損ねちまった…。
俺は眉間に手を当て頭を左右に振る。試合でまさかこんなにキレるとは…人間の底が知れる。
「動くな!!」
そんな落ち込む俺を取り囲む騎士の格好をした奴等が十人。
騎士意識を確認した審判が俺に言った。
「貴様!なにをした!!A級のエリスン様を気絶させるなど、試合前に毒を盛ったとしか考えられん!!」
何言ってんだあの審判?毒?
「いやいやまてよ、どうやって盛るんだよ。対戦相手が誰かも知らなかったのに…」
「言語道断!地下牢に詰めとけ!!エリスン様が目覚めたらすべてわかることだ!」
「んだよ!わかったよ!それまでじっとしてればいいんだろ!」
「そこの三人も別の部屋に詰めとけ!!」
アリサ達を取り囲む騎士達。
「関係ねえだろ!俺だけでいいだろうが!!」
「貴様ら仲間なら同罪じゃ!!」
「ふざけんなくそったれー!」
叫んだところで体の力が全て抜けた。下を見ると魔法陣が書かれている。
おそらく麻痺の魔法だろう。
俺は一人の騎士にズルズルと引きずられながら、連れていかれた。
……牢屋……
それで今に至ると言うわけだ。
最悪だぜ…
他の奴らはまだ麻痺のようで、目が覚めてない。
俺はおそらく神化の力で軽減されており、連れていかれる途中くらいからはすでに治っていた。
…まあ、快く不快な牢屋に入ったんだけどな。
身の潔白を証明するために…
「はあ…」
俺は結果を待ち続けた。
騎士は一呼吸おいて、こう告げた。
「本気で行くよ。」
審判が手を挙げる。本日最後の試合。
「俺も本気でいくよ。騎士さん」
審判が振り下ろす。
「試合、かいしぃぃぃ!!!」
おそらくこの瞬間、俺と騎士の姿を目で追えている人はいないだろう。
俺と騎士は号令とともに飛びかかった。蹴った地面は抉れ、ぶつかるたびに衝撃波が生じた。
「ぜあぁっ!!」
俺は渾身の力を込めて右ストレートを出す。騎士は寸分狂わず、そこに盾を持ってくる。右ストレートを防いだ騎士は、そのまま盾を横に流し俺の打撃の威力をそのままいなした。
いなした騎士はその力を回転し利用した。右手に持った剣の柄で俺の頭を狙う。
俺はスレスレでしゃがみ、足払いをかけるが少し飛んで躱される。
そんな駆け引きが一瞬のうちに流れる戦い。あからさまに騎士は強い。
俺は少し立ち止まり、しんとなった会場の中、騎士に尋ねた。
「なぜ俺たちの強さがわかったんだ?俺以外の三人には手加減してただろ?」
騎士は答える。
「まあ、長年の感、かな?ただ、君は1つ勘違いしている。俺はまだ、手加減してるよ?」
「なに!?」
刹那ー、
先の戦いで見せたあの加速。俺の常時神化スキルを使用した状態(最低パーセント。身体強化付与、身体強化は動体視力も強化される。)ですら目で追えないスピード。あの重装備でなおこの速度。
「それっ!」
激痛。ベルゼ・ブブに手の平を喰われた時とは違う、確かな鈍痛。俺は剣の柄で横腹を思い切り殴られた。
「がはっ…!!」
試合場の壁まで思い切り体が吹っ飛ぶ。体制を立て直すこともできず、そのまま衝突した。
「ほら、まだ行くぞ。久しぶりなんだ、全力を出すのは。」
追い討ちをさらにかけてくる騎士。盾で殴り、拳で殴り、柄で殴る。
会場に穴が開くのではないかという勢いで俺を殴りつけてくる。
痛え…
ブチッ
俺の中で何かが切れる音がした。
「おらっ!!」
「クソが…」
俺は騎士がこれで最後と言わんばかりの振り下ろした剣の刃を握りそして、折った。
「…は?」
面食らった顔を浮かべる騎士。俺はイラついていた。
「こっちにきてこんな事ばかりだ。痛い思いばかり。向こうで死んだ時にすでに最悪な痛覚を味わったのにも関わらず、だ。」
騎士は目を白黒させている。会場はどよめき立つ。
「自分にいろいろ言い聞かせて、この世界を救わなきゃならないとか考えて…修行でここに来たら、わけわからん騎士と試合だの…」
俺は彩人だった頃を思い出した。
「あっちもこっちもブラック企業かよ!!!!!」
絶叫した。
「な、なにを言っているんだ!?」
目の前で慌てふためいている騎士の頭に思い切り頭突きをかます。
「ガッ…アァ!?」
ゴツッと鈍い音がした。
騎士は頭を抱えながら膝をついた。
「舐めすぎだろお前も、少しストレス発散付き合ってもらうぜ。」
この時、神化を今出来る最大パーセントまで引き上げた。
膝をついた騎士の横腹に全力の蹴りを入れる。
「ヒュ」
謎の音を出してぶっ飛んで行く騎士。さっきのお返しだ!!
「ぐあぁ!!」
壁にぶつかる騎士。壁は円形に抉れ、騎士はめり込む。
「かはっ…、くそ、不意だった…」
「まだ、休めないぞ。」
俺は吹っ飛ばした騎士を走って追いかけ、すでに次の攻撃の準備に入っていた。
「あまり、なめるなよ!!」
俺の追撃の蹴りを剣を持っていた右手で防ごうとしてきた。
が、俺はその腕をへし折りながら蹴りとばした。
…これが間違いだった…
その瞬間会場がざわついた。
腕をへし折られ飛んで行った騎士は、地面に叩きつけられゴロゴロと転がった。
審判が急いで駆け寄り、脈を図る。
「気絶、だ…」
その言葉を聞いてハッと我に帰った。
…手加減、し損ねちまった…。
俺は眉間に手を当て頭を左右に振る。試合でまさかこんなにキレるとは…人間の底が知れる。
「動くな!!」
そんな落ち込む俺を取り囲む騎士の格好をした奴等が十人。
騎士意識を確認した審判が俺に言った。
「貴様!なにをした!!A級のエリスン様を気絶させるなど、試合前に毒を盛ったとしか考えられん!!」
何言ってんだあの審判?毒?
「いやいやまてよ、どうやって盛るんだよ。対戦相手が誰かも知らなかったのに…」
「言語道断!地下牢に詰めとけ!!エリスン様が目覚めたらすべてわかることだ!」
「んだよ!わかったよ!それまでじっとしてればいいんだろ!」
「そこの三人も別の部屋に詰めとけ!!」
アリサ達を取り囲む騎士達。
「関係ねえだろ!俺だけでいいだろうが!!」
「貴様ら仲間なら同罪じゃ!!」
「ふざけんなくそったれー!」
叫んだところで体の力が全て抜けた。下を見ると魔法陣が書かれている。
おそらく麻痺の魔法だろう。
俺は一人の騎士にズルズルと引きずられながら、連れていかれた。
……牢屋……
それで今に至ると言うわけだ。
最悪だぜ…
他の奴らはまだ麻痺のようで、目が覚めてない。
俺はおそらく神化の力で軽減されており、連れていかれる途中くらいからはすでに治っていた。
…まあ、快く不快な牢屋に入ったんだけどな。
身の潔白を証明するために…
「はあ…」
俺は結果を待ち続けた。
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