13番目の神様

きついマン

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二期 二章

牢屋コント

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 俺がここに詰められて一時間は経った。
 することなんてないし、汚くてくつろげもしない。

「かなり本気で蹴っちまったからなぁ…あのエリスンとか言う騎士。A級ならもっと耐えて欲しいぜ…」

 ポツリと呟くと、向かいから声が聞こえた。

「う…うん…ここは?」

 アリサだ。やっと麻痺から目が覚めたようだ。

「ひゃあ!!なにここ!汚い!!」

 芯が図太いようで、まずは汚いとこからツッコミを入れていくスタイルのようだ。

「よう、アリサ。よく眠れたか?」

「ひゃあ!!ってアレクじゃない!よく眠れたか?じゃないわよ!!あんたが手加減忘れちゃうからこうなってんでしょうが!!」

 うっ…痛いところを…

「うるせー!迷い人は前の世界のストレスがたんまり溜まってるんだよ!!」

「そりゃ知らないけど、巻き添えはごめんだわ!」

 わいわい騒いでいると、騎士というより兵士?のような見た目の奴が入ってきて一喝した。

「うるせえぞ静かにしろ!!」

(それみろ、怒られたー!)

(それもアレクのせいだから!!)

 流石に理不尽だろう?

 怒られたので小声で言い争いをしていると、俺の隣の牢屋から声が聞こえた。

「はっ!!ここは!って汚なっ!」

 サンが跳ね起きてきた。みんな最初は汚さに目がいくようだ。

(おぉ起きたかサン。)

(あんたもアレクに言ってやってよ。アンタの所為だって!)

「ど、どうしたの?二人ともそんな小声で…」

(小声で喋んないと見張りに怒られるんだよ…)

(それもアンタの所為って言ってやってサン。)

 アリサの恨みが深い。ここが相当嫌らしい。

 アリサの言葉に納得したような顔を見せたサンは手を叩いた。(もちろん無音、格好だけ)

(あぁ!そうだよ、アレクさん、手加減しなきゃ…)

(お前まで…)

 そういえばセリスはまだ起きないのか?というより、セリスはどの牢屋だ?横にも斜め前にも居ないが…

(セリスは…?)

(ここに居ます!)

 叫び声をあげそうになったのをなんとかこらえた。

 セリスが急に目の前に現れたのだ。

(お前どこから!?!)

(実は、魔法対抗高いんで、牢屋入れられる前に目が覚めたんですよぅ!)

(だから、身代わり魔法と透明魔法でアレクさんと同じとこに来ましたぁ!)

 こいつなかなかやりおるな。しかし…

(なぜ、自ら牢屋に入ったんだ?)

(アレクさんとなら安心かなって…)

「アホか!外で待って、鍵を開けてくれれば…」

 つい声を出してしまった。

 兵士が歩いてくる。

「なんだ、今度は!うるさいと言っているだろう!!」

(セリス隠れろ!)

(はい!!インビジブル!)

 セリスがそう唱えるとみるみるうちに姿が消えていった。

「おい、貴様、今なにをしていた。」

 兵士が俺に聞いてくる。

「へっ!なんだっていいだろ~!」

「貴様…」

「そいつ今うんこしてたぜ!兵士のおっちゃん!」

 サン…?なにを言いだすんだい?

「サンお前?」

「臭いと思ったら貴様か。きちんと報告しろ馬鹿者が。ったく…」

 やれやれと兵士が帰っていった。

(よかったなアレクにーちゃん。バレなくて!)

(サンに感謝しなさい、アレク~!)

 クスクスと笑いながら茶化してきやがる。

(手、洗いました?アレクさぁん?)

 セリスまで…、ってかお前がアホなことするからだろうが!!

 くそ~こいつら、おちょくりやがって…こうなりゃ叫んでやるぜ。アイツらも一緒に怒られてしまえ!

 そう考えた俺は上を向いて大きく叫んだ。

「俺はうんこなんてしてねえよ!!」

「そ、そうか…。聞いてないのだが…。」

 いつのまにか知らない女性と兵士達が牢屋の外に立っていた。セリスもいつの間にか姿を消してる。

「あ、え、あれ?」

 え?誰?

「その、まあ、なんだ。別にしててもいいから、しっかりと手は洗うんだぞ?」

 顔から火が出そうなくらい暑い。

 アリサとサンとセリスが息を殺して笑っているのがわかる。

 あとでデコピンしてやる。

「してませんってば!で、誰なんですか?」

「あ、あぁ、申し遅れたな。この国の王女。シルビア・マ・アルカイダと申す。実に面白い一行がいると聞いて馳せ参じた。」

 え?なに?俺王女様の目の前であんな恥ずかしいことを?

 死にたくなってきた。

「とりあえず、ここは汚い。牢屋を開けさせる。ついてこい。」

 彼女は兵士に鍵を開けさせ、俺たちを外に出した。

 どうやら、騎士が目を覚まして、無実を証明してくれたようだな。晴れて自由の身だ。ついでにいらない恥もかいたけどな。
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