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二期 二章
牢屋コント
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俺がここに詰められて一時間は経った。
することなんてないし、汚くてくつろげもしない。
「かなり本気で蹴っちまったからなぁ…あのエリスンとか言う騎士。A級ならもっと耐えて欲しいぜ…」
ポツリと呟くと、向かいから声が聞こえた。
「う…うん…ここは?」
アリサだ。やっと麻痺から目が覚めたようだ。
「ひゃあ!!なにここ!汚い!!」
芯が図太いようで、まずは汚いとこからツッコミを入れていくスタイルのようだ。
「よう、アリサ。よく眠れたか?」
「ひゃあ!!ってアレクじゃない!よく眠れたか?じゃないわよ!!あんたが手加減忘れちゃうからこうなってんでしょうが!!」
うっ…痛いところを…
「うるせー!迷い人は前の世界のストレスがたんまり溜まってるんだよ!!」
「そりゃ知らないけど、巻き添えはごめんだわ!」
わいわい騒いでいると、騎士というより兵士?のような見た目の奴が入ってきて一喝した。
「うるせえぞ静かにしろ!!」
(それみろ、怒られたー!)
(それもアレクのせいだから!!)
流石に理不尽だろう?
怒られたので小声で言い争いをしていると、俺の隣の牢屋から声が聞こえた。
「はっ!!ここは!って汚なっ!」
サンが跳ね起きてきた。みんな最初は汚さに目がいくようだ。
(おぉ起きたかサン。)
(あんたもアレクに言ってやってよ。アンタの所為だって!)
「ど、どうしたの?二人ともそんな小声で…」
(小声で喋んないと見張りに怒られるんだよ…)
(それもアンタの所為って言ってやってサン。)
アリサの恨みが深い。ここが相当嫌らしい。
アリサの言葉に納得したような顔を見せたサンは手を叩いた。(もちろん無音、格好だけ)
(あぁ!そうだよ、アレクさん、手加減しなきゃ…)
(お前まで…)
そういえばセリスはまだ起きないのか?というより、セリスはどの牢屋だ?横にも斜め前にも居ないが…
(セリスは…?)
(ここに居ます!)
叫び声をあげそうになったのをなんとかこらえた。
セリスが急に目の前に現れたのだ。
(お前どこから!?!)
(実は、魔法対抗高いんで、牢屋入れられる前に目が覚めたんですよぅ!)
(だから、身代わり魔法と透明魔法でアレクさんと同じとこに来ましたぁ!)
こいつなかなかやりおるな。しかし…
(なぜ、自ら牢屋に入ったんだ?)
(アレクさんとなら安心かなって…)
「アホか!外で待って、鍵を開けてくれれば…」
つい声を出してしまった。
兵士が歩いてくる。
「なんだ、今度は!うるさいと言っているだろう!!」
(セリス隠れろ!)
(はい!!インビジブル!)
セリスがそう唱えるとみるみるうちに姿が消えていった。
「おい、貴様、今なにをしていた。」
兵士が俺に聞いてくる。
「へっ!なんだっていいだろ~!」
「貴様…」
「そいつ今うんこしてたぜ!兵士のおっちゃん!」
サン…?なにを言いだすんだい?
「サンお前?」
「臭いと思ったら貴様か。きちんと報告しろ馬鹿者が。ったく…」
やれやれと兵士が帰っていった。
(よかったなアレクにーちゃん。バレなくて!)
(サンに感謝しなさい、アレク~!)
クスクスと笑いながら茶化してきやがる。
(手、洗いました?アレクさぁん?)
セリスまで…、ってかお前がアホなことするからだろうが!!
くそ~こいつら、おちょくりやがって…こうなりゃ叫んでやるぜ。アイツらも一緒に怒られてしまえ!
そう考えた俺は上を向いて大きく叫んだ。
「俺はうんこなんてしてねえよ!!」
「そ、そうか…。聞いてないのだが…。」
いつのまにか知らない女性と兵士達が牢屋の外に立っていた。セリスもいつの間にか姿を消してる。
「あ、え、あれ?」
え?誰?
「その、まあ、なんだ。別にしててもいいから、しっかりと手は洗うんだぞ?」
顔から火が出そうなくらい暑い。
アリサとサンとセリスが息を殺して笑っているのがわかる。
あとで軽くデコピンしてやる。
「してませんってば!で、誰なんですか?」
「あ、あぁ、申し遅れたな。この国の王女。シルビア・マ・アルカイダと申す。実に面白い一行がいると聞いて馳せ参じた。」
え?なに?俺王女様の目の前であんな恥ずかしいことを?
死にたくなってきた。
「とりあえず、ここは汚い。牢屋を開けさせる。ついてこい。」
彼女は兵士に鍵を開けさせ、俺たちを外に出した。
どうやら、騎士が目を覚まして、無実を証明してくれたようだな。晴れて自由の身だ。ついでにいらない恥もかいたけどな。
することなんてないし、汚くてくつろげもしない。
「かなり本気で蹴っちまったからなぁ…あのエリスンとか言う騎士。A級ならもっと耐えて欲しいぜ…」
ポツリと呟くと、向かいから声が聞こえた。
「う…うん…ここは?」
アリサだ。やっと麻痺から目が覚めたようだ。
「ひゃあ!!なにここ!汚い!!」
芯が図太いようで、まずは汚いとこからツッコミを入れていくスタイルのようだ。
「よう、アリサ。よく眠れたか?」
「ひゃあ!!ってアレクじゃない!よく眠れたか?じゃないわよ!!あんたが手加減忘れちゃうからこうなってんでしょうが!!」
うっ…痛いところを…
「うるせー!迷い人は前の世界のストレスがたんまり溜まってるんだよ!!」
「そりゃ知らないけど、巻き添えはごめんだわ!」
わいわい騒いでいると、騎士というより兵士?のような見た目の奴が入ってきて一喝した。
「うるせえぞ静かにしろ!!」
(それみろ、怒られたー!)
(それもアレクのせいだから!!)
流石に理不尽だろう?
怒られたので小声で言い争いをしていると、俺の隣の牢屋から声が聞こえた。
「はっ!!ここは!って汚なっ!」
サンが跳ね起きてきた。みんな最初は汚さに目がいくようだ。
(おぉ起きたかサン。)
(あんたもアレクに言ってやってよ。アンタの所為だって!)
「ど、どうしたの?二人ともそんな小声で…」
(小声で喋んないと見張りに怒られるんだよ…)
(それもアンタの所為って言ってやってサン。)
アリサの恨みが深い。ここが相当嫌らしい。
アリサの言葉に納得したような顔を見せたサンは手を叩いた。(もちろん無音、格好だけ)
(あぁ!そうだよ、アレクさん、手加減しなきゃ…)
(お前まで…)
そういえばセリスはまだ起きないのか?というより、セリスはどの牢屋だ?横にも斜め前にも居ないが…
(セリスは…?)
(ここに居ます!)
叫び声をあげそうになったのをなんとかこらえた。
セリスが急に目の前に現れたのだ。
(お前どこから!?!)
(実は、魔法対抗高いんで、牢屋入れられる前に目が覚めたんですよぅ!)
(だから、身代わり魔法と透明魔法でアレクさんと同じとこに来ましたぁ!)
こいつなかなかやりおるな。しかし…
(なぜ、自ら牢屋に入ったんだ?)
(アレクさんとなら安心かなって…)
「アホか!外で待って、鍵を開けてくれれば…」
つい声を出してしまった。
兵士が歩いてくる。
「なんだ、今度は!うるさいと言っているだろう!!」
(セリス隠れろ!)
(はい!!インビジブル!)
セリスがそう唱えるとみるみるうちに姿が消えていった。
「おい、貴様、今なにをしていた。」
兵士が俺に聞いてくる。
「へっ!なんだっていいだろ~!」
「貴様…」
「そいつ今うんこしてたぜ!兵士のおっちゃん!」
サン…?なにを言いだすんだい?
「サンお前?」
「臭いと思ったら貴様か。きちんと報告しろ馬鹿者が。ったく…」
やれやれと兵士が帰っていった。
(よかったなアレクにーちゃん。バレなくて!)
(サンに感謝しなさい、アレク~!)
クスクスと笑いながら茶化してきやがる。
(手、洗いました?アレクさぁん?)
セリスまで…、ってかお前がアホなことするからだろうが!!
くそ~こいつら、おちょくりやがって…こうなりゃ叫んでやるぜ。アイツらも一緒に怒られてしまえ!
そう考えた俺は上を向いて大きく叫んだ。
「俺はうんこなんてしてねえよ!!」
「そ、そうか…。聞いてないのだが…。」
いつのまにか知らない女性と兵士達が牢屋の外に立っていた。セリスもいつの間にか姿を消してる。
「あ、え、あれ?」
え?誰?
「その、まあ、なんだ。別にしててもいいから、しっかりと手は洗うんだぞ?」
顔から火が出そうなくらい暑い。
アリサとサンとセリスが息を殺して笑っているのがわかる。
あとで軽くデコピンしてやる。
「してませんってば!で、誰なんですか?」
「あ、あぁ、申し遅れたな。この国の王女。シルビア・マ・アルカイダと申す。実に面白い一行がいると聞いて馳せ参じた。」
え?なに?俺王女様の目の前であんな恥ずかしいことを?
死にたくなってきた。
「とりあえず、ここは汚い。牢屋を開けさせる。ついてこい。」
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