13番目の神様

きついマン

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二期 三章

剣を振る 上

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 しんと静まりかえる夜の商店街。
 俺達は作戦を実行するべく、昨日の事件が起こった道具屋に来ていた。

「作戦通り、囮作戦を実行する。クレイスは例の場所。俺とアリサは裏手、セリスはさらに奥、サンはセリスを守る位置に…」

 立てた作戦を繰り返すうちに、定刻が訪れた。昨日の件の時間だ。

「時間だ!みんな持ち場につけ!!」

 それぞれ持ち場へと散らばる。

 クレイスはシルキーが襲われたであろう場所に立った。

「シルキー…待っていろ…すぐ…」

 俺達は気配を完全に断ち、息を潜める。

 長い夜が始まる。


~キルド洞窟~

「まさか今晩もぉぉぉ!!生贄をおぉお!探すことになるとはぁぁぁぁぁ…!」

 ギャーギャーと騒ぎ立てるベリアル。
 シルキーとダインは動向を観察していた。

「まだ騒いでるわね…、一日中騒いでてよく疲れないものだわ。」

「生贄…多分俺たちのことだよな?だとしたら…」

 ダインは慎重派の冒険者だった。どんな簡単なクエストにも思考をやめることをしなかった。

 いまも、ダインは顎に手を当てブツブツ呟いている。

「ダイン…、考えるのはいいけど…、奴が動くわ。隠れましょう。」

 そう促したところでダインが一つの答えにたどり着く。

「シルキー、お前の婚約者がここに来るぞ。おそらく連れて来られる。」

 その言葉とともにベリアルは空へと飛んで行った。

「ど、どういうこと?!」

 説明を求めるシルキー。

「ここにいる囚われた奴ら。皆B級以上の冒険者だ。皆が口を揃えていう。歯が立たないと。」

「私も歯が立たなかったわ。まったくもって。」

「そして奴は俺たちを生贄と言った。奴はS級並みに強く、さらに強き者をここに集めていることがうかがえる。」

「生贄に強き者はわかるけど、どうしてそれだけでS級並みに強いってわかるのよ。」

「それは俺たちが"生贄"だからだ。」

 ダインは顎から手を離し説明を続ける。

「先程も話したように、皆B級以上の冒険者だ。皆それなりに抵抗もしたはずだ。そんな俺たちをこんなに無傷で運ぶ。」

 そこでシルキーも気づいた。

「殺さずに運ぶことがどれだけ難しいか、ということだ。奴は必ずクレイスを連れて来る。…生贄としてな…。」



~アルケイデス 商店街~

「今日来なかったらどうするの?」

 アリサが俺に聞いてくる。

「そうだな…」

 そう言いながら俺は耳を強化していた。

 500メートル、居ない。
 1キロ、居ない。
 5キロ、居ない。
 10キロ、居な…ん?なんだ、羽の音?

 羽の音を捉えた俺の耳に次に入ってきた音は、誰かの声だった。

「今日はぁぁぁぁ…!人間でもぉお!捕まえるのにぃぃい!時間がかかりそうなぁぁぁ!奴をぉぉ!!」

 不気味な声。

「きてるぞ!!おそらくこの件の悪魔だ!声が聞こえた!距離はここからおそらく…10キロ程だ!」

 早口で説明するとピリピリと空気が張り詰めた。皆気を張っている。

「あんた、耳どうなってんの?」

 後ろのアリサが発した呆れた声を最後に、その場は静寂に包まれた。

 悪魔が後数秒でやって来る。

 その緊張感の中、クレイス目のが冷え切っていくのを見た。
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