41 / 69
二期 三章
剣を振る 中
しおりを挟む
後数秒で到達するであろう、強大な敵に対して身構える俺達。
クレイスも構えをとるが、冷えた目からは寒気がするほどの殺気が漏れていた。
婚約者が連れ去られたという事実が彼をあそこまで追い込んでいるのか…
俺は考える。
あの目に浮かんでいるのは、純粋な怒りなのか…
俺は少し訝しさを覚えながら距離を逆算する。
「あと15秒。…10。」
秒数を小声で口に出してアリサに伝える。
「5.4.3....くるぞ。」
その瞬間、俺たちを爆煙が包み込み、視界を奪って行く。
ガァンッ
すぐに重たい鉄を打ち合わせだときのような音が鳴り響く。
音とともに、衝撃波で煙が一気に晴れる。
「貴様が悪魔か。」
クレイスが翼の生えた生物、おそらく悪魔の爪を剣で止めていた。
「貴様をやはりぃぃ…連れて行かないとぉぉ…!!」
呻き声を上げる悪魔。
「悪いが、半殺しにさせてもらう。」
クレイスは爪を跳ね上げ、悪魔の腹を蹴り上げた。
しかし、その蹴りはもう一方の腕でガードされた。
一部始終を見ながら、俺はアリサにサインを出す。
(まず俺が出る。隙を見て奴に一発弓を当てろ。ダメージにならなくていい。)
(了解。)
事前に決めたサインでそういう会話を行い、クレイスが追撃をするタイミングで悪魔の背後に回るように裏道を全力で走る。
「流石にぃ…、容易くはぁぁぁ…、いかないかぁ…!」
悪魔が翼を広げ、クレイスの足を握ったまま飛ぼうとする。
「やらせるか!」
そこに俺が飛びかかる。
スキルを全力で行使し、背後から殴りかかる。
しかし、悪魔はまるで後ろが見えているかのようにクレイスの足を離し、空中へと逃げた。
「何!」
「お前たちがぁぁ…、居ることはぁぁ…、わかって居るぅぅ…。」
今、お前”達”といったか…!?
俺以外にも全員バレてるってことか…
「作戦がこうもあっさり破綻するとはな…。まぁ、簡単に成功するとも思っていなかったが。」
悪魔は俺のその言葉を聞いた後、大きく口を開け笑い始めた。
「ギャヒヒヒィ!悪魔にぃ、その程度ノォ、隠密はぁぁ!無意味ぃ!」
「どういうことだ?」
「俺たち悪魔はぁぁ、魔力探知がぁ…できるぅ…。気配を隠すぐらいじゃぁ、意味などないぃ…。」
最悪だ。セリスに前聞いたが、生きて居るものは皆魔力を持って居るらしい。そんなもの隠す訓練も、スキルもない。どこに隠れても、どんなに裏をとっても場所がバレるということだ。
「正々堂々行くしかねえってことか…。」
俺が拳をパキパキ鳴らしながら悪魔に近づこうとすると、クレイスがそれを制してきた。
「来なくていい。お前達もだ!」
俺たちに向けたその声はとても大きく、俺たちは驚いた。
アリサも構えていた弓を下ろした。
「お前が婚約者をさらわれて頭にきていることはわかるが、全員で行かないと勝てる相手でもないだろ!」
悪魔は羽ばたきながら空中で汚く笑って居る。まるでどんなことをされても負けない。余裕だ。そう言って居るように…
「剣を振る、というのは…、どういうことか分かるか?」
クレイスはそう呟いて、剣を高らかに掲げた。
クレイスも構えをとるが、冷えた目からは寒気がするほどの殺気が漏れていた。
婚約者が連れ去られたという事実が彼をあそこまで追い込んでいるのか…
俺は考える。
あの目に浮かんでいるのは、純粋な怒りなのか…
俺は少し訝しさを覚えながら距離を逆算する。
「あと15秒。…10。」
秒数を小声で口に出してアリサに伝える。
「5.4.3....くるぞ。」
その瞬間、俺たちを爆煙が包み込み、視界を奪って行く。
ガァンッ
すぐに重たい鉄を打ち合わせだときのような音が鳴り響く。
音とともに、衝撃波で煙が一気に晴れる。
「貴様が悪魔か。」
クレイスが翼の生えた生物、おそらく悪魔の爪を剣で止めていた。
「貴様をやはりぃぃ…連れて行かないとぉぉ…!!」
呻き声を上げる悪魔。
「悪いが、半殺しにさせてもらう。」
クレイスは爪を跳ね上げ、悪魔の腹を蹴り上げた。
しかし、その蹴りはもう一方の腕でガードされた。
一部始終を見ながら、俺はアリサにサインを出す。
(まず俺が出る。隙を見て奴に一発弓を当てろ。ダメージにならなくていい。)
(了解。)
事前に決めたサインでそういう会話を行い、クレイスが追撃をするタイミングで悪魔の背後に回るように裏道を全力で走る。
「流石にぃ…、容易くはぁぁぁ…、いかないかぁ…!」
悪魔が翼を広げ、クレイスの足を握ったまま飛ぼうとする。
「やらせるか!」
そこに俺が飛びかかる。
スキルを全力で行使し、背後から殴りかかる。
しかし、悪魔はまるで後ろが見えているかのようにクレイスの足を離し、空中へと逃げた。
「何!」
「お前たちがぁぁ…、居ることはぁぁ…、わかって居るぅぅ…。」
今、お前”達”といったか…!?
俺以外にも全員バレてるってことか…
「作戦がこうもあっさり破綻するとはな…。まぁ、簡単に成功するとも思っていなかったが。」
悪魔は俺のその言葉を聞いた後、大きく口を開け笑い始めた。
「ギャヒヒヒィ!悪魔にぃ、その程度ノォ、隠密はぁぁ!無意味ぃ!」
「どういうことだ?」
「俺たち悪魔はぁぁ、魔力探知がぁ…できるぅ…。気配を隠すぐらいじゃぁ、意味などないぃ…。」
最悪だ。セリスに前聞いたが、生きて居るものは皆魔力を持って居るらしい。そんなもの隠す訓練も、スキルもない。どこに隠れても、どんなに裏をとっても場所がバレるということだ。
「正々堂々行くしかねえってことか…。」
俺が拳をパキパキ鳴らしながら悪魔に近づこうとすると、クレイスがそれを制してきた。
「来なくていい。お前達もだ!」
俺たちに向けたその声はとても大きく、俺たちは驚いた。
アリサも構えていた弓を下ろした。
「お前が婚約者をさらわれて頭にきていることはわかるが、全員で行かないと勝てる相手でもないだろ!」
悪魔は羽ばたきながら空中で汚く笑って居る。まるでどんなことをされても負けない。余裕だ。そう言って居るように…
「剣を振る、というのは…、どういうことか分かるか?」
クレイスはそう呟いて、剣を高らかに掲げた。
0
あなたにおすすめの小説
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート
みーくん
ファンタジー
気づいたら異世界に飛ばされていた、おっさん大工。
唯一の武器は、腰につけた工具袋——
…って、これ中身無限!?釘も木材もコンクリも出てくるんだけど!?
戸惑いながらも、拾った(?)ギャル魔法少女や謎の娘たちと家づくりを始めたおっさん。
土木工事からリゾート開発、果てはダンジョン探索まで!?
「異世界に家がないなら、建てればいいじゃない」
今日もおっさんはハンマー片手に、愛とユーモアと魔法で暮らしをDIY!
建築×育児×チート×ギャル
“腰袋チート”で異世界を住みよく変える、大人の冒険がここに始まる!
腰活(こしかつっ!)よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる