13番目の神様

きついマン

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二期 三章

剣を振る 中

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 後数秒で到達するであろう、強大な敵に対して身構える俺達。

 クレイスも構えをとるが、冷えた目からは寒気がするほどの殺気が漏れていた。

 婚約者が連れ去られたという事実が彼をあそこまで追い込んでいるのか…
 俺は考える。

 あの目に浮かんでいるのは、純粋な怒りなのか…

 俺は少し訝しさを覚えながら距離を逆算する。

「あと15秒。…10。」

 秒数を小声で口に出してアリサに伝える。

「5.4.3....くるぞ。」

 その瞬間、俺たちを爆煙が包み込み、視界を奪って行く。

 ガァンッ

 すぐに重たい鉄を打ち合わせだときのような音が鳴り響く。
 音とともに、衝撃波で煙が一気に晴れる。

「貴様が悪魔か。」

 クレイスが翼の生えた生物、おそらく悪魔の爪を剣で止めていた。

「貴様をやはりぃぃ…連れて行かないとぉぉ…!!」

 呻き声を上げる悪魔。

「悪いが、半殺しにさせてもらう。」

 クレイスは爪を跳ね上げ、悪魔の腹を蹴り上げた。

 しかし、その蹴りはもう一方の腕でガードされた。

 一部始終を見ながら、俺はアリサにサインを出す。

(まず俺が出る。隙を見て奴に一発弓を当てろ。ダメージにならなくていい。)

(了解。)

 事前に決めたサインでそういう会話を行い、クレイスが追撃をするタイミングで悪魔の背後に回るように裏道を全力で走る。

「流石にぃ…、容易くはぁぁぁ…、いかないかぁ…!」
 
 悪魔が翼を広げ、クレイスの足を握ったまま飛ぼうとする。

「やらせるか!」

 そこに俺が飛びかかる。
 
 スキルを全力で行使し、背後から殴りかかる。
 しかし、悪魔はまるで後ろが見えているかのようにクレイスの足を離し、空中へと逃げた。

「何!」

「お前たちがぁぁ…、居ることはぁぁ…、わかって居るぅぅ…。」

 今、お前”達”といったか…!?
 俺以外にも全員バレてるってことか…

「作戦がこうもあっさり破綻するとはな…。まぁ、簡単に成功するとも思っていなかったが。」

 悪魔は俺のその言葉を聞いた後、大きく口を開け笑い始めた。

「ギャヒヒヒィ!悪魔にぃ、その程度ノォ、隠密はぁぁ!無意味ぃ!」

「どういうことだ?」

「俺たち悪魔はぁぁ、魔力探知がぁ…できるぅ…。気配を隠すぐらいじゃぁ、意味などないぃ…。」

 最悪だ。セリスに前聞いたが、生きて居るものは皆魔力を持って居るらしい。そんなもの隠す訓練も、スキルもない。どこに隠れても、どんなに裏をとっても場所がバレるということだ。

「正々堂々行くしかねえってことか…。」

 俺が拳をパキパキ鳴らしながら悪魔に近づこうとすると、クレイスがそれを制してきた。

「来なくていい。お前達もだ!」

 俺たちに向けたその声はとても大きく、俺たちは驚いた。
 アリサも構えていた弓を下ろした。

「お前が婚約者をさらわれて頭にきていることはわかるが、全員で行かないと勝てる相手でもないだろ!」

 悪魔は羽ばたきながら空中で汚く笑って居る。まるでどんなことをされても負けない。余裕だ。そう言って居るように…

「剣を振る、というのは…、どういうことか分かるか?」

 クレイスはそう呟いて、剣を高らかに掲げた。
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