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二期 三章
振れなかったツルギ
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「まだ目覚めませんが…、どうやら血が止まったようですぅ…!息もしています!」
クレイスがアレクを切りつけた30分後、ようやくアレクの流れでる血が止まった。
私は持っていた変えの包帯をその場に落とし、安堵した。
アレクは生きている。
何故か私は泣いていた。
「私はもう少し治療します。お二人は水と綺麗な布を用意してください!」
三人でアレクを近くの宿に運んだ後、セリスは休む事なく治癒魔法を続けていた。
私とサンは頼まれた通りに水と、受付に綺麗な布を貰いに行った。
「これ、もらって来たわ。」
「僕もここの井戸で水を汲んで来たよ。」
セリスの横に水と布を置くと、ようやくセリスは手を止めて濡らした布でアレクの傷口を拭き始めた。
「私、ずっと思ってたんですぅ。何故迷い人であるアレクさんが、この世界をこれほどまでに救おうとしているのか…。」
優しく拭きながらセリスが話し始める。
私も同じことを考えていた。
なぜ、別世界の住人であった彼がこんな目にあってまで魔王を倒さんとしているのか…
正直、理解ができなかった。
「理由は私にはわかりません…、けど、なにか事情があるのでしょう。」
だが、最近やっとわかった。
「ただ私、一つだけわかりました。この方…」
「「「滅茶苦茶お人好し!!」ですぅ!」だ!」
静かに話を聞いていたサンにまで言われるほどである。
「そうなのよ!!こいつ滅茶苦茶お人好しでなんでも助けようとするから!!」
今まで誰になにを頼まれても断らなかったアレクを思い出した。
「まさか、盗みを働いた僕まで助けるとはなぁ…、そのおかげで母ちゃん元気になったけど。」
「ですよねぇ…。」
三人で話しているうちに暗くなっていた雰囲気が少し明るくなった。
でも、私のはらわたは煮え繰り返ったままだ。
アレクと会ってまだ三カ月ほど…、短い間だけど沢山の出来事があった。
その度に助けてくれた。
親の仇である悪魔から私を守ってくれた。
私はアレクを好きになってしまっていた。
いつも守られてばかりで、とうとうこんな傷を負わせてしまった。
剣を振るという事は、大切な人を守るとき。
私は…振れなかった。
勇者の子孫として…、立派な騎士として。
今一度、立ち向かう。
「どこに行くんですかぁ!アリサ!」
気づけば私は剣をもって飛び出そうとしていた。
「またアイツはやって来るわ。私やアレクを見たんだもの、他の悪魔同様殺しに来るはずよ。だから、そうなる前に私が奴を倒す。」
「一人なんて無茶だよ!」
飛び出そうとする私の前にサンが立ちはだかる。
「私がこの中で一番戦える。セリスは魔力をほとんど使い果たしているし、貴方はまだまだ弱いわ。」
「そうかもしれないけど…」
そのやり取りを見ていたセリスが思い出したように首を横に振った。
「…ダメですぅ、こうなったらアリサは聞きません…。……アリサ、必ず生きて帰って来てください…!」
「セリス姉ちゃんまで!?」
「わかったわ。ここに誓う。」
必ず、次は守りきる。もう手出しはさせない。
私は剣を片手に宿を飛び出し、悪魔が飛んで行った方へと全力で走った。
煮え繰り返ったはらわたと、
宿った恋心を燃料にして。
クレイスがアレクを切りつけた30分後、ようやくアレクの流れでる血が止まった。
私は持っていた変えの包帯をその場に落とし、安堵した。
アレクは生きている。
何故か私は泣いていた。
「私はもう少し治療します。お二人は水と綺麗な布を用意してください!」
三人でアレクを近くの宿に運んだ後、セリスは休む事なく治癒魔法を続けていた。
私とサンは頼まれた通りに水と、受付に綺麗な布を貰いに行った。
「これ、もらって来たわ。」
「僕もここの井戸で水を汲んで来たよ。」
セリスの横に水と布を置くと、ようやくセリスは手を止めて濡らした布でアレクの傷口を拭き始めた。
「私、ずっと思ってたんですぅ。何故迷い人であるアレクさんが、この世界をこれほどまでに救おうとしているのか…。」
優しく拭きながらセリスが話し始める。
私も同じことを考えていた。
なぜ、別世界の住人であった彼がこんな目にあってまで魔王を倒さんとしているのか…
正直、理解ができなかった。
「理由は私にはわかりません…、けど、なにか事情があるのでしょう。」
だが、最近やっとわかった。
「ただ私、一つだけわかりました。この方…」
「「「滅茶苦茶お人好し!!」ですぅ!」だ!」
静かに話を聞いていたサンにまで言われるほどである。
「そうなのよ!!こいつ滅茶苦茶お人好しでなんでも助けようとするから!!」
今まで誰になにを頼まれても断らなかったアレクを思い出した。
「まさか、盗みを働いた僕まで助けるとはなぁ…、そのおかげで母ちゃん元気になったけど。」
「ですよねぇ…。」
三人で話しているうちに暗くなっていた雰囲気が少し明るくなった。
でも、私のはらわたは煮え繰り返ったままだ。
アレクと会ってまだ三カ月ほど…、短い間だけど沢山の出来事があった。
その度に助けてくれた。
親の仇である悪魔から私を守ってくれた。
私はアレクを好きになってしまっていた。
いつも守られてばかりで、とうとうこんな傷を負わせてしまった。
剣を振るという事は、大切な人を守るとき。
私は…振れなかった。
勇者の子孫として…、立派な騎士として。
今一度、立ち向かう。
「どこに行くんですかぁ!アリサ!」
気づけば私は剣をもって飛び出そうとしていた。
「またアイツはやって来るわ。私やアレクを見たんだもの、他の悪魔同様殺しに来るはずよ。だから、そうなる前に私が奴を倒す。」
「一人なんて無茶だよ!」
飛び出そうとする私の前にサンが立ちはだかる。
「私がこの中で一番戦える。セリスは魔力をほとんど使い果たしているし、貴方はまだまだ弱いわ。」
「そうかもしれないけど…」
そのやり取りを見ていたセリスが思い出したように首を横に振った。
「…ダメですぅ、こうなったらアリサは聞きません…。……アリサ、必ず生きて帰って来てください…!」
「セリス姉ちゃんまで!?」
「わかったわ。ここに誓う。」
必ず、次は守りきる。もう手出しはさせない。
私は剣を片手に宿を飛び出し、悪魔が飛んで行った方へと全力で走った。
煮え繰り返ったはらわたと、
宿った恋心を燃料にして。
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