13番目の神様

きついマン

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五章

歓迎会

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 俺たちは村長の家でもてなされていた。
 あの後すぐに村長の家に向かったのだが、すでに立派な料理達が並んでいた。村長曰く、いつも祭りをしているわけだから、すぐにこれくらい準備できなければ祭りの村は語れない。だそうだ。

「しっかしオメエら、結構やるなぁ!」

 豪快に酒を飲みながら俺たちを賛辞する村長。髭に泡をつけ、美味そうにエールを飲む。その姿を習って俺も一気に流し込む。

「っぷはぁ!いやいや!おっさんに比べたらまだまだ!!」

 久しぶりの酒で俺はかなり酔ってしまっていた。アリサの目が痛い。

「はぁ、ヤダヤダ、酔っ払いってほんとにうるさいわ…」

「それが良いとこですよぉ~!あれを見るのが楽しいんじゃないんですかぁ!」

 セリスはギルド勤務だっただけあり、見慣れているようだ。少し変な趣味に転じてしまっている。

「セリス、ごめんわかんない。」

 アリサが呆れた頃、裏方からサントが出てきた。

「みなさんまだまだ、お酒も食事もございますので、お楽しみください!」

「おぉう!サント!お前も飲め飲め!!」

 甲斐甲斐しく働いていたサントを村長が強引に引っ張り、口にエールを流し込ませた。

「ああいうノリが一番嫌いだわ…」

「おい、アリサぁ!飲んでんのか?!」

 この時、俺は本当によっていた。アリサはやれやれと「飲んでるわよ」とだけ言って会話を切った。酔ってる俺は少しムッとしてしまって…

「へ?何?」

 酔ったままアリサに近づき、強引にアリサの顔をこちらに向けた。なんどもいうが俺は酔っていたんだ。
 そのままアリサの顔を引き寄せ…

「ふぇっ?!近い近い!なに?」

 キスした。

「ふははは!酒を飲まない罰だ!!」

「アレクさん流石にやり過ぎですよぅ!!!アリサさんも怒って…ってあれ?」

 アリサは赤面し、怒るわけでもなく、少し嬉しそうだが複雑そうな表情を浮かべている。

「初キスがアレク、キスした。キス、でも酔った勢い…ちゃんとして…」

「アリサ?」

 セリスが声をかけた瞬間、ハッとしたように顔をあげ、一気に真っ赤になった。

「ひゃああ!!何でもないしなにすんのよ!!」

 バチーン

 俺は思いっきり左頬をビンタされた。少し酔いが覚めて、先程のことを思い出していた。
 あれ?いま俺は何をしたんだ?唇に残る感触。もしかして俺あの美少女にキスした?

「本当に本当にごめん!!酔っ払って、気がでかくってうわぁ!!」

 二発目のビンタが飛んできて、そのビンタは右頰をしっかり捉えた。

「ぐわぁっ!!」

 もともと強いアリサのビンタは恥ずかしさという鎧で固められ、さらに威力を増した鉄槌となっていた。
 その神の裁きをくらった俺は、元いた世界だとありえないぐらい吹っ飛ばされた。

「もう知らない!!」

「前途多難ですぅ…」

 ふてくされるアリサを尻目に、セリスは今後の心配を口にして、一口酒を飲む。




……
………

「今日はありがとな!」

「おう!またこいよ!!」

 ひとしきり飲み食い騒いだ俺たちは(アレクだけじゃないの…)村長の家を後にして、もう一度宿屋へ戻った。

 部屋を3つとって、それぞれが部屋に入った。……はずだった。

「どうしたんです?二人とも、なぜ俺の部屋にいるんです?」

 一度ベッドに入ってまどろんでいた俺の左右に二人が入り込んできた。
 今現在、俺の部屋には美少女が二人、相部屋ではないのにもかかわらずである。

「私は、その、まだ怖くて…」

 アリサは可愛らしくそう呟いた。うむ、この前と同じ理由だ。わかる。

「セリスさんはなぜここに…?」

「二人が変なことしないか監視役です!!」

「いやいやいやいや!?何もしないよ俺は!?だいたい監視役ならベッドに入らなくても良くない?!」

 全力で否定する、このままでは眠れん!!

「ダメです!!瞬時に守れる位置にいないと、アレクさんは何するかわからないですからぁ!!…今日のキ…キスとか…」

「だぁぁあ!悪かったよ!好きにしてくれ!!」

 あの一件で俺の信用は地の底まで落ちてしまったらしい。恨むぜ数時間前の俺…

 俺は信用を無くし、両手に美女を抱えたまま、寝ることとなった。

「…って寝れるわけねえだろ!!」

 俺は朝まで眠れなかった。
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