【本編完結】私のツガイが「他の男にも抱かれろ」と言って来るので戸惑ってます(後日談投稿しました)

天狼本舗

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異世界

19. 故郷(フォンテの街)

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朝、テントを片付けて昨日の焚き火の元に向かうと、既に何人かが起きていて、朝食を食べていた。
昨夜の猪肉の残りを挟んだ、ポテトサラダとバゲッドサンド、オレンジジュースにコーヒー付きだ。それを私たちも分けてもらい、日のそばに座ってゆっくりと頂く。

オウガがツンツンと腕をつつくので、言われた方を見てみると、そこにはアッシュの膝の上に座って、アッシュが千切ったバゲットを食べているローザの姿があった。ふたりとも、ニコニコ微笑み合いながら、時折耳元に口を寄せて何かを囁き合ってる。
なんか、色々上手く行ってるっぽい。


そんなふたりを観察しながら朝食を食べていると、隣りに座っている冒険者がオウガに声を掛けてきた。

「あんた、昨日ローザに魔力循環調整した魔力調整師だよな」

「あぁ。オレはオウガ。アンタは?」

「あ、すまん。俺はジオ。よろしく」

差し出された右手を、オウガが軽く握る。流れで私も軽く握手した。

「それで?」

「あんた、ギルドからの依頼メッセージを、最近確認したか?」

「いや、してない」

「だよな。
『ポルトガルド近くのフォンテと言う小さな街に、魔力を拗らせてる患者が居るから、手隙の調整師はフォンテに向かって欲しい』って言う依頼内容なんだよ。今朝見てもまだ取り消しになってないから、一応アンタに知らせとこうと思って」

「・・・フォンテ」

「知ってるのか?」

「いや、名前を聞いたことがあるだけだ。・・・分かった、考えてみるよ。情報をありがとう」

「いやいや。んじゃ、俺はこれで。・・・またいつか、どこかでな」

そう言うと、手を振りながらジオは南の方へと山を降りて行った。


「フォンテ、か・・・」

呟きながら、オウガが何かを考え込んでいる。

「オウガ。・・・あの、魔力調整なら、もう私のワガママのことは気にしないでね」

「あ、うん。ふふ、ありがとう」

何を思い出したのか、オウガが私の頬にキスしてくる。

「さっきジオが“フォンテの街“、って言ってただろ?」

「あ、うん」

「そこって、リーザの出身地なんだよ」

「え」

「依頼情報を聞いてしまった以上、無視することも出来ないから行ってみるつもりなんだけど・・・。リサ、良いかな?」

「構わないけど・・・。つまりその街では、私は“リーザ“って名乗ったほうが良いってこと?」

「うん。で、当初の予定通り、“リーザは旅の途中で重い病にかかり、回復はしたものの記憶を失ってしまった“ってことにしよう」

「うん、分かった」

「じゃぁ、そう言うことで」



「あの・・・」

私たちが食器類を洗って返却し、さて、そろそろ移動しようかと言うタイミングで、後ろからローザに声をかけられた。

「こんにちは。あなたがオウガですよね? 昨日はありがとうございました」

そう言って、ペコリと頭を下げる。

「・・・とは言っても、スミマセン、全然覚えてないんですけど。アッシュから色々聞きました。魔力爆発起こして、皆さんに迷惑をかけてたらと思うと・・・。本当に、あなたには感謝してます。ありがとうございました」

「昨日は色々な魔法を、瞬時に判断して使い分け、しかも使い続けなければならない過酷な日だったからね。ローザは多分、自分の限界を超えて頑張りすぎちゃったんだよね?」

「ううっ、スミマセン・・・」

「仕方ないさ。でも、あれだけ魔法を使ってもなお魔力爆発を起こしそうなほどの魔力保有量だ、ってことだから、将来が楽しみだよ。
これからは、場の空気に呑まれずに、ちゃんと自分の魔力配分にも気を配ってね」

「はい、ありがとうございます! ・・・そしてリサっ!」

「は、はいっ」

のんびり傍観していたらいきなり名前を呼ばれたので、びっくりして声が裏返ってしまった。

「リサは、オウガのツガイだって聞きました。リサのツガイの貴重な時間を使って助けて頂いたこと、本当に感謝してます。ありがとうございました」

「い、いえ、いえいえ」

私は何もしてないのに~~~、いや、ナニかはしたのか? ・・・と、ちょっと笑顔が引き攣ってしまう。
するとローザの後ろに居たアッシュも近寄って来て、

「オレからも、アンタたちには礼を言うよ。おかげで、ローザと親しくなれた。彼女、テロークの街に来てくれることになったんだ。ホントにありがとう!」

そう言って、ハジけるような笑顔を見せてくれた。

「テロークの街に来たら、是非また会おうな!」

そう言って、ふたりはテロークへと続く北東方面へと、山を降りて行った。
昼食を終えた他の面々も、それぞれ別の方へと散って行っている。


「・・・なんか、テロークの街に行っても、ローザには会えないような気がするな」

「うん、私もそんな気がする。アッシュに家の中で大切に愛でられて、外には出してもらえなさそうだよね」

「うんうん、そう思った。・・・さて、患者が待っていることだし、オレたちもそろそろフォンテに行こうか」

そう言って、オウガが私を片手抱きにすると、魔法陣を立ち上げる。
ほわほわっとした光が渦を巻いて立ち上がる。

「・・・オウガ。私、魔法の光が視えるようになったみたい」

「そっか。従兄弟たちに抱かれて一気に魔法保有量が増えたからだね」

「オウガの魔法はキレイね」

「リサの魔法も、今度じっくり視てごらん。すごく優しい魔法だから」

「ふふふ、ありがとう」

優しい目で見つめてくれるオウガに微笑み返すと、私たちは転移陣の魔法にふんわりと包まれた。




転移陣の光が霧散して、まず目についたのは木々に囲まれた泉。
太陽の光を受けてキラキラとその水面を輝かせる泉が、森の中にあった。
その泉から、獣道のような細い道が木々を縫うように続いている。ゆったりとした傾斜を下るその道を辿っていくと、唐突に草原のようなところに出る。そこでは牛や羊に似た動物が、のんびりと草をんでいた。
そこがフォンテの街の外れのようで、そこからさほど遠くない場所に、尖塔や背の高い家々が固まっているのが見える。
多分あれが街の中心、とあたりをつけて、そこを目指す。

街の中に入ってみると、思ったよりも割と奥行きのある大きな街だった。山の谷間に沿って、細く長く伸びているらしい。
子供たちがわあっと叫びながら走って行く。その後を追いかけていたひとりの女性が、リサを見て立ち止まった。

「リーザ! リーザじゃない! 久しぶり。帰って来たのね。元気にしてた?」

「あ、あの、・・・えっと」

普通に戸惑ってどもると、オウガが代わりに対応してくれた。

「初めまして。オレはリーザのツガイのオウガです。実は・・・」

「・・・えっ、記憶を失うほどの大病だなんて。・・・もう大丈夫なの? リーザ」

「あ、はい。記憶が無いだけで、体の方は至って健康そのものです」

「あー。リーザにそんな口調で話されると、なんかすごい違和感ー」

彼女は、眉をハの字にして口を尖らせた。

「えーと、私はディンファ。あなたの幼馴染よ」

「あっ、そうなんですね。ごめんなさい、私はリーザ」

「知ってるし!」

ディンファが、あははと笑った。

「でも、病気のおかげでツガイと出会えたなんて、結果オーライだわね」

笑いながら私の肩を、ぽんぽん叩く。

「・・・ところで、この街に魔力調整が必要な患者が居るってギルドからの情報で聞いて来たんだけど、ディンファは知ってるかな?」

オウガが問うと、ディンファはハッとした顔をした。

「そう、そうなのよ。アークが、長いこと拗らせちゃってて。ほら、リーザがいつも発情期の相手をしてもらってた、・・・って覚えてないのか」

「発情期の相手を、いつも、してもらってた?」

「うん。そう言えば、処女開通もアイツにしてもらったんじゃなかったっけ」

「・・・って、ことは、男性・・・?」

「そーよ、当たり前じゃない」

その答えに、驚いてオウガの顔を伺う。

「オウガは、男性の魔力調整も出来るの・・・?」

「・・・やったことないな」

オウガは、特段困った顔もせずにディンファに頼んだ。

「とりあえず、そのアークのところに案内してくれるかな」









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