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26 ポルトノルドで(※)

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荷物をまとめて、とにもかくにもと向かったポルトノルドのギルドで。


ヴィーオが来たことに気がついたラウルと言う名の大柄なギルド員が駆けつけて来て、イルザに逃げられたことを告げられ、謝られた。そして『その件で伝書を送ったのに戻ってきてしまったので心配していた』と。
そこで、ヴィーオが今までの経緯を話した。

イルザに襲われ閉じ込められたくだりでは、周りで話を聞いていた冒険者たちが顔を青くしたり赤くしたりしつつも怒声を上げる。
ラウルは土下座せんばかりの勢いで平謝りしていた。

そのイルザを、サイガーで捕獲したオークとまとめて街道沿いの仕掛けの中に閉じ込めて放置して来たことを告げると、今度は驚きの声が上がり、感謝された。

「最近北東の孤島から流れ着いたらしいオークが一頭、サイガーに棲み着いたらしい、って言う目撃情報は上がって来てたんだよ。
だけどオークってほら、男だろうが女だろうが、若かろうが年老いてようが構わずに来るから、みんな怖がってなかなか捕獲出来ずにいたんだ。
あんた、よく捕獲出来たな」

「いや、サイガーの奥の洞窟をねぐらにしていたオークを見つけて、こっそり後ろから近寄って、首に手刀をこう・・・」

説明するヴィーオに、みんなは『はああぁぁぁ??』と目を剥いた。


実はヴィーオには、予め簡単な“気配隠し”の魔法を付与したお守りがわりの鉱石を渡してあったのだ。
“仕掛けの素材“がオークだと予め知っていれば、火喰い竜のツノのネックレスの方を先に作って渡していたのにな。
まぁ、そんなの無くても、ヴィーオの狩りの腕は確か(本人談)だから大丈夫だったみたいだけど。


他所よそから来た冒険者たちから、しょっちゅうイルザのマナーの悪さについて苦情が来てて本当に困ってたんだ。だけど捕まえて謹慎させようにも高確率で魔法使って逃げられてたから、俺たちもほとほと困り果ててたんだよ。閉じ込めてくれただなんて、めっちゃ助かるわ~」

「イルザのヤツは、しばらくこのままオークと一緒に謹慎、放置で良いんじゃね?」

「そうだな、それが良いや」

「いや、それってアイツにとってはご褒美なんじゃ・・・」

みんながワイワイと盛り上がる中、ラウルがふとこぼしたその言葉に、一瞬当たりが静まり返る。

「・・・そうかも」

誰かが漏らしたその言葉に、ヴィーオが心底腹立たしそうな顔をした。




報告を終えてギルドを出た私たちは、とりあえず食事を摂ることにした。
いつの間にか日も暮れて、空には星が瞬いていた。
思えば長い一日だった・・・。


港近くにある、ヴィーオのイチオシだと言う飲食店に入り、煮魚と山菜の料理に舌鼓を打つ。
このところずっと手持ちの食材で作った料理ばかり食べていたので、久しぶりに食べるプロの料理に舌と胃が大いに喜んだ。

すっかり満腹になって葡萄ベースの果実水を飲んでいると、アルコールが入っているワケでもないのに急に頬が熱くなり、ジワジワと体温が上がり始めた。くらりとめまいがした。

それに気がついたヴィーオが、その飲食店に併設されている宿に部屋をとってくれた。
3階にある、長期滞在用の部屋だった。


色々あってすっかり埃まみれ汗まみれになった身体に、ヴィーオが浄化魔法をかけてくれて、一瞬にして服ごと洗浄される。

それらしいコトは何もされていないと言うのに、既に身体の奥がひどく疼いて仕方がない。


「・・・私、もしかして・・・。コレって、発情期・・・?」

「うん。前回からそろそろ半年でしょ?
さっき、食事の時。アリーシャの魔力がカッと強くなったのを感じたから、そうじゃないかと思った」

「え・・・、そんなことまでバレちゃうの?」

疼きに耐えつつ焦って問いかける私に、ふふふと笑いながら、ヴィーオは優しくキスして来た。
触れるだけの優しいキス。
優しく抱きしめてくれながらも、そっと私の身体を這い回る指先。



半年ぶりのヴィーオとのアレコレを懐かしさと幸福さとともに味わっているうちに、ヴィーオによって教え込まれ、でもこの半年で忘れかけていた鋭敏な身体の感覚と快感が甦ってくる。・・・次第に余裕が無くなってくる。

・・・そうしていつしか私は、発情期の嵐に呑み込まれていた。

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