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マリモはワンッ。
しおりを挟む【お詫び。】
大風邪ひきまして…。
更新間隔バラバラになります。お読み戴き有り難うございます。
*****
おい…。
貴様は季節外れの王道転校生君か?マリモ頭のメガネ君なのか?母さんがハイテンションになりそうだ。勘弁してくれ。
しかし良かった。
頭がすっ飛んだと思ったらカツラだったよ。しかし今時アフロ?しかも抹茶色だぞ?確かにこの世界は髪色がカラフルだ。姫様もピンクだし、イエローやブルー何てのもザラにいる。しかも遺伝子は関係無い。親子で信号機色何てのもザラ。俺達の様な暗い黒一色の方が珍しい。魔王のメンバーにも黒髪は居なかった。親父は黒髪なのにな。黒は優勢遺伝子の筈。異世界では違うんだな。しかしアフロは無いだろ?アフロは!嫌な事を思い出したわ!
俺が入学した男子校に、マリモ頭が転校して来やがったんだよ!しかも俺と同じクラス。片親の俺を勝手に不幸認定しやがって、友達になってやると生徒会とかに連れ回す。生徒会は人気者の集り。お陰で俺は学校は針のむしろだった。
何故かアフロはそんな奴等に気に入られてたから、俺が悪人にされたわけよ。生徒会役員に近寄りたいから、マリモとくっついてるとかね。
マリモが勝手に寄ってくるんだよ!俺は生徒会の野郎に何て、微塵も興味は無いわ!姉妹高の生徒会長様なら、興味津々でしたけどね!
これってテンプレ何だって。母さんに教えられた。山奥の全寮制男子高校が舞台。高貴な方々のご子息達が集う学園。堅苦しい狭い生活圏。優秀な筈のご子息様達は、自由奔放なマリモが気になる。しかもマリモは実は変装で美少年。それがバレて生徒会役員達が奪い合う。そして俺は巻き込まれ平凡君役らしい。
平凡君はテンプレでは当て馬役。生徒会役員に群がるチワワが吠えまくり、ドーベルマンが威嚇する。ブルドックや雑種にも噛みつかれる。生徒に虐められ虐げられヤられる。もう散々だ。しかもマリモは知ってて知らぬ振り。か、天然で本当にきづかないパターン。平凡君が下克上するパターンも人気らしいが、俺の場合は無かった。と言うか逃げ切った?野郎とあははウフフする下克上何てしたくもないわ!しかしマリモは腹黒だったね。絶対に気付いてたよ。確かに可愛い顔してた。でも間違えるなよ!俺の通ってた高校は男子高校だ!当たり前だが、女子生徒はいない。
マリモめー。貴様の演出に俺を強制出演させやがって!しかもマリモに近付くなと腹黒副会長に殴られた。ぶっ飛んだ眼鏡。その後何故か、眼鏡の無い俺の顔を凝視されチューされた。何故コンタクトをしないかだと?そんな高い奴買えるか!眼鏡なら安いんだよ!そこに生徒会長まで来て、おれの顔を凝視してる。
あの目ヤバい…。
ゾロゾロと集まる生徒会役員達。副会長が俺を拘束し、会計が俺の髪をかきあげ、会長が顎を持つ。そこにマリモが突撃してきた。マリモが俺を突き飛ばす。俺は壁に頭と左肩を激突し動けない。暫し目前が白くなる。意識を失っていたのだろう。マリモはそんな俺をガクガクと揺さぶりながら、大丈夫かと呼び掛けてたらしい。そして虐めるなよ!皆で仲良くしようぜ!と騒ぎ出す。途中で意識を取り戻した俺は、隙を見て逃げ出した!
俺は全治2週間だった。
それ以来、俺は不登校になった。マリモは俺を庇ってくれた。しかし俺は聞き逃さなかった。
「さっさと出てけ。当て馬は地味にしてろ。死ねばよいのに!チッ。」
舌打ち付きだ。もしかして少しは俺を心配してくれたのか?何て勘違いしてた。やはりテンプレはテンプレでしかなかった。頭を打ち、意識を失った人間を揺さぶるってどうよ?
本気で俺に死んで欲しかったんだろうな。因みに俺は美少年じゃ無いぞ。不細工だとは思わないけど、いたって平凡君だ。確かに母さんは可愛らしい。父さんも同じ様な系統だ。目が少し大きくて黒目がちなだけ。それがあの学校ではチワワに分類されたんだそうだ。俺がイケメンなら大丈夫だった。
俺が友達だったと呼べる奴は少ない。何故なら4月に入学し、夏休み前には不登校になったからだ。マリモは5月に編入してきた。考えたら変だよな。入学したばかりで転校かよ。
俺の入院先に、後ろの席だった奴が見舞いに来た。バスケ部の爽やかスポーツ少年君だ。彼とは時たま話す位だったが、然り気無くマリモから引き離してくれたりする奴だった。ソイツから俺はその後の話を聞いた。
俺の入院後、母さんが学校に怒鳴りこんで行ったそうだ。そこでマリモの一部始終の悪事がバレた。まりもの行動は天然だと思われていた。だからこそ、生徒会役員達も惚れたのだ。しかしそれは全て演技だった。実は幼馴染みにとある本を借り、それに影響され真似をしてみた。しかし入学したばかりの高校では上手くいかずにバレてしまった。共学だったそうだ。そりゃ演技の自分では、本物には負けるわな。
なら男子校で再挑戦だ!と、転校してきた。確かに上手く行った。俺の母さんを怒らせなければ…。
「だって!普通に理性の有る人間なら、己でモジャモジャアフロカツラ何て被らないわよ!変装ならもっと上手くやる筈。つまりはニセ物なの!現実に自然に王道転校生が発生する訳が無い。何かを模倣しなくちゃあんな変な変装は、浮かぶアイディアでは無いもの。天然な訳が有るか!モジャマリモはギルティよ!因みに参考書は、彼の周囲の腐女子を探しなさい。多分幼馴染みか姉よ。間違いないわ!手持ちをあげるから、教師達も勉強しろ!下手したら教師もターゲットよ。男子生徒に迫られたいなら進めませんが?先生なら生徒会という権力から、弱者の息子を守れよ!」
母さん…。何で証拠もなくそこまで断定出来たのか、俺は今だに不思議だよ。まああの本を読んで理解したけどな。マリモ恐るべし。
兎も角俺の診断書が提出された事で、学校側も調べざるを得なかった。そして真実は暴かれた。マリモの幼馴染みが、マリモに影響を与えていた。参考書は、母の提出した薄い本と被っていた。母さんはまさかそれ読んでるの?
知り合いがくれた?なら良いけど…。
マリモは退学になった。流石に次の行き先が見付からず、海外に行くか来年受験をし直すらしい。
生徒会役員達は、俺の怪我の成り行きを隠匿した罪に問われた。またマリモに踊らされ、仕事を放り出す。更には俺に対する虐めを率先した形になった事が問題視された。本人達にその気は無くとも、生徒会が虐めをスルーする。つまりは虐めは公認だと、一般生徒に認知されていた。人気の有る人間の影響力は高い。上に立つ者は、己の立場を見極めねばならない。それらの責任をとり、生徒会を解散。更には2週間の停学処分となった。
爽やかスポーツ少年は、俺に学校へ戻れと言ってくれた。しかし俺にはもうその気力が無かった。
母さんごめん。
退院後、直ぐに夏休みに入った。俺はそのまま学校にいかなくなった。
因みに異世界では、眼鏡は必要なくなった。視力という概念が無いらしい。
・・・・・。
あーあ。嫌な事を思い出したわ。
気分悪い…。
*****
母さんがじっとこちらを見ている。嫌な予感がビシバシする。
「やはりカツラだったのね。でもここは異世界よ。ニセ物の摸倣者はいない。祐太郎大丈夫?解るわよね?」
ああ。やはり心配させたか。
「大丈夫。取り敢えずコイツ洗ってくるから。」
「腹へった。」
・・・・・。
「腹が空いたのだ。」
きーさーまーはー!ほら見ろ!母さんがへにょり顔になった!俺はいうこと聞かんからな!
「祐太郎?先にご飯にしてあげましょうよ。何だか目もウルウルしてるし、プルプル震えてて可愛そうよ。何だか無い筈のワンちゃんの垂れ耳が、へにょりと垂れてみえてきちゃう。」
へにょりは母さんだわ!
「母さん?礼を欠く者に同情は要りません。ワンちゃんにも躾は必要なんだよ。それにプルプル震えてるなら尚更だろ。昨晩の雷雨にあたったんじゃないのか?なら温まらないと駄目だ。魔法での洗浄では、体まで温まらない。疲労も取れないんだ。」
項垂れる母さんをそのままにし、ワンちゃんを引っ張る。母さんもワンちゃん呼びだし、名前知らないから良いや。ワンちゃんは抵抗し俺から離れると、自身の服を弄り始めた。やがてビリリと破いた所から、小箱を取りだし母さんに差し出した。
「これ礼。だから結婚して、毎日飯を食わせてくれ。」
おい!これはフラグか?いきなり立つのか?中身は指輪だな。しかしその石デカ過ぎないか?しかも何だか嫌に高級感が有るんですけど?ワンちゃんの格好には似合いませんよ?それより母さんだ!まさか受け取らないよな?
「祐太郎の言う礼は金品の事じゃ無いわ。それに結婚とご飯を同等にして欲しくない。私は飯炊き女じゃないわ!」
母さん良く言った!そうだ!いけいけ!
取り敢えずあの指輪を鑑定してみよう。
・・・・・。
ひーふーみーよー…。
おい!
何てもんくれようとしてるんだよ!0が!0が数え切れんわ!しかも宝石の名前が鑑定できない。俺の鑑定はMaxだぞ。それを上回る隠蔽魔法かよ。
母さんってば、また変な奴拾って来たなぁ。まあ取り敢えず風呂だ!
「母さん。取り敢えず風呂に突っ込むから。仕事有るなら行って良いよ。」
「朝は任せてるから大丈夫。全て簡単にセット出きる様にしてあるからね。ワンちゃんはキレイキレイにして貰うのよ。暴れちゃ駄目だからね。」
「ワンちゃんでは…。」
嫌なら名のれよ。俺から聞いてはやらんぞ。
俺はワンちゃんを風呂場に突っ込む。着替えは俺の予備で良いだろう。身長は俺と同じ位だしな。タオルはこれだな。ん?もしかして俺より年下か?なら母さんが子供だと言うのも、強ち間違いじゃないのかも。口調は気に入らんが、年下ならすこしは優しくしてやろう。この世界は全体的に体格が良いみたいだからな。
弟妹は皆俺よりデカい。
「おーい。綺麗に洗ったか?キチンと前も洗えよ。背中が洗えないなら手伝うぞー。何処にいるんだ?」
2階の風呂場は広く作りすぎたな。まあ湯ぶねは数個に分けてるから、お湯を張らなきゃ大丈夫。温冷風の魔道具を付けたから、寒さ対策も大丈夫。しかし湯気で見えん。
あ!シルエット発見!ん?しかしデカく無いか?
・・・・・。
どう見てもデカいわ!
「おい!お前は誰だ?どこから入った?ワンちゃんはどうした?」
ソイツがクルリと振り替える。
「ンギャー!あんた誰?!」
おいよるな!魔法打っ放すぞ。奴がジリジリと近寄ってくる。
「私がワンちゃんだ。ワンッ!」
嘘だろー。どう見てもワンちゃんとは、体積が違うだろうが!ふざけてるのか?しかもワンッ!とか言うな!
「信用できぬのも仕方がない。取り敢えず服を借りる。説明は着替えと食事の後に頼む。久々のこの体で、慣れるまでが大変なのだ。」
久々?何が何だか解らんわ。しかし確実に解る事は有る。
着替えに用意した俺の服は、どう着てもつんつるてんだろう。
それに絶対に年下では無い。
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