【完】現世で私が、ダンジョンマスターになった訳。

桜 鴬

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パパが初めてダンジョンに入った訳。

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そこそこの大学を卒業し、そこそこの中堅企業に就職した。会社でもそこそこの地位に着いた頃、幼馴染みの彼女と結婚した。彼女は寿退社し専業主婦となり一男を儲けた。子育ては中々のハードモードだった様だ。しかし正直育児は妻の領域。夫が手を出す領域じゃ無い。ほぼ妻任せだった。

次々と入社してくる若者達。それにつけて役職も上がる。しかし責任は増えども給料は殆ど変わらない。そんな給料でも妻は遣り繰りし、マイホームを手に入れてくれた。だまって何でもしてくれる。私は良妻賢母の妻に感謝していた。

それがまさか帰宅する度に、妻にネチネチとイビられる様になるとは…。更には息子にまでジト目で見られる。女子供は拗らせると怖い。何でも当たり前。感謝は心ですれば良い。男に口を出される方が嫌な筈。亭主元気で留守が良いと言うじゃ無いか。何て調子の良い事を考えてたバチがあたった。

まあ営業が必要な仕事では無く、上司に接待ゴルフに付き合わされる訳でも無い。たまの残業は有るが、ほぼ定時に退社出来る。妻と子供にとって寡黙な父でも、毎晩一緒に食事をしてお風呂に入る。たまの休日には息子とキャッチボール。月に一度位は車を出し大型ショッピングセンターへ。これが妻の我慢のボーダーラインだった様だ。

つまりそのラインを越えたら…。

そんな考え古いですよ!今はイクメンですよ。育児は夫婦でするんです。奧さんが全てしてくれる?何も文句言わない?へー凄いですね。亭主関白何て化石物です!普通なら即離婚ですよ?余程奥様に愛されてるんですね。それとも実は逆に奥様を溺愛何ですか?ブレゼントが凄いとか?もしかしてアチラがですか?亭主関白を許して貰える何て羨ましいですよ。

何て後輩にぼやかれた事を思い出す。後輩よ!お前の意見は正解だった。聞き流しててすまん。後悔先に立たずだ。しかしボーダーラインを越えた元凶はお前だ!そんなに理解の有る奥様なら大丈夫!と、フリーパス買わせやがって!え?人のせいにするな?

・・・・・。

確かにそうだな。嵌まったのは自分だ。お買い得に釣られたのも自分だ。何も言わぬ家族に甘え、家庭を蔑ろにしすぎた。良し。キッパリと止めて家族サービスをしよう!ん?それはダメ?趣味は大切?確かにそうだが、離婚されてからでは遅いだろう!大丈夫。家族も巻き込め?家族で趣味が一緒なら素晴らしい?年間フリーパスも勿体無いし、パーティー組んでる自分達も困る?

おいお前…。最後が本音で、初めは付け足しじゃ無いだろうな?

でも確かにそうだな。本人は否定してるが実は妻も、自分と同じく若い頃には中二病を患って居た。はまれば多分、右手が疼く筈だ。只、どの様にして連れて行くかなんだよな?絶対に無駄遣いだと嫌がる筈。うーん…。もう少し考えて見よう。

*****

何だこの社内報は?歓迎会の回覧だ?ふむ。今年の新人歓迎会は飲み会では無いんだな。一部お取り下さいと書かれた案内書を見ながら考える。午前中に仕事を終え、会社前から送迎バスにて移動。昼食は移動中のバス内にて、弁当が支給される。行きのバス内での飲酒は不可。

動きやすい格好が必要な為、当日はクールビズ対応可。勿論、終業後に着替えでも可。備品は全て施設でのレンタル。到着後、難易度を考慮したグループで探索。終了後に宴会。(飲酒可。呑み切り終了。ソフトドリンクはフリー。)その後、現地解散。

場所はダンジョン?何それ?マジ?

んぁ?あれか!今メディアで騒いでる、体験型テーマパークって奴か?本物さながらの迫力でリアルダンジョンが楽しめるって奴だな。しかし凄いな。食事会の宴会も、ダンジョンの有る施設で出来るんだな。宿泊施設も有る。流石テーマパークを謳うだけは有る。しかし何故歓迎会でダンジョンなんだ?

若者達が飲み会なんて不健康な事はせず、運動にも話題にもなるダンジョンにしようと計画したそうだ。新人歓迎会は拒否権無しの全員参加。参加費も会社持ちだから文句も言えない。

それでソフトドリンクフリーで、飲酒は呑み切りで終了な訳ね。流石に宴会と名が付く限りは、乾杯のビール位は必要だろう。毎年飲んだくれるお偉いさんには、良い薬かも知れないな。絡まらずに済むのは正直助かるわ。

しかし運動かよ。大丈夫だろうか?

結果どハマりした。何なんだ。あのダンジョンは!快適すぎの上、VRゲーム何かとも比べられない位リアルだ。魔法を使うのもまるで本当に使用してる様に感じる。勿論詠唱とのズレ等有る筈も無い。剣もしかりだ。投影の筈の魔物やモンスターだが、キチンと歯応えが有る。最初はリアル過ぎる肉を抉り切る感触にビビった位だ。しかしあの血飛沫に咆哮。凄すぎる…。特に断末魔にはビビりまくり焦った。これはハードモードだと言われ、モード変更も試してみた。しかし馴れると物足りない。

「大の大人がハードモードで行かなくてどうするんですか!先輩は中二を患ってたとの事でのパーティー編成なんです!魔法使いの自分がサポートしてます。初期職に戦士を選んだなら、前衛でバンバン敵を倒して下さい!兎に角レベルを上げないと、戦士は魔法も使えず上級職にも上がれません!」

お前…。本当に今日が初めてなのか?実はやりこんでるんじゃ無いのか?今回限りかもしれんのに、レベル上げの心配は要らんだろう…。

「先輩はまだ考え事する余裕が有るんですね。なら補助魔法は必要無しと見なします。ブーストはかけません。死に戻りの経験も貴重です。回復は受付嬢のるみちゃんにお任せしてます。ほらあの角からまた雑魚が来ますよ。数が多いので先に自分が魔法で間引きます。間引き後は宜しくします!ではお先に!」

「我が左手にシールド。右手より出るは黒き者を葬る風の刃。行け!ウィンドカッター!我らに歯向かう敵を、その大小の刃で凪ぎ払えー!」

おい…。中二臭が凄すぎる…。

「ん?まだ間引き足りぬか?ならば追加のダブルトルネードだ!ふむ。良し!後は雑魚のみ。これ位ならば貴様らでも倒せるだろう。」

・・・・・。

ノリノリじゃん。貴様らってお前は何様じゃ!中二病はお前だ!!しかも杖無しで魔方陣かよ。しかも両手に展開。片手で仲間をシールドで守りながら、反対で範囲攻撃。本来ならこれにブーストもだろ?凄え。もしかしたらその臭い詠唱必要無いんじゃ無いか?

俺と同期で同じく戦士を選んだ隣の男を見る。視線で互いに何かを納得し、後輩の討ち漏らしをを狩りに駆け出す。まあ大方後輩の魔法で殺られてる。シールドで守られてたし、元気も満タンだ。回復はるみちゃんにお任せだしな。

「先輩!ロールプレイングです!あのゲームですよ!勝手に民家に入りタンスをゴソゴソ。ステテコ○○○とか盗むヤツ!基本は有れと同じ何です。受付にパンフ有りましたよね。社内報の回覧でもまわした筈です。キチンと読みましたか?」

確かに一部お取りしましたよ。でも両手に魔方陣グルグルまで書いて有ったのかよ!

「兎に角敵を倒して下さい!結果はそれについて来ます。昔ゲームでスライム狩りとか銀色スライム探ししたでしょう!レベルが命なんですよ。武器や防具はその後です。資金が有ればそれらでドーピングも出来ますが、レベル上がらなきゃお金も貯まりません!」

確かにメタル探しはしたな。

〈はいはい了解っと!だがお前、いきなりハマりすぎだろ…。〉

この後輩に巻き込まれ、自分もどハマりするまで後何分?初めで己で見付けたレア宝箱で浮かれまくり、後輩に釣られフリーパスをゲットし、パーティー仲間となるのだった。

*****

今日は祝日で久々に週末以外での休日だ。妻は布団干しに忙しい。私は早朝から邪魔だとばかりに、温い布団から追い出された。既に用意されてる朝食を食べ、コーヒー片手にパソコンを開く。居間で本を読む息子を視界の端に捉え、何気無く開いたパソコンのモニター。ブクマしてるダンジョン案内のページを開く。眺めてると新しいニュースが目に入った。近々大型イベントと共に、子供用ダンジョンが公開される。うーん。この大型イベント行きたいな。しかしその前の週も約束が有る。絶対に妻は許さないだろう。ふむ。では息子を連れて行こうか?テーマパーク入場には保護者が必要だが、子供用ダンジョンには小学生なら一人で潜れる。息子も巻き込めは、妻も久々にノンビリ出来るだろう。

先ずは息子を手懐けよう。そして妻だ。いずれは家族で楽しめるかもしれない。

案の定、息子は大喜びだった。妻も久々に一人を堪能し、OL時代の友人とランチとカラオケをしたそうだ。お土産の夕食には本当に感激していた。更には息子と私からのお土産だ。妻の満面な笑顔を見たのはほんと久し振りだった。

そうだよな。ゴメンよ。私は気付かなかった。

外出したら皆疲れてるよな。順番を待つのが嫌だからと、自分は帰宅して夕食にすれば良いと思ってた。お前が渋るのに、お茶漬けでも良いからと毎回ゴリ押ししてたよな。自分は何時もビールでも飲みながら、夕食が出来るまでテレビでも見ていた。しかしお前は休まない。いや今なら解る。休まないんじゃ無い。休めなかったんだよな。

お茶漬けだってご飯が必要だ。外出前に炊飯ジャーは止めるだろう。冷凍ご飯ではお茶漬けは旨くない。だからとお茶漬けの時は必ずご飯を炊いてくれてた。待ちきれないならと、例ご飯で炒飯を作ってくれた。子供にはオムライスだ。夕食を出し自分が子供と食事をしてる間も、風呂を用意したり外出の片付けをしたりしていた。運転手お疲れ様と、冷えた缶ビールとツマミまで用意してくれた。

何故か有り難みは蹟にならぬと解らない…。

外出で気持ちが高ぶったままの子供はハイテンションだ。自分は翌日の仕事に差し支えると、一緒に風呂に入れた後は妻に子供を任せ、妻達より先に寝て居た。妻は息子を寝かし付けた後、残り物で夕食を済ませ風呂に入り就寝していた。更には翌朝。キチンと朝食を作り私達に食べさせ、会社と学校に送り出してくれた。昼食の弁当も勿論手作りだ。

本当に感謝しても仕切れない。当たり前だと感じ過ぎてた。しかしこの満面の笑顔を見ると本当に心が痛む。すまん。本当にすまん。

*****

ダンジョンを時間になり脱出し、息子との待ち合わせ場所へと向かう。息子は私に気付き、ブンブン手を振り回している。息子にとっての初ダンジョン。大分楽しめた様で一安心だ。息子は何時にもましてニコニコしている。息子はママにお土産なんだよと、大事そうに手に何かを握りしめている。どれ?と覗き込むと、リボンをかけた透明な袋を目の前に出された。ダンジョンでゲットしたブランドハンカチにリボンを付けて貰ったそうだ。

・・・・・。

自分の土産は毎回同様、日用品のサンプルだ。数が有るしママも喜んでるぞ?との意味を込め、チラリと息子を覗き見た。しかし何故かニコニコしてる筈の息子の目が怖い。いや、これは多分自分が後ろめたいからそう見えるのだろう。

息子はブランドハンカチ。

大の大人の男が日用品のサンプル…。

どうみても勝敗は明らかだ。しかしこの後の夕食の弁当の出費は痛かった。だがここでケチっては先々不味い事になりそうだ。気のきく息子に育ったな。お前は将来リア充になれそうだ。このまま良い子に育ってくれ。

慌ててショッブに戻り、プレゼントに良さそうな品を物色する。実はショッブは男女別だが、互いに交換出来ぬ景品のカタログリストも閲覧出来る。ルートが変わり割高にはなるが、特にマニアにはドレスや装飾品が人気だ。月に一度だけルート解禁ディーが有るが、この日は朝から交換所に人が殺到する。お取り寄せ品は物により予約も出来る。只し解禁ディーに、ショップで支払いを済ませる事ができる事が条件。つまりダンジョンテーマパークに来園しなくてはならない。

チラリとカタログを覗く。これだよな…。親戚のばばあ達が冠婚葬祭の度に、妻にチクチク嫌みを言ってるのは知ってる。真珠のセットがイミテーションなのがそんなに悪いのか?あれだって片手じゃ買えなかったんだぞ?しかし確かにこの真珠の色艶とは全く…。

しかしルートが3割増…。

うんうん考えてたら、ショップの奥の華やかな片隅に目が吸い寄せられた。ん?色とりどりの花のアレンジメントか?

「宜しかったらプレゼントにどうですか?先月の母の日用に用意された物です。在庫過多で冷蔵倉庫で眠って居た物ですが、花はまだまだ持ちますよ。ミニプレゼント付きで、動物が手持ちしてる品も選べます。」

ほぅ。ピンクのカーネーションの花言葉は感謝。更にはトイプードル型にアレンジ。これは犬好きの妻にはピッタリだ。どれ?ミニプレゼントは、アトマイザーとコンパクトとリップから選べるのか?このハートの可愛いじゃ無いか。匂いもほんのりで良いな。因みに幾らだ?

・・・・・。

マジ?付いてる定価の半額?ポイント換算ならこれで良いの?良しなら決めちゃおう!日用品のサンプルもポイント交換しないで付けちゃう!大盤振る舞いだ!

ポイント交換して息子の元に戻る。つい安くついたのが嬉しくて本音をばらしてしまった。息子には、ママには内緒にしてあげるよと言われてしまった。

確かに知られたら、プレゼントの価値も駄々下がりだろう。落ち込んでたら、夕食のお弁当はママ凄く喜ぶよ!パパナイスだね!と息子にほめられた。

下げて上げる息子に…。

お前は父に似ず、リア充になれそうだな。

*****

帰宅後、家族でご予約弁当を食べた。妻は本当に喜んでくれて居た。懐は一気に寒くなったが、こんな些細な気遣いだけで、こんなにも喜んでくれるとは…。

風呂上がりにカレンダーを見てふと気付いた。夏休みの終わり近くに、妻の誕生日が有る。月末だからもしかしたら、ルート解禁ディーにぶつかるのでは?解禁ディーは毎月末の水曜日だ。誕生日は何曜日だ?

水曜日だ!これはチャンスだ。ダンジョンのアニバーサリープランを予約してやろう。日中はダンジョンでフリー。ランチブッフェにディナー付き。テーマパーク内のホテルで一泊。部屋は最上階のロイヤルスイート。子供が一人で眠る為の夢のお部屋完備。睡眠学習的な物で、しっかりと楽しむ事が出来る。勿論勉強では無い。ダンジョンテーマパークを夢の中でも続きをとのコンセプト。寝ながらバーチャルリアリティーを楽しむ。配分もしっかり睡眠もしっかり 。勿論、大人も楽しむ事が可能だ。

ほう?これは何だ?子供を寝かし付けた後は大人の時間プラン?どれどれポチリ。

このホテルはアフターファイブも充実している。ラウンジでのカクテルや、ダンジョンのポイントで遊べるカジノも有る。しかし凄いのはやはりロイヤルスイート内の寝室だろう。

カーテンを開くと、パノラマ状に一望できる景観。生憎オーシャンブルーでは無いが、広がる裾野に雄大な緑。夜になるとその隙間に灯る灯りとネオンの夜景。部屋の中で開放的にいちゃつくのも有りか?ボタン1つで部屋の中が海中やジャングルってのも凄いな。しかもベッドはウォーターベッド。回転もするのか!部屋に有るグッズは全て使用可。

これはゴクリ…。

不味い。久々に変な気分になる。ここまでファンタジーに拘る経営者様に感謝だな。このヒラヒラとかリアルでは着てくれそうも無い。でも着せてみたい。これもいいな…。

己も男だ!ムードで行けイケ!絶対に着せて転がし恥ずかしげもなく喘が…。

ん?息子が何故か見ている。ニヤニヤし過ぎたか?妄想タイムは夜にしよう…。

*****

このパック、確かポイントで支払い出来た筈。真珠のセットを追加でこの位か…。やはり解禁ディーはデカい。誕生日まで後約2カ月。パーティーの奴等に協力して貰えば、階層ボス3匹は行けるか?家族も巻き込めと大口叩いた奴等にも協力させよう。口だけでは許さん!ソロで潜るときは、ポイント還元率の高いお宝入りの宝箱探しだな。よし決めた!

良い武器が出た時の為にと、使わずに貯めてたポイント様々だな。ダンジョン抜きでも妻は喜ぶだろう。妻の喜ぶ顔を見るのはやはり嬉しい。暫く振りに彼方の悦ぶ顔も見たいが…。

夜は息子と違う夢の世界で楽しみたい。

何ならそろそろ弟か妹を…。私が家事と育児を協力すれば、後一人位は何とかなるのでは無いだろうか?可愛い女の子も良いな。イクメンとやらを頑張ってみよう。何て勝手に夢想しても仕方無い。先ずは妻を引摺り込まねば。しかし若い頃は一緒に中二病を患った同志。本人は患って居無いと喚いて居たが、絶対に左手が疼き、杖を持たせりゃ詠唱するタイプだ。しかも暗黒魔法だろう。初期職業選択は絶対に魔法使いだな。間違いない。

さあ頑張るぞー。

*****

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