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家族でダンジョンに入った訳。
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真夏の暑さもすっかりなりを潜め、秋も近付く今日この頃。今日は秋分の日。明日は振替え休日でお休み。巷は2連休。勿論サラリーマンの我が家も、通常通りの2連休だ。てな訳で、家族で泊まりでダンジョンへゴー。
本来ならば今週は1週間、定期メンテナンスでダンジョンはお休み。祝日を挟めど、定期的なメンテナンスは欠かさない。稼ぎ時だろうに安全第一な姿勢に、ますます好感度アップな経営者。既に我が家は家族でダンジョンの虜だ。
*****
子供の夏休みも終了し、息子と妻もボチボチとダンジョンを楽しみ始めた。特に夏やすみラスト!妻の誕生日への大奮発が、我が家に大勝利をもたらした。その後は時折妻と子供も連れ、ダンジョンに遊びに来ている。家族とは主に週末だ。しかし子供の帰宅が早い日は、会社の最寄り駅で妻と子供と待ちあわせ、平日の夜にも潜ったりしている。それぞれ別々に楽しめるのが良い。自分はタイミングが合えば会社のパーティーメンバーと潜る。合わなければ単独だ。
ダンジョンは基本男女別。子供は小学生~中学生までが子供用ダンジョン。それ以上は、大人の男女別ダンジョンと一緒に楽しめる。但し成人までは、一部に制限がかかる。例えばスプラッタ系のハードモードは不可等だ。プロテクターのモノクルの貸し出しは出来ない。つまりハードモードは不可だ。
因みに男女別々なのは、難易度の関係や宝箱の景品の調整の為。何て実は建前らしいが、やはり狭い空間での長時間の行動。要らぬトラブルを起こさぬ為の様だ。
しかしお互いが干渉無しで遊べるのは良い。更にはダンジョンを出れば、家族でも恋人でも男女でも楽しめる施設が併設されてるのもポイントだな。ソロで楽しみ出てから皆でワイワイ。色々な楽しみ方が有る。
因みに定期的に開催されるイベントで、男女混合パーティーで潜れる日も有る。
我が家が平日の夜に楽しんだ日には、帰宅時に翌朝のパンやお握りを買って帰る。妻は翌朝それにプラス、野菜たっぷりのスープやフルーツを用意してくれる。パンだけでも充分だと言ってるのに、家族の健康を考えてくれる。本当に良く出来た妻だ。
最近はダンジョンにお弁当を持参し、息子とピクニック気分でランチしたりもする。水筒を持ち込めるのは知って居たが、弁当まで持ち込める事を自分は知らなかった。妻もダンジョンに通い始め、施設案内で知ったそうだ。ここのダンジョンは比較的に良心的で、全てに於いてリーズナブル。例えばだが、自販機の飲料がバカ高かったりは無い。安くは無いが定価で有る。しかも現金同様、全てがダンジョンのポイントでも精算出来る。ファンタジー定番のギルドガードを模したiDカードに、ポイント等も集約される。テーマパーク内では、ダンジョン以外でもこのiDが使える。かなり便利だ。しかもポイントでの精算だと1割位安い。ついついポイントで無駄遣いをしてしまったりする。ポイントがテーマパーク内での仮想通貨の様だな。
但しこのiDカードは年間パスポート購入者のみ。我が家では私だけだったが、先日妻と息子も仲間入り。我が家はファミリーパスポートの、初所持家族となった。これは妻がポツリと呟き実現した。息子のご意見箱への投函にあやかってしまったのだ。
因みにお弁当はケチって妻に作らせてる訳では無い。少しでも私の小遣いの節約になる様にと、妻が自発的に作ってくれるのだ。流石に息子にお金を払わせる訳にはいかない。自分の小遣いでの遣り繰りは、自分が先に宣言した事だしな。
しかしこれも中々良い。実はお弁当を食べるエリアは決まっている。勿論、ダンジョンの中等では食べられない。水筒は可能だ。これも妻が用意してくれる様になり大助かりだ。食事エリアは、草原エリアに洞窟エリアだ。どちらも無料で利用出来る。草原エリアではピクニックセットの貸し出し。洞窟エリアではサバイバルセットの貸し出し。指定場所でセットを広げれば、ピクニック気分と洞窟探検気分で食事が出来る。草原では動物を沢山見る事が出来る。洞窟は神秘的な鍾乳洞風だ。草原はファミリーに人気。洞窟はカップルに人気。普通のテーマパークなら、これだけでも観覧料をとられそうだ。
雄大な草原を眺めながら迫力のある動物を見る。ピクニックセットに含まれている望遠鏡を取り出し、息子と遠くも眺めて見る。良く見ると魔物も居る。そんな中でのお弁当は中々スリルが有る。しかしこれが全てコンピューターグラフィックか?リアルすぎてバーチャルだとは思えない…。洞窟では光のライトアップ等も有りますます凄い。光苔や洞窟内の生態を見ることも出来る。弁当持参で無料でファミリーにも優しい。因みに食事エリアなので、食事以外での用途では使えない。他にも色々使用出来そうなのに、本当に贅沢な空間だ。
混雑時は時間制。弁当の持ち込みの無い場合は、売店で購入する事も出来る。種類も多く中々旨い。勿論、テーマパークに合わせた弁当で、骨付き齧り付き魔物肉弁当が一番人気。ドラゴンステーキなる物まで有る。勿論ドラゴンの肉何て事は無いが、ボリュームも有り人気だ。可愛いアニマル風の幼児向けまで揃い素晴らしい。たまにポイントで購入すると、妻が本当に喜んでくれる。因みにテーマパークに入る入場料は必要。
必要な所は節約し、出す時には出す。現在家族で協力しながら、我が家はダンジョンを楽しんで居る。しかしここに至るまでが大変だった。自分本意ではイカンと大反省している…。
*****
家族でもボチボチダンジョンを楽しみ始めたとある日、我が家にダンジョンテーマパークより招待状が届いた。宿泊付きでプレオープンに参加しませんか?のお誘いだ。実は会社の同僚や先輩と組んでるパーティーにも招待状が届いていた。しかしこれは2日目のセレモニーパーティーのみのご招待。実は我々パーティーは、3度目の挑戦にて最下層のボスを討ち果たした。ダンジョンがオープンしてから初の制覇だ。この成果の発表もするとの事。賞品も出るしマスコミも呼ぶ。ダンジョンテーマパークの宣伝を兼ねた、かなり大々的なパーティーらしい。
勿論、皆喜んで参加する。しかし何故我が家は家族でなのか?実はだ!
初日はファミリーダンジョンのプレオープン日。なんと我々一家はダンジョンを家族で楽しむファミリー代表として、一般にまだ解放されて無いダンジョンにもご招待されたのだ!それでの宿泊付き。初日は家族でファミリーダンジョンへ。宿泊して、翌日はセレモニーパーティー。滞在費から交通費まで全てが無料だ。手ぶらでどうぞと至れり尽くせり。因みにファミリーダンジョンのオープンと共に、ファミリーパスポートも発売される。我が家は既に所持している。妻の呟きに感謝だ。
会社の同僚に後輩。特にダンジョンでのパーティーメンバーには、ムカつくとどつかれまくった。実は己も鼻高々だ。どうだ羨ましかろう。
え?我が家だけ何故かって?
もうそれは息子様々なんですよ!息子がご意見箱に投書した意見が実現したのです!更には夏休み最後のポイント還元ディーにぶつかった先月の妻の誕生日。私が死ぬ気でポイントを稼ぎ、全額ポイント使用で行った妻へのサプライズイベント。何故かそれがオーナーに伝わったらしい。家族で楽しんでくれて嬉しいと感謝を述べられ、改めて色々と話をする機会が有り意気投合。ならばファミリーダンジョンの、家族モデルをしないかとの話になった。
現在は、やはり男性のお客様が多い。ファミリーダンジョンを追加するにあたり、更なるファミリー層の呼び込みをしたい。沢山の人々にダンジョンテーマパークを知って欲しい。てな訳で、我ら家族をモデルに宣伝をしたいそうだ。
会社のパーティーも、初のダンジョン制覇!としてパンフに載る。テレビCMにもチラリと出るそうだ。これは先日既に写真撮影済み。皆自慢の装備に身を包み、動かぬがリアル過ぎるドラゴンと、美魔女過ぎるラスボスの前でのキメポーズ。かなり盛り上がった。
さてさてご招待の2日間、我が家には、随時カメラマンが付く。何かポーズを頼むとき以外は、自然に楽しんで下さいとの事。カメラマンが良いカットで写真撮影し、必要な時には取材をしてくれる。改まった撮影や取材でなくて助かった。自分はまんま素人だからな。これらは後にアルバムにもしてくれるそうで楽しみだ。ついでと言っては叱られるが、妻の装備もめちゃ楽しみだ。妻はやはり初期に魔法使いを選んだ。極めた後にサブジョブを付ける事となり、私はムリヤリ趣味を押し付けた。
正直もろコスプレっす。妻はイヤイヤ言いながらも満更でもなさそう。学生時代に雑誌の読者モデルしてたのが自慢なんだろ?ダンスと歌は得意何だろ?実はアイドルになりたかったと、親友だった子に聞いたぞ。大丈夫。まだイケる。しかし流石にビキニアーマーはキツいかもしれん。それは職業的にも美味くない。チラ見するな。諦めろ。まぁこれはオフレコだ。まだ子供が居る様には見えない体型だぞ?いや、もう1人イケる。ゴーゴーだ。たんまり煽てあげとこう。さぁ。今晩は眠らせないぞ。
誕生日のサプライズは、残念ながら当たらなかった。倍打たねば当たらぬか?殺されそうだな。かなり頑張ったのにな…。
実は今回ダンジョンのオーナーが、スペシャルなナイトプランも用意してくれた。さあ親孝行な息子は、今回も夢でドラゴンと対峙してもらおう。そして姫様とラブラブハッピーになってくれ。前回は頬にチューをして貰ったそうだ。朝起こしてくれた妻に、真っ赤になって報告して居た。
喜ぶ息子を見て何だかジトリと無口な妻。おぃおぃ。バーチャルに焼きもち焼くなよ。意外に可愛い奴だな。怖い姑になるなよ?自分も昨晩はリアルでそれ以上してたじゃないか。久々に盛り上がったよな?と、振り向き様にチューしたら殴られた。子供の前でするな!って…。みろよ。息子は布団に突っ伏して今だに悶えてるじゃないか!お返しに再度奪い舌で割り、ヘロヘロの腰砕けにしてやった。
ほら息子は見てない。勝ったぞ!
何てニヤニヤしてたら、布団から出てきた息子に下から覗き込まれた。パパ何ニヤニヤしてるの?気持ち悪いって、またママに怒られるよ?はっ!見られたのか?いや、大丈夫そうだ。何て安心は禁物だ。既に殴られては居るが、流石に更なる怒りは喰らいたく無い。しかしこの顔は不味い。親の威厳がただ下がりだ。気を付けねば…。
*****
「おいっ!前に出てくるなよ!攻撃は俺とコイツで充分だ!ブーストかけたら下がってバリア貼れって言ってるじゃ無いか!回復要員がMP切れたらどうするんだ!MP必要ない雑魚に魔法使うな!」
「何よ!私だって魔法ぶっ放したいのよ!へんな踊り踊りたい訳じゃないの。魔法使いなのに、何で踊ってブーストかけなきゃならないの?杖振りゃ一発じゃ無い。自分だけ良いとこ取りするな!」
「違うわ!もうすぐボス戦だからMP節約しろってんだ!踊りならMP減らないだろ。同じ効果なら頭使えよ!俺も回復は使えるが、魔法使いには劣るんだよ!更に俺が回復使用した為MP不足で、蘇生魔法が使えなくなったらどうする?ラスボスでお前死んでも蘇生出来ないぞ?それこそ良いとこどりされて良いのか?しかもお前の攻撃魔法は威力有りすぎだ!こんな狭い所でぶっ放すな!威力のセーブも出来ないのに文句言わずにやれ!」
「何よ!お前呼ばわりする訳?」
「喧嘩してないでよ!なら僕が回復とブーストかける?僧侶をサブにしたから出来るよ。でも普通に考えたら凄く勿体無いよね。MPの無駄遣い。ママがわざわざMP高い攻撃呪文使うのと、パパと僕が武器で倒すのどちらが良いの?パパと僕で倒せないなら別だけどね。」
「ほら行くぞ!もう少しレベル上げれば魔力もセーブ出来るさ。サブもカンストさせれば、戦士にも賢者にもなれるだろ。派手な魔法はボス戦でぶっ放せ。止めはお前にやるよ。派手に行けよ!」
「ママの魔法凄い威力で格好良いもんね。見せ場はラスボスまで大事にしなくちゃ、だからボス戦までは僕達の回復して欲しいな。僕も格好良い所見せたいよ。ママは頼りになるから大好き。」
コイツめ…。我が息子ながらのセリフに歯が浮くわ…。これは俺の遺伝子なのか?全く信じられん。このリア充め!
〈そうよね。ゴメンね。魔法は臨機応変に使わなきゃね。回復薬も無限じゃ無いし、MPは大切だわ。〉
そうそう。解ってくれて嬉しいよ。
〈〈〈ではラスト!ラスボス行くぞー!〉〉〉
こうして我々家族は、ファミリーダンジョン第一号の制覇パーティーとなった。
ファミリーダンジョン。新しい家族の絆が生まれるかもしれない。しかし不和の種にもなりそうだ。何事も程々に。熱くなるのは禁物だ。
暫くして全国CMが放映された。我々家族は暫し、ダンジョンファミリーと有名になった。落ち着くまで騒がしかったが、まぁ人の噂もなんとやら。
実は我が家は、ナイトダンジョンで大当たりした。人の噂が収まる頃には、息子に可愛い妹が出来た。息子は妹にお姫様ドレスを着せると、今からポイント貯めに奮闘している。
ダンジョンテーマパークの女社長様。素晴らしいナイトプランを有り難うございました。ダンジョン内でのあの一夜。忘れられない夜でした。是非再び…。
*****
あーあ。全然気付かないんだもんなー。やっぱり一筋縄では行かないかー。前世でもコロリと行っちゃってたしなー。まさか最後に残りの生命力まで与えちゃうとわね。でも大丈夫。アイツは直ぐにアンタの後を追ったよ。元々死ぬつもりであの呪文を唱えたんだ。愛するアンタの残りの生命力を貰ってまで生き延びたくないってさ。
更にはアンタは前世の記憶持ちかよ。アイツはすっかり忘れて幸せに暮らしてる。今近くに居るじゃん。今世では半身の絆は切れた筈。アイツはビショップの称号を持ちながら自害したからね。
俺は重ならない君と彼をずっと側で見て居た。俺は君を半身だと思って居た。俺と居る君は何時も自然体だった。君の秘密も知ってたよ。それでも好きだった。来世でアイツと君を会わせたくない位にね。
本当にアンタは大馬鹿だよ…。
前世の記憶を引きずり、君を今だに思う俺も大概だけどな。
あんなに近くに居るヤツにも気付かないけど、やはり俺にも気付かないんだよな。さて、ちょっとモーションかけてみようかな?頼むから気付いてくれよ。今世では独身の俺の方が分が有るよね。
*****
本来ならば今週は1週間、定期メンテナンスでダンジョンはお休み。祝日を挟めど、定期的なメンテナンスは欠かさない。稼ぎ時だろうに安全第一な姿勢に、ますます好感度アップな経営者。既に我が家は家族でダンジョンの虜だ。
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子供の夏休みも終了し、息子と妻もボチボチとダンジョンを楽しみ始めた。特に夏やすみラスト!妻の誕生日への大奮発が、我が家に大勝利をもたらした。その後は時折妻と子供も連れ、ダンジョンに遊びに来ている。家族とは主に週末だ。しかし子供の帰宅が早い日は、会社の最寄り駅で妻と子供と待ちあわせ、平日の夜にも潜ったりしている。それぞれ別々に楽しめるのが良い。自分はタイミングが合えば会社のパーティーメンバーと潜る。合わなければ単独だ。
ダンジョンは基本男女別。子供は小学生~中学生までが子供用ダンジョン。それ以上は、大人の男女別ダンジョンと一緒に楽しめる。但し成人までは、一部に制限がかかる。例えばスプラッタ系のハードモードは不可等だ。プロテクターのモノクルの貸し出しは出来ない。つまりハードモードは不可だ。
因みに男女別々なのは、難易度の関係や宝箱の景品の調整の為。何て実は建前らしいが、やはり狭い空間での長時間の行動。要らぬトラブルを起こさぬ為の様だ。
しかしお互いが干渉無しで遊べるのは良い。更にはダンジョンを出れば、家族でも恋人でも男女でも楽しめる施設が併設されてるのもポイントだな。ソロで楽しみ出てから皆でワイワイ。色々な楽しみ方が有る。
因みに定期的に開催されるイベントで、男女混合パーティーで潜れる日も有る。
我が家が平日の夜に楽しんだ日には、帰宅時に翌朝のパンやお握りを買って帰る。妻は翌朝それにプラス、野菜たっぷりのスープやフルーツを用意してくれる。パンだけでも充分だと言ってるのに、家族の健康を考えてくれる。本当に良く出来た妻だ。
最近はダンジョンにお弁当を持参し、息子とピクニック気分でランチしたりもする。水筒を持ち込めるのは知って居たが、弁当まで持ち込める事を自分は知らなかった。妻もダンジョンに通い始め、施設案内で知ったそうだ。ここのダンジョンは比較的に良心的で、全てに於いてリーズナブル。例えばだが、自販機の飲料がバカ高かったりは無い。安くは無いが定価で有る。しかも現金同様、全てがダンジョンのポイントでも精算出来る。ファンタジー定番のギルドガードを模したiDカードに、ポイント等も集約される。テーマパーク内では、ダンジョン以外でもこのiDが使える。かなり便利だ。しかもポイントでの精算だと1割位安い。ついついポイントで無駄遣いをしてしまったりする。ポイントがテーマパーク内での仮想通貨の様だな。
但しこのiDカードは年間パスポート購入者のみ。我が家では私だけだったが、先日妻と息子も仲間入り。我が家はファミリーパスポートの、初所持家族となった。これは妻がポツリと呟き実現した。息子のご意見箱への投函にあやかってしまったのだ。
因みにお弁当はケチって妻に作らせてる訳では無い。少しでも私の小遣いの節約になる様にと、妻が自発的に作ってくれるのだ。流石に息子にお金を払わせる訳にはいかない。自分の小遣いでの遣り繰りは、自分が先に宣言した事だしな。
しかしこれも中々良い。実はお弁当を食べるエリアは決まっている。勿論、ダンジョンの中等では食べられない。水筒は可能だ。これも妻が用意してくれる様になり大助かりだ。食事エリアは、草原エリアに洞窟エリアだ。どちらも無料で利用出来る。草原エリアではピクニックセットの貸し出し。洞窟エリアではサバイバルセットの貸し出し。指定場所でセットを広げれば、ピクニック気分と洞窟探検気分で食事が出来る。草原では動物を沢山見る事が出来る。洞窟は神秘的な鍾乳洞風だ。草原はファミリーに人気。洞窟はカップルに人気。普通のテーマパークなら、これだけでも観覧料をとられそうだ。
雄大な草原を眺めながら迫力のある動物を見る。ピクニックセットに含まれている望遠鏡を取り出し、息子と遠くも眺めて見る。良く見ると魔物も居る。そんな中でのお弁当は中々スリルが有る。しかしこれが全てコンピューターグラフィックか?リアルすぎてバーチャルだとは思えない…。洞窟では光のライトアップ等も有りますます凄い。光苔や洞窟内の生態を見ることも出来る。弁当持参で無料でファミリーにも優しい。因みに食事エリアなので、食事以外での用途では使えない。他にも色々使用出来そうなのに、本当に贅沢な空間だ。
混雑時は時間制。弁当の持ち込みの無い場合は、売店で購入する事も出来る。種類も多く中々旨い。勿論、テーマパークに合わせた弁当で、骨付き齧り付き魔物肉弁当が一番人気。ドラゴンステーキなる物まで有る。勿論ドラゴンの肉何て事は無いが、ボリュームも有り人気だ。可愛いアニマル風の幼児向けまで揃い素晴らしい。たまにポイントで購入すると、妻が本当に喜んでくれる。因みにテーマパークに入る入場料は必要。
必要な所は節約し、出す時には出す。現在家族で協力しながら、我が家はダンジョンを楽しんで居る。しかしここに至るまでが大変だった。自分本意ではイカンと大反省している…。
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家族でもボチボチダンジョンを楽しみ始めたとある日、我が家にダンジョンテーマパークより招待状が届いた。宿泊付きでプレオープンに参加しませんか?のお誘いだ。実は会社の同僚や先輩と組んでるパーティーにも招待状が届いていた。しかしこれは2日目のセレモニーパーティーのみのご招待。実は我々パーティーは、3度目の挑戦にて最下層のボスを討ち果たした。ダンジョンがオープンしてから初の制覇だ。この成果の発表もするとの事。賞品も出るしマスコミも呼ぶ。ダンジョンテーマパークの宣伝を兼ねた、かなり大々的なパーティーらしい。
勿論、皆喜んで参加する。しかし何故我が家は家族でなのか?実はだ!
初日はファミリーダンジョンのプレオープン日。なんと我々一家はダンジョンを家族で楽しむファミリー代表として、一般にまだ解放されて無いダンジョンにもご招待されたのだ!それでの宿泊付き。初日は家族でファミリーダンジョンへ。宿泊して、翌日はセレモニーパーティー。滞在費から交通費まで全てが無料だ。手ぶらでどうぞと至れり尽くせり。因みにファミリーダンジョンのオープンと共に、ファミリーパスポートも発売される。我が家は既に所持している。妻の呟きに感謝だ。
会社の同僚に後輩。特にダンジョンでのパーティーメンバーには、ムカつくとどつかれまくった。実は己も鼻高々だ。どうだ羨ましかろう。
え?我が家だけ何故かって?
もうそれは息子様々なんですよ!息子がご意見箱に投書した意見が実現したのです!更には夏休み最後のポイント還元ディーにぶつかった先月の妻の誕生日。私が死ぬ気でポイントを稼ぎ、全額ポイント使用で行った妻へのサプライズイベント。何故かそれがオーナーに伝わったらしい。家族で楽しんでくれて嬉しいと感謝を述べられ、改めて色々と話をする機会が有り意気投合。ならばファミリーダンジョンの、家族モデルをしないかとの話になった。
現在は、やはり男性のお客様が多い。ファミリーダンジョンを追加するにあたり、更なるファミリー層の呼び込みをしたい。沢山の人々にダンジョンテーマパークを知って欲しい。てな訳で、我ら家族をモデルに宣伝をしたいそうだ。
会社のパーティーも、初のダンジョン制覇!としてパンフに載る。テレビCMにもチラリと出るそうだ。これは先日既に写真撮影済み。皆自慢の装備に身を包み、動かぬがリアル過ぎるドラゴンと、美魔女過ぎるラスボスの前でのキメポーズ。かなり盛り上がった。
さてさてご招待の2日間、我が家には、随時カメラマンが付く。何かポーズを頼むとき以外は、自然に楽しんで下さいとの事。カメラマンが良いカットで写真撮影し、必要な時には取材をしてくれる。改まった撮影や取材でなくて助かった。自分はまんま素人だからな。これらは後にアルバムにもしてくれるそうで楽しみだ。ついでと言っては叱られるが、妻の装備もめちゃ楽しみだ。妻はやはり初期に魔法使いを選んだ。極めた後にサブジョブを付ける事となり、私はムリヤリ趣味を押し付けた。
正直もろコスプレっす。妻はイヤイヤ言いながらも満更でもなさそう。学生時代に雑誌の読者モデルしてたのが自慢なんだろ?ダンスと歌は得意何だろ?実はアイドルになりたかったと、親友だった子に聞いたぞ。大丈夫。まだイケる。しかし流石にビキニアーマーはキツいかもしれん。それは職業的にも美味くない。チラ見するな。諦めろ。まぁこれはオフレコだ。まだ子供が居る様には見えない体型だぞ?いや、もう1人イケる。ゴーゴーだ。たんまり煽てあげとこう。さぁ。今晩は眠らせないぞ。
誕生日のサプライズは、残念ながら当たらなかった。倍打たねば当たらぬか?殺されそうだな。かなり頑張ったのにな…。
実は今回ダンジョンのオーナーが、スペシャルなナイトプランも用意してくれた。さあ親孝行な息子は、今回も夢でドラゴンと対峙してもらおう。そして姫様とラブラブハッピーになってくれ。前回は頬にチューをして貰ったそうだ。朝起こしてくれた妻に、真っ赤になって報告して居た。
喜ぶ息子を見て何だかジトリと無口な妻。おぃおぃ。バーチャルに焼きもち焼くなよ。意外に可愛い奴だな。怖い姑になるなよ?自分も昨晩はリアルでそれ以上してたじゃないか。久々に盛り上がったよな?と、振り向き様にチューしたら殴られた。子供の前でするな!って…。みろよ。息子は布団に突っ伏して今だに悶えてるじゃないか!お返しに再度奪い舌で割り、ヘロヘロの腰砕けにしてやった。
ほら息子は見てない。勝ったぞ!
何てニヤニヤしてたら、布団から出てきた息子に下から覗き込まれた。パパ何ニヤニヤしてるの?気持ち悪いって、またママに怒られるよ?はっ!見られたのか?いや、大丈夫そうだ。何て安心は禁物だ。既に殴られては居るが、流石に更なる怒りは喰らいたく無い。しかしこの顔は不味い。親の威厳がただ下がりだ。気を付けねば…。
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「おいっ!前に出てくるなよ!攻撃は俺とコイツで充分だ!ブーストかけたら下がってバリア貼れって言ってるじゃ無いか!回復要員がMP切れたらどうするんだ!MP必要ない雑魚に魔法使うな!」
「何よ!私だって魔法ぶっ放したいのよ!へんな踊り踊りたい訳じゃないの。魔法使いなのに、何で踊ってブーストかけなきゃならないの?杖振りゃ一発じゃ無い。自分だけ良いとこ取りするな!」
「違うわ!もうすぐボス戦だからMP節約しろってんだ!踊りならMP減らないだろ。同じ効果なら頭使えよ!俺も回復は使えるが、魔法使いには劣るんだよ!更に俺が回復使用した為MP不足で、蘇生魔法が使えなくなったらどうする?ラスボスでお前死んでも蘇生出来ないぞ?それこそ良いとこどりされて良いのか?しかもお前の攻撃魔法は威力有りすぎだ!こんな狭い所でぶっ放すな!威力のセーブも出来ないのに文句言わずにやれ!」
「何よ!お前呼ばわりする訳?」
「喧嘩してないでよ!なら僕が回復とブーストかける?僧侶をサブにしたから出来るよ。でも普通に考えたら凄く勿体無いよね。MPの無駄遣い。ママがわざわざMP高い攻撃呪文使うのと、パパと僕が武器で倒すのどちらが良いの?パパと僕で倒せないなら別だけどね。」
「ほら行くぞ!もう少しレベル上げれば魔力もセーブ出来るさ。サブもカンストさせれば、戦士にも賢者にもなれるだろ。派手な魔法はボス戦でぶっ放せ。止めはお前にやるよ。派手に行けよ!」
「ママの魔法凄い威力で格好良いもんね。見せ場はラスボスまで大事にしなくちゃ、だからボス戦までは僕達の回復して欲しいな。僕も格好良い所見せたいよ。ママは頼りになるから大好き。」
コイツめ…。我が息子ながらのセリフに歯が浮くわ…。これは俺の遺伝子なのか?全く信じられん。このリア充め!
〈そうよね。ゴメンね。魔法は臨機応変に使わなきゃね。回復薬も無限じゃ無いし、MPは大切だわ。〉
そうそう。解ってくれて嬉しいよ。
〈〈〈ではラスト!ラスボス行くぞー!〉〉〉
こうして我々家族は、ファミリーダンジョン第一号の制覇パーティーとなった。
ファミリーダンジョン。新しい家族の絆が生まれるかもしれない。しかし不和の種にもなりそうだ。何事も程々に。熱くなるのは禁物だ。
暫くして全国CMが放映された。我々家族は暫し、ダンジョンファミリーと有名になった。落ち着くまで騒がしかったが、まぁ人の噂もなんとやら。
実は我が家は、ナイトダンジョンで大当たりした。人の噂が収まる頃には、息子に可愛い妹が出来た。息子は妹にお姫様ドレスを着せると、今からポイント貯めに奮闘している。
ダンジョンテーマパークの女社長様。素晴らしいナイトプランを有り難うございました。ダンジョン内でのあの一夜。忘れられない夜でした。是非再び…。
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あーあ。全然気付かないんだもんなー。やっぱり一筋縄では行かないかー。前世でもコロリと行っちゃってたしなー。まさか最後に残りの生命力まで与えちゃうとわね。でも大丈夫。アイツは直ぐにアンタの後を追ったよ。元々死ぬつもりであの呪文を唱えたんだ。愛するアンタの残りの生命力を貰ってまで生き延びたくないってさ。
更にはアンタは前世の記憶持ちかよ。アイツはすっかり忘れて幸せに暮らしてる。今近くに居るじゃん。今世では半身の絆は切れた筈。アイツはビショップの称号を持ちながら自害したからね。
俺は重ならない君と彼をずっと側で見て居た。俺は君を半身だと思って居た。俺と居る君は何時も自然体だった。君の秘密も知ってたよ。それでも好きだった。来世でアイツと君を会わせたくない位にね。
本当にアンタは大馬鹿だよ…。
前世の記憶を引きずり、君を今だに思う俺も大概だけどな。
あんなに近くに居るヤツにも気付かないけど、やはり俺にも気付かないんだよな。さて、ちょっとモーションかけてみようかな?頼むから気付いてくれよ。今世では独身の俺の方が分が有るよね。
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