【完】相手が宜しくないヤツだから、とりあえず婚約破棄したい(切実)

桜 鴬

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第2章・婚約破棄は新たなる珍事を招く。

水面に漂う妖精達からの鎮魂歌。

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緑の蔦に覆われた古代の遺跡。その遺跡群はほぼ湖水に侵食され、一部が水面からのぞくのみ。しかし一部と言えどかなりの大きさ。普段は湖に沈んでいるので有ろう滑らかに弧を描く大きな天蓋らしき蓋。今は半分近くが湖面に現れ、ハーフムーンの光に照らされキラキラと輝いている。やはりホワイトムーンフラワーだ。小さな白い花が煌めきながら咲き誇っている。その花々から、うっすらと立ち上って行く陽炎の様な揺めき。

触れなくとも肌に感じる気配。あれは魔力。それも穢れの無い魔力。多分あの魔力が、この魔の森の魔物の活性化を抑えているのだろう。普段なら夜間でも闊歩している筈の魔物の姿が、今は何故か遺跡の中に全く見られない。

まるで湖と遺跡だけを俗世から切り離した様な…。お伽の世界の箱庭の様な美しさ。

本当に美事だ。幻想的過ぎて言葉が出ない。

暫しポカンと見とれていると、静寂な中にも耳が微かに何かの音を拾う。

(ぽ…ぽん。)

(ぽん…。ぽぽぽん。)

何の音だろう?水の音も風の音すらしない己の息遣いしか聞こえない様な静けさの中、確かに何かの音が聞こえてくる。

(ぽんっ。ぽぽん。ぽんっ。ぽん。ぽん。ぽぽぽんっ。)

???

やはり聞こえるわよね?私はリーダーの肩を叩く。

「何だよ。肩を叩く音の訳が無いだろ?」

「それ位解るわよ!聞こえてるなら何かアクション位しなさいよ!ぽんっ。て聞こえてるんでしょ?」

「聞こえてる。まさか本当に妖精達が踊ってるのか?」

・・・・・。

「おい!その顔は何だよ!」

「リーダーって意外に乙女志向なの?妖精とか言っちゃって可愛いわね。」

・・・・・。

「エリー。きーさーまーなー!」

「ごめん。意外でビックリしただけよ。この世界では、人間と動物。そして魔力により変質し歪んで進化した魔物。これ以外の生物体は確認されて無いからね。でも魔物が生まれたなら、他の生物が誕生してても可笑しくは無い。ここに眠るゴーレム達は、生物になりきれなかった物達。所謂疑似生命体よ。もしかしたら命を持てた者がいたのかもしれない。彼等はこの遺跡の墓守りだったのだから。」

「何かを知ってるのか?」

「知りたい?王家の極秘事項よ。この遺跡は本来ここに存在すべき物では無かった。古の王家は禁忌を存在させその技術を取り込んだ。世界は歪む。その代償はこの世界が滅ぶ事でしかなしえなかった。今の世界は作り直された物だと言われている。私ね。マリエンヌの話を聞いて余り驚かなかったの。多分この話を聞いていたからね。多分あの話の世界は、この遺跡の世界に近いのよ。関連性は解らないけどね。」

「俺は妹さんの話を全ては聞いてないからな。本来ここに存在しなかったとは、何者かが呼び寄せた。つまり禁忌の召喚魔法か?しかしこれ程の物体までもを召喚出来るのか?まさか物体だけじゃ無いのか!?」

・・・・・。

「いやもういい。俺はもう聞かん。まだそこまで踏み込む度胸が無い。悪いなエリー。」

「気にしないで。リーダーの力が必要なら、無理矢理にでも引きずり込むから。己の事ばかりで、全く頼りにならぬ皇太子よりマシだわ。」

正直ここまで王家の内情に踏み込んでる私が、どんなに足掻いても自由に何てなれないのは理解しているつもり。皇太子様。エドワード様の事だって、触られて虫酸が走る位嫌いな訳じゃ無い。政略結婚だとわりきれば、仕方無いけどと結婚出来る範囲だ。しかしそれは通常の結婚ならの話。王妃となるなら違ってくる。王妃としての勤めうんねんでは無い。私は政務なら難なくこなせるつもり。私が言いたいのは、もう1つの王妃としての義務。

そう。お世継ぎを産む事。

一夫一婦の我が国では、王妃として子沢山が望まれる。それが心配でたまらない。マリエンヌの言うヤンデレとやらが恐ろしすぎる。やはりこうなったらマリエンヌの言う防御方法を試すべき?私が調教し違う道を示すべきなの?やだ!乙女に何て想像させるのよ!恥ずかしいじゃ無い!やはり結婚するなら一筆書かせなきゃダメ!妥協は駄目なの!やはり私だけ我慢するなんて可笑しいじゃ無い。

「ほら!考え込んでないで見に行くぞ。音は水辺の方だな。そんなに心配するな。皇太子様が無体する様なら少しはマシな俺がお守りしますよ。否。俺が守らなくてもエリーなら1発で大丈夫。何ならお前がリードすりゃいい。女王様も結構似合うんじゃ無いか?皇太子様も喜んじゃうんね?」

・・・・・。

マリエンヌと同じ様なことで言わないでよ。全くどちらの女王様よ!?

「止めろ!殺気を漏らすな!やはりバレたか?まあエリーなら心配ないだろうが、魔力封じだけには気を付けろな。な?」

それは今色々考え中よ。

*****

この滑らかな天蓋は、もしかしたら屋根なのかしら?多分この亀裂で開閉するのね。かなり蔦に被われて居るけど、ドーム状の大きな建物らしきもの。その周囲には、瓦礫に混じり馬や大きなカップ等のレプリカが転がっている。ほぼ崩れて入る中、ポツンと1つだけほぼ原型をとどめている物。東谷の様な中に、馬や馬車が並んでいる。大きな丸い車輪の様な物に、等間隔に小さな箱の様な物が付いている。それが倒れ壊れ崩壊している。

「これらは作り物だよな?素材は何だ?古き品なんだろ?なのに日焼けはしてるが、完全に色が退色していない。真ん中を重心にして回るのか?これは何に使うんだ?しかも建物は闘技場か?凄い広さと座席数だ。」

・・・・・。

「マリエンヌが言ってたわ。家族や恋人と楽しむ、遊園地と言う場所が有ったって。ホールには沢山の観客が入り、色々な娯楽イベントが行われてたそうよ。この絵を見てみて。」

私はマジックバックから、ロジャースが纏めてくれた資料を取り出す。レジャー施設の部分を捲り、リーダーに手渡す。

・・・・・。

「これは…。」

・・・・・。

「観覧車に回転木馬。闘技場は娯楽施設って訳か。このアイドルとか凄いな。歌いながらずっとダンスをするのか?これだけの広さを使用したら、娯楽所じゃ無いな。あ。歌う側は魅せるんだから仕事なのか?しかし妹さん絵が上手いな。まんまじゃないか?」

ロジャースはマリエンヌの前世の話を聞き取り、かなりの量の資料を纏めている。ご先祖様との比較もしかり。勿論それは商会で商品開発をしたりする為だ。この遺跡に眠る品は、その資料と重なる部分が多い。しかしここは既に廃墟。墓守りとして配置されたゴーレム達が眠りに付き終わった。

何て私達は話をしながら、水辺へ向い歩いて行く。フワリと体を冷気が包む。やはり音は水面から聞こえてくる。あっ!また!

(ぽん。ぽぽん。ぽーん。)

水面からゆらゆらと、陽炎の様に魔力が放出されている。その魔力が揺らぐ。すると水中から、何かがぽぽんと飛び上がった。

「見た?」

「ああ…。聞こえたよな?」

「ええ。飛び出す時に音がなった。」

更に近付き目をこらす。

(ぽん。ぽんっ。ぽん。)

(ぽぽぽん。ぽっ。ぽん。)

やはり思った通り。ホワイトムーンフラワーだわ。完全に外気に触れた花ではなく、水中で咲いた花が外気に触れようと飛び出すみたい。ううん?ちがうわね。水面に蕾が伸び外気に触れると花が開く。開く時に音がなり、弾けとんで更に音がなる。面白いわ。

空中に弧をかきやがて水面に落ちた花が、クルクル回り湖面を移動し波紋が広がって行く。私は湖に足を入れ進み、魔法で1つを側に引き寄せる。

「綺麗ね…。儚すぎて壊しそう。」

花の中心の膨らみが種子ね。弾け飛ぶ衝撃で花びらが捲れ垂れ下がる。まるで中心の種子が頭で花びらがドレス。白いドレスを着た妖精達が、湖面でクルクルとダンスを踊ってるみたい。

しかもこれは…。

漂う魔力により硬化するのだろうか?花びら部分がガラスの様に硬化している。

「多分それが素材だろ?種の部分だけ切り取り、湖に戻したらどうだ?」

「そうね。」

ナイフで種子の部分に触れると、種子は飛び出し湖へ落ちた。と同時に垂れ下がって居た花びらが反り返り、元の花の形に戻る。

「この花…。公爵家の家宝のティアラに付いてるのと同じだわ。確か大商会が領地に根付いた時に献上されたって。大商会からのは、虹色の花の方だけど。」

「取り敢えず探そう。落下したのが全て硬化するんじゃ無いみたいだ。ほら、これは花びら数枚だけ。こちらは硬化して無い。これは1枚虹色になってるぞ。多分魔力の吸収具合い何じゃ無いか?ほら早く採取しないと、折角の花達が沈むぞ。」

魔法で花を引き寄せながら、1つ1つ確認して行く。やはり完全に花の形に戻れる物は少ない。全てが硬化出来る訳ではなく、中でも虹色は更に希少な様だ。

あ。沢山見つけた…。

ポコポコと空気の泡と共に、白い妖精達が沢山集まっている。私は1つ1つ丁寧に手に取り、種子を飛ばしマジックにしまう。

進む度に泡が増える。更には虹色の妖精達が増えて行く。虹色の完全体を2桁程確認した時、突如足元が揺らいだ。慌てて水中を見ると、私の足は何かの魔方陣を踏んでいた。魔方陣を読み込む。これは下に空間がが有るのね。下の空間に移動する為の魔方陣だわ。

(すぐおわる。まりょくちょうだい。これですべてはおわるから。)

誰かが呼んでる。悪意は無いみたい。魔力を欲してるだけ。なら答えなくては。

「リーダー聞こえる!?暫く私の姿が見えなくても気にしないで!必ず戻るから!」

「エリー?…!?!?」

私はよびかけに答えた。フワリと体を浮遊感がおそう。次に気付くと虹色の部屋のソファーに居た。

*****

爽やかな香りが漂う。目前には温かな紅茶。アップルティーだろうか?ミントの香りもする。ブレンドされてるのね。目前に提供されてるので、ご馳走になっても良いのだろう。

「お茶は戴いて良いのかしら?」

目前の少女がコクりと頷く。

「ありがとう。」

わたしがお茶を飲むと、少女ははにかむ様に笑った。瞳の色が紅い。肌の色が白い。しかし髪の毛は黒い。アルビノでは無い様だ。白い貫頭衣の様な服。寒くはないのだろうか?こんな所に1人で居たの?食べ物はどうしてるの?何か食べるかと聞いてみる。ブンブンと首を振られてしまった。

お茶を飲み終わると少女は、私の手を引きながら話し出す。己はこの遺跡の墓守り。最後の1人だと。そしてある部屋に通された。パパ達の研究室だと言う部屋の中には、壁1面に本が並んでいた。埃を被るその本棚の隠されたボタンを押す。すると既に破壊されたと言う地下室へ続く階段が現れた。階段は既に瓦礫で埋まっていた。彼女達はこの地下室で作られたと言う。

「わたしたちはここにねむる、おおきなゴーレムたちとおなじなの。つくられたぎじせいめいたいよ。みんなやくめをおえるとしぬ。わたしでさいごなの。おねがい。まりょくをちょうだい。わたしのやくめをおわらせて。」

古の時代。この世界の王達は、禁忌と呼ばれる召喚魔法を使用した。それはまさかの偶然が引き起こしたのだろう。驚愕な建物毎の集団転移に繋がった。奇しくも転移された側では、大地震が勃発していた。大地震と禁忌の召喚魔法。悪い偶然だったのかもしれない。しかし召喚したこの世界の王達には、何が何処に召喚されたのかが解らなかった。予定の場に現れなかったから。しかし召喚魔法は成功した筈。探して漸く見つけたのが数週間後だった。

召喚された建物は、魔の森のど真ん中。この世界の者が辿り着いた時には遅かった。何千人と居た人々は、魔物により食い散らかされ死亡していた。生き残った者も居たが、ほぼ精神を病んでしまっていた。転移前に大地震で辛い目にあい、更には見たことも無い魔物の脅威。心が壊れても仕方無いだろう。

国々はこの場所を放置する事により封印した。何もの見なかった。無かった事にした。しかし研究者と呼ばれる生き残りが居たのだ。数年後その生き残りの研究者と、召喚を知らぬ魔術師がたまたま出会う。2人は意気投合した。科学と魔法の融合と言う研究に没頭したのだ。

「それでうまれたのがわたしたち。おおきなゴーレムたちはいせきをまもるの。わたしたちは、しんでしまったぱぱたちのかぞくのかわりだったの。でもね?わたしたちはせいちょうできなかった。さいごまでこころがつくれなかったの。だからかんぜんにしようとあがきふえてしまった。ぱぱたちはしぬとき、わたしたちにあやまったの。しなせてやれずにごめん。どうりょくはまりょくだから、なくなればいつかはとまる。でもそれが、いつになるかはわからないんだって。わたしがそのさいごなの。なかまはここにいる。みなねむってる。」

少女が部屋を開ける。沢山のベッドが並んだ部屋。全てのベッドには、少女と似た少年少女が眠っていた。

「まるで寝てるみたい。今にも起き出しそうなのに…。」

「むり。みなのまりょくは、すべてみずうみにかんげんされてしまった。ハーフムーンにさくはな。たちのぼるまりょくがそうなの。だからむり。」

「私の魔力をあげられないの?」

「それはかのう。でもわたしたちはそんざいしてはいけないもの。わたしたちがそとにでたらどうなる?しなないへいきのけんきゅうにつかわれるかもしれない。ぱぱたちはそれをしんぱいしてた。かぞくをいきかえらせたくて、じっけんたいとしてわたしたちをつくった。それはつみだったと、こうかいしながらしんだ。だからわたしたちはみずうみにかえる。ぱぱたちもみずうみにいるからへいきなの。だからまりょくがほしい。おねがいします。」

パパ達と呼ばれる研究者と魔術師は、互いに家族を無くしていた。多分心を病んでいたのだろう。やがて墓場となり遺跡となる建物を守る為に、擬似生命体たるゴーレムを作った。そしてこの子達を作った。しかし己達か死ぬ間際になり後悔した。自分達はこの子達を置いて死ぬ。この子達は人に見付かればどう扱われるか解らない。何時この子達の時が止まるかも解らない。

確かに擬似生命体に心は無いのかもしれない。しかしそれは理屈上の事。私に魔力をくれと頼み、お茶を飲む私を見て微笑んだ。沢山のベッドに眠る仲間達を見て寂しげな顔をする。そんな彼女に心が無い?私にはそうは思えない。でも…。

「わたしたちのねむるこのへやが、このたてもののちゅうしんなの。このカプセルにはいると、まりょくがぬかれるの。まんたんになるときりはなされてだっしゅつする。このたてものはすべてみずうみにしずむ。わたしのまりょくでもギリギリかのうだけど、わたしのからだがちじょうにのこってしまう。わたしののこりのまりょくでは、たぶんみずうみにもどれない。」

魔力は活動に使われてるからなのね。やがて無くなり活動が止まる。供給は出来ないのかしら?ううん。多分パパ達 が与えていたのね。

「わたしはみずうみにしずみたい。みずうみでなら、からだもまりょくもかんげんされる。そしていつのひか、まりょくのみがハーフムーンにたちのぼる。それがかんぺきなさいご。」

・・・・・。

「おねがい。まりょくちょうだい。」

・・・・・。

「たくさんのまりょくがあるひとがようやくきたの。おねがい。」

・・・・・。

「わたしはみずうみにかえりたい。みなのところにいきたい。パパたちのところへ…。」

・・・・・。

「もうひとりはいやなの。」

・・・!!

心が無いなんてウソ!しっかり有るじゃない。私がこの子に魔力をあげれば、この子は何時までも生きられる。でも私は何時か死ぬ。そしてこの子も素性が知られたら、私だけでは守りきれない。いったいどうしたら良いの?私には決断できない。最良の方法は?

「おねえさんごめんね。やさしいんだよね。だからできないんだ。わたしはそんざいしなかった。しちゃいけないの。それでよいの。ここみて。ここにパパたちからと、わたしからのおれいがはいってる。ほんとうにありがとう。そしてごめんなさい。」

背中を押され脱出ポットに押し込まれた。バタンと扉が閉まる。体から魔力がゴッソリと抜けて行く感覚。

薄れ行く意識の中で、少女の微笑む顔が見えた。

「おねえさん。ありがとう。そしてごめんなさい。」

少女の頬に、一筋の涙が伝った様に見えた。

*****

「おい!起きろ!起きやがれ!このくそボケが!全くどうしろってんだ!」

*****
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