バッドエンドはお断り～夢でハッピーエンドに変換されてます～

【閑話・ゆうかの夢物語①】

＊バラの国のお姫さま～happy end＊

   
           ☆バラの国のお姫さま☆
　 ～２度目の夢・ハッピーエンド～

 ＊＊＊＊＊

　婚約者の王子さまに婚約破棄を伝えられ、悲しくて泣き続けたお姫さま。渡せなかったバラの花束を抱えて湖の畔で湖面を見つめ続けて居ました。そして辺りが夕暮れ色に染まる頃立ち上がり、バラの花束をとうっ！湖に投げ込みました。花束は暫くすると徐々に沈み湖面から姿を消しました。何よ馬鹿にしてるわ！もうこれでおしまい！

　いきなりの婚約破棄って何？こちら小国だからってバカにし過ぎじゃね？理由位伝えろよ？私全然悪く無いんじゃね？何ていきなり地団太踏みながら呟くお姫さま。そして一言。絶対ざまぁしてやる！箱入りお姫さまはぶちギレてしまいました。

　しかも箱入りと言っても小国のお姫さまです。普通の姫の様に何も出来ない訳では有りません。お料理にお裁縫、自分の身のまわりの事も普通の女の子と同じ様に出来ます。勿論お姫さまなのでお勉強もマナーだって完璧です。先ずは色々もっとお勉強しよう！社交もしよう！そして素敵な旦那さまを見つけよう！お姫さまの奮闘が始まりました。

　最初は心配していた周りの人々も、お姫さまの頑張りにほっと一安心しました。

 ＊＊＊＊＊

　そして姫さま怒涛の快進撃！品種改良したあのバラの花の加工で商売を始めました。と言っても、お姫さまがアイデアを出して職人が作り商人が売りだす。こうすれば皆で仕事出来て国も潤うでしょ？姫さまかしこい！

　バラの生花は勿論、日持ちする様に加工したドライフラワーやそれを更に加工した製品。バラの石鹸や入浴剤。防虫剤にポプリ。香りのサシュや香水。花びらを閉じ込めたキャンディやクッキー。輸出は出来ませんが、生の花びらを蜂蜜に浸したジャムを使用したローズケーキ。最近はバラモチーフのアクセサリーも人気です。ネックレスには香水を染み込ませると、長時間ほんのりと香りが持つ機能つき。デザインも勿論ですが、香水を直に使用するより香りが長持ち&しつこく感じ無くて素敵！と大好評中なのです。

　こうして国も段々と潤って来ました。そんなこんなで姫さまの名声？は広まり、婚約のお誘いもチラホラ舞い戻って来ていました。婚約破棄されてお相手が大国だった為、中々次のお話が来なかったのです。

 ＊＊＊＊＊

　さてさてお姫さま、婚約破棄から数年がたち１８才のお誕生日を後３か月後に控えて居ます。そろそろ旦那さま探しです。王さまとお妃さまも、素敵な男性の招待客集めに奮闘中の日々です。

　さて！今日は早起きして戦闘準備です。バラの加工品を気に入ってくれたと言う、超大国の方々との商談なのです。輸出して居ないバラのケーキを、是非食べさせて欲しいとのお願いで、皆様を王宮にお招きしての商談なのです。

　メインは生の花びらを蜂蜜に浸したジャムを使用した生ケーキ。バラの花びらを上に敷き詰めて閉じ込めた甘酸っぱいローズチーズケーキ。クッキーにマドレーヌ。ミニケーキも色々。勿論飲み物はローズティー。此方も数種類飲み比べ出来ます。最近ローズワインも完成したのですが、今回はお茶会なのでお土産に入れて置きます。勿論姫さまも皆と一緒にお菓子作りに奮闘しました。さてさてそろそろお着替えしてお迎えの準備をしなくちゃ！

　試食会兼商談のお茶会が始まりました。皆さま和気あいあいとお喋りしています。ローズシリーズのお菓子は大絶賛されました。私も全て作れますよ？と言ったら、代表のロマンスグレーの紳士はびっくり顔。普通のお姫さまはお料理なんてしないそうです。結果商談は纏り、沢山輸入して下さる事になりました。

　お礼にはなりませんが、良かったら私のお誕生日パーティーにも来て戴けますか？新作のお菓子やお料理も出す予定なのです。お酒もお土産のワイン以外もお出し出来る予定なのです。でも超大国の方々にはご迷惑でしょうか？

　いえいえ。お気持ち嬉しく頂戴致します。是非お姫さまのお誕生日をお祝いさせて下さいね。と、にっこりと微笑まれました。その優しい素敵な笑顔にドキりとしました。ではお誕生日にお会いしましょう。私の手の甲にそっと軽く口付けを落としスッと離れ帰られました。私は暫し颯爽とした後ろ姿を眺めていました。

 ＊＊＊＊＊

　私のお誕生日パーティーが始まりました。パパ&ママも頑張ったなぁ…。会場のお部屋には若い男性の方々がいっぱい。私は主役なので次々に来るダンスのお誘いをこなすので精一杯。皆さん楽しまれて居る様で何よりです。でもこの中から旦那さま選べって言われたけど、誰が誰だか解らない…。いや、皆特長無くて一緒に見えちゃうんですけど…。

　踊り疲れて少し休んで居たら見覚えの有るお顔発見！商談の時のロマンスグレーさんです。今日はしっかり正装されててとても素敵です。あ！此方に気付いたみたいです。ちょっとドキドキしちゃいます。

　お誕生日おめでとうございます。

　ありがとうございます。

　私と１曲踊って戴けますか？

　よろこんで。

　疲れも忘れる楽しいダンスが終了しました。実はお誕生日プレゼントをお渡ししたかったのですが、到着が遅れプレゼントタイムにお渡し出来なかったのです。宜しかったらお庭で少しだけ私にお時間を戴けませんか？

　エスコートされて中庭に出ました。お付きの侍従の方が大きな花束を抱えて来ました。その花束を受け取ると、彼は綺麗にりぼんがかけられた小箱と一緒にプレゼントしてくれました。花束を見てびっくり。ブルーとホワイトのグラデーションが美しい八重の花びら。神秘的な大輪のバラです。小箱はそのバラをイメージしたネックレスとイヤリング。

　とても嬉しいです。有り難うございます。花束をぎゅっと抱きしめました。

　このバラは貴女の為に私が品種改良して作りました。貴女がかつての婚約者に、育てたバラを渡せぬまま婚約を破棄されたと聞いた時から…。私は貴女の事をかの王子と同じく、パーティーで知ってずっと思っていました。しかし年の差も有り伝えられずにいました。もしこのバラが完成したら、思いきって気持ちを伝え玉砕してみようと思い今日に至りました。私は貴女よりかなり年上です。勿論拒否して戴いて構いません。でももし少しでも可能性が有るなら…。

　私は彼の手を取りました。まだ気持ちははっきりしないけど、何だか心が暖かいのです。そして近くのベンチに向かい、バラの花束を置き彼をぎゅっと抱きしめました。

　プレゼント本当に嬉しいです。私も一生懸命バラを育てました。その時の気持ちはかなわなかったけど、今では大切な思い出です。なのでそのお気持ちが本当に嬉しいのです。こんな気持ち誰にも感じる事が出来ませんでした。私で良いのでしたら、是非お嫁さんにして下さい。

 ＊＊＊＊＊

　この後、ロマンスグレーの紳士が実は超大国の王さまと知ってびっくり。それを知った皆もびっくり。そして数ヵ月後の結婚式に以前の婚約者が謝りにに来てびっくり。暫くびっくりが続く幸せな王国なのでした。

　お姫さまと王さまは沢山の子宝にも恵まれ、いつまでも２人ラブラブで過ごしました。

 ＊＊＊＊＊

　実は２人の結婚式に謝りに来た元婚約者の王子さま。この時、２人にざまぁされた状態で有ったのです。でも２人がこの事を知るのは、かなり遠い未来のお話になりそうでです。

 ＊＊＊＊＊