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【閑話・ゆうかの夢物語①】

*バラの国のお姫さま~絵本*

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   ☆バラの国のお姫さま~絵本版~☆
  
 昔々たる小さな国に、可愛いお姫さまが居ました。お姫さまには、将来結婚する事になっている王子さまが居ました。

 お姫さまは大好きな王子さまの為に、新種のバラを一生懸命育てていました。しかしそのバラが咲いた日、王子さまは他の国のお姫さまと結婚してしまったのです。

 お姫さまは育てたバラの花束を抱え、湖の畔で泣いて居ました。近くを白馬に乗ったロマンスグレーの男性が通りかかりましたが、お姫さまは気付かぬままでした。辺りが夕暮れ色に染まりはじめた頃、お姫さまは湖に花束を投げ入れひと言。私幸せになる!

 悲しみにくれるお姫さまの国でしたが、お姫さまの頑張りたい気持ちが皆を元気にさせました。だってお姫さまが悲しむ顔を見せないのに、皆も悲しい顔は出来ませんよね。

 皆で一生懸命バラを育てました。やがて国中がバラの香りに包まれる様になり、バラの国と呼ばれる様になりました。お姫さまのバラは、ポプリや香水にも姿をかえ、沢山の国々まで伝わり愛されました。

 そんなある日、お姫さまのお誕生日パーティーが開かれたのです。沢山の方々からプレゼントが贈られます。最後に大きなバラの花束を抱えたロマンスグレーの男性がやって来ました。

 お姫さま、お誕生日おめでとうございます。このバラは貴方の為に私が育てました。貴女だけのバラです。是非受け取って戴きたいのです。

 ありがとうございます。

 ラスト1曲を踊って戴けますか?

 よろこんで。

 楽しいダンスが終了しました。

 私も以前、思いを込めたバラを育てました。その時の思いは伝わりませんでしたが、懐かしい思い出です。

 なので今の私には、そのお気持ちが本当に嬉しいのです。

 湖の畔で俯く貴女の涙を見かけてから、私はずっと貴女の涙が忘れられませんでした。私は貴女よりかなり年上です。その為、中々思いを伝える事が出来ませんでした。しかしもし許されるなら、私には貴女を守らせて戴きたいのです。2度と悲しい思いはさせません。

 心が暖かくなります。本当に私で良いのでしょうか?恥ずかしくて、嬉しくてつい俯いてしまいそうになります。

 私で宜しければ喜んで。

 お姫さまと王さまは、いつまでも2人仲良く暮らしました。
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