60 / 92
【特別編・What day is today】
night with a full moon【画像つき】
しおりを挟む日中はまだまだ熱いです。しかし夜には虫も鳴き始め、秋も近づく今日この頃。ころポックル亭のメニューにも、秋の食材がお目見えしはじめています。
カボチャにサツマイモの根菜類。栗や銀杏や胡桃の種子類。葡萄に柿や梨などの果実類。もちろん茸も盛り沢山の季節になりますね。通年出回ってはいますが、人参に玉葱にジャガイモに里芋なども、丁度今頃が旬なんですよ。
運動の秋に読書の秋。どれも素敵ですが、やはり秋は美味しい食材がてんこ盛りです。つまりイチオシは!!
『食欲の秋!!』これに尽きるでしょう。秋の食材はお料理にも、スイーツにもあうのです。帝国の女将さんからも色々お料理を教わりました。もちろん私も、販売以外にも色々とアドバイスをしています。帝国のころポックル亭支店。ころポックル屋も、大盛況しているそうです。帝国の景気もかなり上向きになっています。
そしてまたまた帝国より、とある情報を手に入れて来ました。
【十五夜。お月見】
収穫したお米で『お団子』を作る。畑からは『里芋や枝豆』木からの恵みの『栗』これらとお神酒をススキ(稲穂の代わり)御供えし、みなで月を愛で豊穣を感謝する。
帝国の女将さんの料亭では、中庭の大きな池で、毎年お月見会を開いています。それにお呼ばれしたのです。
縁側から大きな綺麗な月を眺める。池の水面に写りこむ月を鑑賞する。更には丸い盃にお神酒を注ぎ、そこに月を写して愛で飲む。盃に移したお月さまを、祝い酒と共に飲んでしまう。中々風情のある楽しみ方です。
お米で作られたというお酒も美味しくて、ついつい飲み過ぎてしまったのは内緒です。
店内をお供えや麦穂を飾ります。我国の主食は小麦です。稲穂の代わりのススキが無かったので、麦の穂を飾りました。さあ。ころポックル亭でも、お月見を楽しんで貰いましょう!
*****
今日のころポックル亭のメニューの一つは、松茸をメインにした帝国風定食。もちろん松茸はダンジョン産です。帝国では高級料理だそうですよ。ダンジョン様々です。
もう一つが栗のクリームパスタをメインにしたセットです。こちらは森で採取したものです。ホクホクとした栗が、チーズとクリームに絡み最高です。
デザートには、お月見団子がつきます。白いコロリとしたお団子が積まれ、天辺に一つだけ黄色い団子がのります。これはカボチャ味です。
そしてお月見にはウサギさん。月を良く見てみましょう。ウサギさんが、ペッタンコと餅つきをしている様に見えます。そのイメージを考慮し、店員はウサギの耳つきでお仕事です。もちろんミリィちゃんは別ですよ。
*****
アリーは本当にイベント好きなのですね。まあ見た感じでは、沢山の人と関わりたいのでしょう。美味しいお料理にスイーツ。そして夜はお酒も。プラスお祭りが絡めば最強です。アリーはそれが嬉しいのでしょうね。それらが人々の笑顔に繋がるのですから……。
しかしこの耳はなんとかなりませんかね?服装は地味目に抑えて貰いましたが、耳で台なしです。しかも垂れ耳ですよ?トホホです。兄弟子たちと、仕事に行っているザックが憎いです。
*****
「ライラさーん!お迎えが来ました~。そろそろ孤児院へ行く時間なのです~。主役がいないと始まらないのです~」
「ミリィちゃん有り難う。今行くわ。ではアリーとルイスはまた後からね。次回は是非、主役のかぐや姫をお願いね。あ!ルイスには帝役をあげるわ。後ね。今回の主役はグレイよ?」
今日は昼から孤児院でも、お月見会を開催しています。昨日は毎月恒例のお料理教室でした。そのさいに作るお菓子を、お月見風にしたのです。お供えもバッチリです。
午前中はいつもの様にバザーをし、午後からはお月見会。子供たちがメインなので、月はハリボテで作りました。夕方に月が出たころ、ウサギの私たちがクッキーを配りに行きお開きになります。
途中にライラたちボランティアによる劇もあります。今回の演目は『銀ぎつね』です。聖獣になり自在に変身できる様になったグレイが、銀ぎつね役を引き受けてくれたのです。
販売用のお菓子は直ぐに完売したそうです。嬉しい悲鳴ですね。みんな楽しんでくれているみたいで、企画をプロデュースした私も嬉しい限りです。
なにやらブツブツとボヤキが聞こえてきます。どうやらルイスが、帝役は嫌だの、ウサギ耳がどうのと呟いています。
「でもルイス?かぐや姫は月の国のお姫様。地上では結ばれないのよ?」
「私には最終兵器のホーリーシールドソードがあります。フォードもあわせれば八本。ザイルもようやく一本具現させたそうです。九本もあれば一点集中で月の使者など消え去るでしょう。弓矢なんて生ぬるい武器を使うのがいけないのです!グレイとカーバンクルたちもいます。いざとなれば神をしばいてでも……」
ルイスって…………ある意味危険人物よね……。
「ルイスコワーい。アリーがかぐや姫なら僕は月の使者ね。そのまま神さまの所にとんずらしちゃおう。絶対に安心だよ」
「そうね。でもかぐや姫の気持ちが一番よね。私は今が一番楽しいわ。みんなと過ごせて最高よ。グレイ大好き。主役頑張ってね」
「はーい」
*****
「アリーまた後でね。松茸定食をご馳走さま。帝国のお料理は、あっさりしているのに腹持ちが良いわね。沢山食べたい食欲の秋には最高だわ。ダイエットにも良いんじゃないかしら?売り切り頑張って」
ダイエットですか?確かに帝国には太めの方はいないですね。景気のせいかと思っていましたが、ローカロリーな食材が多いのかもしれません。
「はい。ライラも頑張って下さいね。後から合流します」
さてそろそろ食堂も切り上げないといけませんね。ラスト売り切りますよ!
(…………ルイス?もしかしなくてもまたですか?)
(アリー師匠……間違いなくまたなのです。ここは人のいない内にすますべきなのです!)
(アリーはまたグレイだけに……ブツブツ……私には……)
はぁ……その恨みがましい視線は止めて下さい。仕方ないですね。もう……。
(ルイス?今晩の晩酌には、特別なお酒をあけてあげる。純米大吟醸ですって。お月見会のお土産よ。女将さんに貰ったの。大切な人と飲みなさいって)
(大切な人ですか?)
(そうでしょ?)
(大切は大好き以上ですか?)
……くどいな……でも拗らせると夜が怖いし……。
(みんな大好きだよ。ルイスは特別な大好きね!だからお酒を楽しみにしていて!)
(私もアリーが特別で大好きです。では今は我慢します。夜を楽しみにしています)
ふぅ。良かった。
(あ!アリー。ウサ耳は取らないで下さいね。大人のお月見も、そのままで続行ですよ。外したらお仕置きですからね!)
(…………。先に酔った方が勝ちかしら?)
お仕置きはどうなったのか?それを知るのは、月のウサギさんだけかもしれません……。
0
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。









