【完】転生したら禁忌の双子。後に悪魔。

桜 鴬

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ぐうぐう。すやすや。すぴー。

目が覚めた。おしっこしたいかも。

「・・・・・。」

「・・・・・。」

うーん。まだ話してるの?流石に長いね。私が寝てる間にイチャイチャすれば良いじゃない。別に居ても構わないなら、起きてても邪魔はしないけど。

でもやはり煩いから、イチャつくのは他の部屋で欲しいかも。

「おい!因みにそいつ、昨日生まれたばかりだからな。後信じられんだろうが、双子の片割れの人間だぞ。」

「変な誤解をしてごめんなさい。確かに人間離れしてるわね。でも本当に人間なの?この図太さは悪魔並みよ。」

「ああ。下手したら性格は中級悪魔並だろ。しかも属性も魔力もかなり有る。片割れは癒しの魔法のみ。魔力もさほど無い。しかも割れたままで、修復が全く始まっとらん。悪魔の呪いは能力も半々の筈だが、修正された魂の部分に多分何かがあるんだろうな。コイツは修復が異様に早すぎだ。まあそれでも彼方も人間の中では凄い方だ。聖女に祭り上げられそうだな。あれで聖女。ならコレは何だ?」

煩いわね!寝てると思って私の悪口言ってるの?性格は中級悪魔って酷い。しかもコレ扱い。私は人間よ!何をふざけた事を言ってるの?

「人外レベルね。つまり規格外。」

「ああ。だが鍛えれば悪魔並だ。逆を言えば天使並だと言う事だ。しかし天使は人間など、塵数多としか考えていない。」

「そうね。こんな人外の赤子でも、体は人間ですもの。天界には入れぬでしょう。なら此所で育てるしか無いわよね。」

私は人外なのですか?そこは既に決定なのですね?どうみても人外の方々に人外認定とは…。何だか物悲しくて、何処かへ逃避したくなります。

でもこの身では何処にも…。

「ではレイジュ。コイツを頼んだ!」

猫パンチ!猫パンチ!猫パーンチ!

「アブブブブゥー!バブ!バブ!バブ!(人を人外認定しといて人任せにするな!)」

・・・・・。

「俺と離れたく無いのか?大丈夫だ。近くには居るからな。お前は俺専用の玩具だ。色々楽しませてくれ。早速だが、無毒化したスライムとじゃれて見るか?なに戦えとは言わん。嫌がるお前が見たいだけだ。」

違うわ!2人仲良くしろと言ってるの!しかもスライム?このクズ!クズ悪魔!ん?でも悪魔は皆こんな感じなの?命有っての物種なのかしら?

「有難う。優しいのね。私だけに任せるなと怒ってくれてるのかしら?でも大丈夫。私でも良いなら面倒見るわ。コクヨウよりはマシよ?コクヨウは料理が全く出来ないからね。」

「俺達は別に食う必要は無いんだ。作る必要性はない。」

「でもこの子には離乳食が必要になる。ミルクだけではダメなのよ?」

悪魔に任されたら、スライムとか食べさせられそう。ひもじくてもそれだけはイヤ!

「アブブ!アブーバブブゥ。(是非とも!お姉さんでお願いします。)」

私を真ん中に置き2人が話をしているる。私は悪魔と女性の掌の上にそれぞれ猫パンチを置く。にっこり微笑み、精一杯のお礼を言う。

「アブブウ、アブブ、バブブブバブゥバブー。(コクヨウ、レイジュ、仮のパパママ宜しくね。)」

猫パンチで繋いだ3人の掌が発光する。光は徐々に収まり収縮した。

「やだこれどうして?」

「おい!この規格外の人外が!やはり貴様は人間じゃねえ!悪魔に契約しやがった!しかも同時に2人も!更にコイツの名を知らんから、俺らの方が下僕だ。ふざけんな!」

そんなどうして?下僕だ何て怒るのは当然だ。本当にどうしよう。

悪魔の恐ろしい視線が突き刺さる。

ごめんなさい。ごめんなさい…。本当にそんなつもりじゃ…。助けて貰って嬉かったのに。食べないでくれて、殺さないでくれて嬉かったのに。2人が優しくしてくれたら、パパママみたいで楽しいかなって。だから調子に乗っちゃったの。私は玩具なのにね。本当にごめんなさい。お願いだからぶたないで。痛いのはもう嫌だよ。

それに私名前無いから…。

前の名前も思い出せないし、今生では生まれて直ぐ捨てられたから名前無いの…。どうしたらその契約を取り消せるのかも解らない。ねぇ?私はどうすれば良いの?私が死ねば契約も消滅するの?

死ぬのは嫌だ…。ひもじくて寒くて悲しくて…。

でも助けてくれた人達に迷惑はかけられない。ならする事は1つだよね。

怒って怒鳴り散らし、私を叩こうとする悪魔を宥める女性。仲良くして欲しかったな。2人からこっそり離れる。女性がぶち抜いた扉から廊下に出る。永遠と続く廊下を転がる。転がる私を不審げに眺める、兵士やメイドさん達。

前方には階段。ギュッと目を瞑り更に加速をつける。今生の私の体はまだ小さい。直ぐにでも壊れて、安らかになれるだろう。赤子の体に感謝だね。階段から吹っ飛び宙に舞う体。暫くすると、鈍い痛みが体を襲う。2度、3度とバウンドする私の体。痛い!痛い!お願い早く終わって。

!?!?!?

思い出した。

そう私は多分死んだんだ。

でもやはり名前は思い出せない。

母と父は喧嘩してばかりだった。ある日突然父は居なくなった。その日から家は貧乏になった。兄は後1年だから大学をやめたくないと言う。卒業すれば就職に有利だ。家族を楽にするからと…。妹は小学生で、母は内職をしていた。

そうだ。あの日私は、帰宅途中に兄と会った。急遽必要になったからと、兄にお給料を渡す様に言われ渡した。帰宅後それを母に伝えたけど、どうしても信じて貰えなかった。嘘つきは家を出てけと追い出された。何で信じてくれないの?兄が戻れば解るのに!ひもじくて寒くて悲しくて…。

その晩、公園の遊具の中で寝た。起きたら赤子になってて祠に捨てられた。結局私はどちらの生でも、要らない子だったんだね。これってもしかして、良く言う異世界転生だったのかな?

転生は当たりハズレが大きいって、クラスメイトが話してた。今生の双子の妹は聖女。ヒロインなんだね。捨てられたモブの私は今生でも…。

死ぬんだから関係無いや。

気付くと泣いてた。滝の様に涙が流れてくる。何時の間にか着せられてた白い肌着の様な服は、自分の血と涙で赤く染まっている。前世でお父さんが居なくなった時も、今世で捨てられた時も、こんなに涙は出なかった。

私は必死に口を開き、伝わらぬだろう最後の言葉を紡ぐ。

「出来れば神さま。次はせめて自然死させて下さい。もう死にたくないです。苦しいのは嫌です。今生も、せめて名前位は付けて欲しかった。名前が有れば、もう少しは生きられたかも…。コクヨウ様。レイジュ様。パパママ何て、浅ましい事を考えてごめんなさい。呼び捨てにしてごめんなさい。たかが人間が調子にのって、本当にごめ…ん…なさ……い…。」

何事かと私のまわりに、兵士らしき者達が集まってくる。誰かが私の背中を触ってる?でももうダメみたい。体温が急降下する。寒いな。あの時と同じだ…。視界が暗転する。

「貴方様が何故我が城へ!?」

「ヒッ!貴方様は!」

「・・・。貴様らを捻り潰したいわ!されどこれは約束を違えた私のせいだな。…。何だ?煩い!貴様らは喋るな!輝子の下僕は大人しくしとれ!」

・・・・・。

もうこの体は駄目だな。内臓まで滅茶苦茶だ。この体で生かすには私の眷族にするしかない。しかしそれには代償が必要だ。輝子にこれ以上の代償は…。

やはりこれしかないな。まあ待つのも一興。下僕らの育児も楽しそうだ。

仕方あるまい。ニヤリ。

「「アブソルート様?」」

*****

「遅くなってすまん。」

誰かの声が聞こえる?でも良く聞き取れない。貴方は誰?

私の意識は暗闇にのまれてゆく。

「1度お前に全てを返そう。」

誰?何を返してくれるの?

「追加の代償はお前の涙だ。これから先、お前は私の腕の中でしか泣けなくなる。人前で涙を出せぬ事を覚悟しろよ。」

そう。何故忘れていたのだろう。私の名前は輝子。欠けていたパズルのピースの様に、次々と頭の中に過去の記憶が埋まって行く。

「お前はこれからシャインだ。人間の輝子には戻れない。眷族化した体には休息が必要だ。涙を思い出し再度全てを思い出すまで眠れ。それが眷族となる代償になる。起きた後に正式な伴侶として永き命を繋ぐ代償は…。まあ赤子に話す事でも有るまい。大人になるまで内緒だ。だから早く育て。」

私の涙は…。

何時の間にか涙は止まっていた。

*****
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