元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。

明石 清志郎

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1話:追放は突然

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 俺は今想定外の事態に立たされていた。

 俺の名はジン。昔地球から異世界に召喚されたことがあったんだが、その世界で色々あって神みたいな存在になったんだ。それで神域という世界での生活が始まったんだが、見習いの俺は先輩からまず世界を一つ、どんな方法でもいいから救えと言われたんだ。確かに俺は前の世界では一人で世界救ったわけじゃないし、同格の先輩がいたからそのサポートだった。そもそもこの力を得たこと自体が偶然だったわけで。

 「こんな屈辱あっていいのか……」

 俺は今パーティから追放されたのだ。


 ◇


 何があったかと言うと遡ること半年前だ。

 「どこの世界か決めたのか?」

 この人はランスロット先生。俺と同じ二十柱と言われる存在の一人だが、なったのが千年以上前で過去二十柱になった奴の大半が師事したことで大半が先生と呼ぶ人だ。

 「この世界がいいかなと」

 選んだのはニューアラと呼ばれる世界で、魔王が世界侵略を始めてそれを危惧したとある王国が、勇者の召喚を近々行おうしている世界だ。

 「ふむ、それでどうやって救うんだ?」
 「そうですね。自分が勇者に潜り込んでサポートしつつって感じで行こうかと」
 「なるほど、力を与えられたただの人間がどのように成長しどんな力に目覚めるかを間近で見つつ、世界を救う旅に参加か……悪くないぞい」

 前の時は大量召喚された上、倒すべき真の敵は魔王じゃないとかでごちゃごちゃしてしまった。出来なかった王道の勇者をしつつ、世界を救うという自分の願望を兼ねてやっちゃおうという考えだ。

 「どういう立ち回りをするかは任せるし手段は問わんが折角だし楽しんでくれと嬉しいぞい」
 「はい、そのつもりで行きますね」
 
 とまぁそれが半年前の話だ。その後このニューアラという世界のリレイル王国に召喚された。俺も含め五人の勇者が召喚された。

一人目は剣崎正義けんざきまさよし。名前の通り地球では剣道でインターハイ出場経験もある好青年だ。
 二人目は松野邦彦まつのくにひこ。地球ではサッカー部に所属していた少しチャラい感じのイケメンだ。
 三人目は相川光彦あいかわみつひこ。真面目そうなイメージの頭脳派だ。少し根暗に見えるがまぁ頭は良い。
 四人目は河野桜こうのさくら。活発な感じで元気のいい女の子で胸がデカいしそこそこ可愛い。
 五人目は俺宗田陣そうだじん。神に近い存在になった勇者のフリをした男だ。

 最初はこの五人で交流し、バレない程度に一歩リードした感じで四人を引っ張った。初期の王国での訓練を一か月を終えて、国を出たぐらいの時はみんな仲良かったし、俺確かには慕われていた。
 
 「もうお前いらないわ……」

 それを言われたのは召喚されて半年経った頃だ。俺は途中で引っ張るよりもサポートに徹し能力も四人より目立たないようにしていたのだ。

 「どういうこと?」
 「言葉の通りだよ!お前はもう要らないってことさ~」
 
 チャラ男の松野が言う。お前に要らないとか言われるのはとても不愉快だ。

 「確かに君は僕達を引っ張ってはくれたけど、最近では僕達の方が強い。君に限界がきたと判断したんだ」

 なんだと……それだけ俺が計算して悟られないようにしていたんだが……

 「俺はまだ戦える。事実足を引っ張ったことはない! 違うか?」
 「足引っ張りまくりじゃない?」
 「えっ……」

 桜はこの中でも一番良く話したし色々気にかけてくれていたはず。これは何かの間違いじゃないのか?

 「あなたは戦いの度にアドバイスとか言って色々言ってたでしょ?」

 そりゃそうだ。あんな力任せの戦いしていたら、いつか命落とすからな。そもそも魔王はそんな弱くないし。

 「ああ、見ていて色々危なっかしかったし」
 「あの度に私が三人を宥めていて、あんまり口出ししない方がいいってやんわり言ってもあなたやめなかったでしょ?」

 やんわり言われてたっけな?もう少し信じてやれとは言われたけど、いかんせん素人すぎて戦い方がなってなかったからな。

 「それは色々穴があったから……」
 「それが余計なお世話なのよ!もううんざりなの!」

 うんざり?今俺に向かってウンザリとか言ったよな。

 「そういうわけだ。つまり君は俺達とは合わないしレベルにも差が出てきている。こここら辺で別れようか」
 「待てよ、俺だって勇者だよ!五人で魔王を討伐しようって……」
 「それは君が強かったからだ。もう君は俺達には勝てないだろう」

 勝てない?誰に向かってそんな舐めた口きいてるんだこいつは。そもそも裏に徹してるだけで、大きな差を感じさせた部分なんかないはずだ。

 「そんなことは……」
 「わかんねぇのか?お前はもう要らないんだ!魔王は俺達四人で倒す!」

 いや無理だろ……口には出してないが、この世界は勇者召喚に使える魔力量が少なくて、凄い素質のあるような奴呼べてないし、一人分の魔力は俺や先輩方が補填してんだぞ。この世界の人間からみれば強いだろうけど、センスなかったし俺が細かくアドバイスしたからここまで伸びたし。

 「君もよかったじゃないか」
 「何!」
 「これはこの先君が足を引っ張って死なないようにという、僕達の善意さ。君はうるさくていけ好かなかったけど一応仲間だったからね~」

 おいお前!一番運動神経鈍くて俺が夜も自主練付き合ってやったから今があるくせに……

 「とにかくこれで終わりにしましょうか!」
 「なっ……」

 桜……嘘だろ……俺はお前のこと結構気に入ってたんだぞ。

 「桜……それはお前の本心なのか?」
 「ええ、私は嘘なんかつかないわ」

 嘘だろ……嘘だと言ってくれ……

 俺の心に槍が刺さるその瞬間だった。いくら世界一つ滅ぼすぐらいに強くなってもこれは慣れないぞ……

 「そうか……なら仕方ないか……」

 もういいや。何か今ので糸がプッツンて切れたし、こいつらのサポートする必要もないな。正義はともかくこんな奴ら見てても、人間の限界を見せてくれるような戦いをしてくれることはないだろう。こいつらが魔王討伐失敗したら、俺が直接魔王を殺って世界を平和にして終わりでいい。正直この世界の魔王ごとき瞬殺できるし、その気になればいつでもできるんだなこれが。
 
 「じゃあ俺はパーティから外れるよ。荷物まとめてここを去る」

 信じられないがこうなれば仕方ない。俺は暫くぶらり旅に出ることにしたのだ。ただ俺はこいつらが俺に下した決断は一生忘れないつもりだ。
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