前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。

明石 清志郎

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1章

26話:お仕置き

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 「ん……朝か……」
 
 我は領主の息子であるミックス・ハインツ。全く随分と風が当たるので目が覚めてしまった。ドアを開けたままだったのか……メイド達に愛の制裁を……

 「えっ……」

 確かに我はベッドの上だがここは外だ。どうなっている。立ち上がり屋敷の方を見ると言葉を失った。

 「家が……」

 大火災でもあったのか屋敷が燃えているのだ。

 「一体どうなって……」
 「おう、目が覚めたか~」
 「お前は!」

 その瞬間強烈な痛みと共に意識を失ったのだ。


 ◇
 

 「はっ!」

 殴って気絶させた三十分後ハインツは目を覚ました。

 「やぁ坊ちゃん~お目覚めかな~」

 寝ている間に洋服を剥がし、パンツ以外は脱がしてほぼ全裸にした。そして周りにはメイドや使用人、そして縄で縛った父親の姿だ。どうやら母親は死別しているようでいないみたいだ。

 「これは一体……ぐっ……体が……動かない……」
 「そりゃそうだ~体縛ったからよ~」
 「貴様……何という狼藉……こんなことが許されると……ブハッ!」

 まずは軽く頬をにビンタを一発だ。こういうボケナスは一度痛い目をみた方がいいやつだ。

 「とりあえずお前をこれからお仕置きをする」
 「何だと!貴様我を誰だと……」

 するとシルキーサリヴァンが目に入ったのかシルキーサリヴァンに呼びかける。

 「おいシルキーサリヴァン!ギルドマスターのお前が何故ここに……」
 「総長権限を持つこの周平様ご夫妻の命を受けてここで見届けよとの命が下っておりますので」
 「何だと!」
 「こいつお前と癒着して好き勝手して色々野放しにしてたみたいだから降格させようと思ってさ~」
 「何でもするからって言うからこうして見届けさせているの。そうよね?」
 「ハハッ!何卒ご慈悲を!」

 あらかじめ何をするか伝えておき練習をしたのだ。シルキーサリヴァンは白金ランクだが俺達はブラックランク。あくまでもシルキーサリヴァンは、俺達に逆らえず言う事を聞かざるを得ない状況を見せつけてくれとのことでこの芝居だ。今後この領主との付き合いを考えればそれぐらいはしてやらないと可哀そうだからな。
 
 しかしあんたも役者だな。上手い上手い~

 「お前はこいつと癒着してたみたいだけど俺達はこいつよりも上の立場にいる。つまりお前とこいつの間で決めていた取り決めなんざ関係なくお前を裁くからな~」
 「父上!こいつらを何とか……」

 父親のゴールディッヒも目を逸らす。こいつもさっき散々シメて、グランメテオで館を壊滅させた。使用人の借金を誤魔化したり、非道なことしていたのを盾にさんざん追い詰めて脅してやったから庇うことは出来ない。この事が大っぴらになれば逆に領主を剥奪される可能性が出てきているのはこいつの方だからな。

 「フフッそれは無駄よ~」
 「借金ごまかしたり、地下で非道なことしてた証拠はしっかり預かってるからこいつ俺達に逆らえないんだよね~」
 「何だと……」
 「残念な事にあなたのパパは今や私達の犬よ~」
 「すまない息子よ……何とか命だけは助けてもらうよう懇願した……それが父親としてお前にしてやることができた」

 力のない声でゴールディッヒがミックスに語り掛ける。

 「てなわけでまず一つ……使用人から日ごろのお礼をしてもらおうか」
 「お礼?」
 「まず一人目~」

 一人目はあの時レストランでお尻を触られていたメイドだ。

 「お前は我の専属の……」
 「サリマですわミックス様……」

 するとサリマはミックスの股に思いっきり蹴りをいれる。

 「グゴッ!な、何を……」
 「俺も迷ったんだわな~流石にこのまま使用人達に好きなようにさせたらお前の命が危ないなって思ってさ~」
 「うっ……」
 「だから話し合って今までのお礼を込めて一人一発丹精込めてやるってことで落ち着いたんだよ。なっ?」

 周りに語り掛けるとみなコクンと頷く。

 「そうそう反対する人も多くて説得するのも苦労したのよ~」

 殺してやるぅなんて言う使用人もなかにはいたからな。俺が説得して納得いくお仕置きをするからということで話がまとまったのだ。

 「流石にあそこ連発もはあれだから一回やったら二回は置いてくれな~」
 「質問いいかいあんちゃん?」

 地下で殺されそうになったいたうちの一人だ。

 「俺こいつに唾を吹きかけられたことが多々あったんだが顔面一発の前に唾をふきかけていいかい?」
 「そうだな~許可するよ。但しさっきも言ったけど鈍器を使うのは禁止で頼むな~」
 「ヘヘッ、了解~」

 男はそのまま唾を顔に吹きかけ、渾身のストレートが顔面いヒットする。

 「グハッ!」
 「うしっ!皆もしっかりお願いな!折角あんちゃんが作ってくれた仕返しの場を無駄にしないようにしようぜ~」

 おっさんも周りもみんなノリノリやな~

 「うんじゃ次は僕で……このお屋敷にて料理人をしていましたがよくお前の料理は気に入らないなどと言って、生傷が絶えない日々でした……」
 
 料理人の男はポケットから何かを出し口の中に押し込む。

 「それを食べて今まで受けた痛みを味わいなさい!」
 「グハァァァァァ!」

 飲み込んだ瞬間燃えるような声をあげた。一体何を食わしたんだ。

 「それは?」
 「これは激辛のカラカラの実です。それを数個飲み込ましたのです~」

 料理人の男は目をギラギラと輝かせている。しかしこいつ評判最悪だな。仕返し希望の使用人めっちゃ多かったし。

 「次は私ね……二回置いたしここを狙ってもオッケーね~」

 股に向かって気合のこもった蹴りが炸裂する。間近で見ると凄いシュールだ。見ているとい自分もつい抑えたくなってしまう。

 「後も使えてるしどんどん続いてくれ~」

 みんな色々なお仕置きをするが、男は唾吹きかけて顔面殴るのが一番多く、女は股を容赦なく狙うのが圧倒的に多いな。やっぱりメイド陣はみんな同じような目にあっているからだろう。

 「カゲロウお前はいいのか?」
 「いや……見ているだけで十分気持ちがすっきりだよ。俺は唾かけられたことないからな~」
 
 カゲロウに関しては少し特殊だったらしく領主からも労働以外で何かされていたわけではなかったそうだ。

 「バニラは?」
 「私も見てるだけで十分かな~ほら私って行為を強要される前に逃げ出したし~」
 「そういえばそうだったな~」

 そういやこいつ十五歳だったな~その割にはいい体つきだしこの世界の人間はみんな発育が早いがいいんかな。


 ◇


 しばらくすると使用人達が全員一発を終えた。いや~見てたけど女性陣容赦ないね。本当女性って怖いわ~

 「皆さんお疲れ様~」
 「こ……れで………おわ……りか……」

 顔面膨れ上がって折角の顔が台無しだなこれ。下半身の方は悲鳴をあげているけど死んではなさそうだ。いっそこのまま切ってもいい気がするがそれは同じ男として……正直人殺すよりやりたくない。

 「少し声は出せるようにしてやるか……」
 
 魔法で一時的に痛覚をなくしてやる。一時的になくしているだけなので解けばまた痛みがはしる。

 「さて次だな……」
 「まだあるのか……」
 「今度はお前に精神的苦痛を味わってもらう」
 「精神的苦痛だと……」

 俺は折りたたんだ髪を三枚手の上にのせて見せる。

 「このどれかを選べ。紙の中にそれぞれ別のお仕置きが書いてあり選んだやつを施行する」

 どれも可哀そうだけど大外れは一つだ。さてどれを選ぶか……
 
 「ならお前の右手側のやつだ……」
 「オーケー」

 選んだ紙を開く。

 「ツルッツルの刑……よし!」

 昔とある漫画で見た、頭を擦り付けて河童ハゲにする人間マッチ棒の刑と、モヒカン頭に眉毛全剃りの世紀末カットの刑もいれていたんだが、まさか一番大当たりのツルッツルの刑を引くとはこいつもってやがるな。

 「何をするつもりだ……」
 「お前等全員目に焼きつけておくんだな!」

 物質具現を使い大きな鏡を作り出す。

 「立花……バリアを」
 「ええ!」
 
 ミックスの皮膚の周りにのみ炎熱耐性のバリアを貼る。

 「浄化炎!」

 ミックスに火あぶりの刑だ。だがミックスの体は毛を除いてバリアで守られているので、以外燃えることはない。

 「これは……」
 
 毛が全て燃え終えると、素っ裸で全身の毛がなくなった、ツルツルのミックスがそこにいた。そう体中の毛という毛を全てなくすのがツルッツルの刑だ。

 「喜べ、お前の毛を痛みなく消滅させてやったぞ!みんなこれが全身の毛がなくなったミックスだ!みんな見てやれ!」

 周りはクスクスと笑い馬鹿にしたような目でミックスを見る。しかも目の前にある鏡で自分の姿を見ているのだ。恥ずかしい事この上ないだろう。

 「み、見るな……」
 「ふっ……フハハハハ!」

 後ろで見ていたカゲロウも笑い出す。こいつ無口な方だと思ってたがこんな風に大声だせんのな~

 「あんたおもしれぇな~これは傑作だ!」

 すると今度はみんな噴き出すように笑いだす。

 「み、見るな……やめてくれぇぇぇぇぇ!」

 ミックスの叫びが庭中に響き渡ったのだ。
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