前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。

明石 清志郎

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2章

31話:襲撃と殲滅

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 「囲まれたか……」

 随分とたくさん集まったものだな。立花の口ぶりからして、昨日俺の部屋を覗きに来た奴らと関係ありそうだな。さてどう料理するか……

 「外へ出ろ!」

 全員素直に外に出ると二十人ほどのいかつい男達が俺達を囲んでいる。

 しかしまぁむさ苦しい奴らだ。

 「と、盗賊……あ、あいつらだ……俺の物を奪ったのはあいつらだ!」

 キャロネロは悲鳴を上げる。てことはこれがシルキーサリヴァンの言ってたエステイツ盗賊団ってことか。遭遇する事なくスルーだと思ってたのにまさかこうなるとは……

 「大人しく持っている物を置いていけ!それと女はこっちに来い!」
 「ゲヘヘッ~二人とも上玉だ。特に片方は最高だな~」

 俺の嫁をそんな風に見られるとすんごい殺したくなるんだが……でもシルキーサリヴァンは殺さないで連れて来いって言ってたよな。でもこんな手下ども生かす必要あるのかな?だけどたくさん生かしたまま送れば謝礼も多いかもしれんな。

 「ほらっ!てめぇらはささっとこっちに来やがれ!」

 盗賊団の一人が立花に触れようとこちらに来る。俺の嫁に触れていいなんて言った記憶はねぇんだけどな。

 「あぁ!」

 触れようとした男の目に、指から炎のレーザー攻撃を当てる。

 「ギヤァァァァ!」
 「俺の立花に触れようとしてんじゃねぇぞ!」

 その場で悶える男の顔面に拳をヒットさせ、そのまま吹き飛ばす。あいつの目は失明待ったなしだな。シルキーサリヴァンのとこに持っていくにしろ、逃げられないようにする必要がある。こいつらは五体満足じゃないようにしておくか。

 「カゲロウ、手伝ってくれ!立花は馬車と残りを守ってくれ!」
 「了解……」
 「わかったわ~」

 両目か両手か両足かだな。きっと今までにたくさん悪さをしてきたんだしその報いを受けてもらおうか。宝物庫シャッカンマーより剣を出して構える。

 「聖剣カラドボルグ!お前等かかってきな!」
 「この野郎……やっちまえ!」

 お前等から手を出してきたんだ。それ相応の報いはしっかり受けてもらうとしよう。

 「おらぁぁぁ!」
 「遅い!」

 一人の攻撃を避けたすきにそのまま両手を一刀両断だ。

 「ぐあぁぁぁぁぁ!」

 両手がそのまま斬れ落ち悲鳴が響く。

 お前等は全員五体満足じゃない体にしてやるよ。五体不満足の刑なんてとこかな。

こ ういう弱い奴を食い物にしている奴らってのが一番腹立たしい。俺達は昔からそういう奴らを食い物にしてきたんだったな。そういうのを食い物にしていくことで弱者の指示を得る。そして弱者の支持を受けた真の強者の意見は、正義となり法律となる。つまりとは正義とは強者の利益なのだ。

 「次はお前だな……」
 「ひっ……」

 怖気づいた男にスライディングをしながら両足首を斬り落とす。流石は聖剣、いい切れ味だ。次の奴は両目だな。

 「カゲロウ!遅れをとるなよ」
 「何言ってんだ……それは難しいわ……」

 二人に囲まれたがそれを避け、俺の方に誘導する。

 「ほれ、誘導したぞ……」

 カゲロウに押し出される形となった二人は俺の方にやって来る。

 「お前は目だ」

 さっき同様左手の指から炎のレーザーを繰り出して目を潰しつつ、右手の剣でもう片方の両手を斬る。

 「お前は手」

 これで五人。さっきより悲鳴が大きくなる。本当はヴァイスシュヴァルツとかで一気殺りたいのが本音だが、まだ純粋なバニラの目に良くないだろうからな。まぁ目潰しも両手両足切断も、あまり目に良くないか目の前で惨い殺し方を見せるよりはましか。

 「あと十五人か。どんどんいくぜ!」

 交互にやっていくと残り八人ぐらいのところで勝てないと感じたのか盗賊団達が逃走し始めたのだ。だがそんなんで逃がすような俺達ではない。

 「立花!」
 「インフィニティシールド!」

 これは使用者によっては、ありとあらゆる攻撃を防ぐ第十位階魔法で、神魔法と創生魔法を覗けば最大の防御力を誇る魔法だ。しかもこれを展開している間は、シールド内にいる者は出ることは出来ない。

 「出れない……」
 「た、助けてくれ~」
 「そんな逃げると刑をしづらいから逃げんなっての」

 こっちに振り向いた奴二人の目をすかさずピンポイントで潰し、逃げる奴二人の足には剣を振った時にでる斬撃波を飛ばして切断、手を斬る奴は無理やり捕まえて二人の手を切断。これで十八人だ。

 「あと二人はどうすっかな~」

 二人に向かってニヤつくと、逃げるのを諦めたのか立花に向かって突撃を始めた。俺ならあそこは狙わないけど、あいつは容赦ないんだよな。特に俺が目と手と足を交互にやってるの見てたし狙うには十中八九だ。

 「うおぉぉぉ!」
 「ふぅ~汚い体で私に近づかないで欲しいものね~」

 立花は自身の持つ異能である熱線砲を容赦なく二人のあそこにヒットさせる。あいつらのは終わったな。
 
 「容赦ないっすね~」
 「当然よ~私のは周平のしか受け付けないから~」

 シールド内で凄い悲鳴が響いてる。まさに生き地獄だ。カゲロウなんか気の毒そうに見ているが、バニラもネズ子も女の敵だし当然みたいな感じだ。立花なんか熱線砲を放っている時はゴミを見る目で容赦の欠片もなかった。

 「ハハッ~それでこいつらが金の生る木っていうのは、こいつらにアジトの場所を吐かせて突撃、全員こんな感じにして、金品全部強奪ってこと?」
 「そうだけど少しだけ違うわ~アジトを聞くのはこいつらじゃないわ~ワイルドローズ!」

 バラのツルで相手を拘束して絞める、第七位階魔法でキャロネロを拘束する。

 「うっ……一体何を……」
 「どういうこと?」
 「何でそいつを拘束するっチュ?」

 急な行動にバニラもネズ子も驚きが隠せない様子だ。だがこうしてキャロネロを拘束したということは、立花はいち早く気付いたということだな。俺も今この瞬間にその意味が理解できた。思えば最初から違和感があったし気付くべきだったのだ。

 「つまりそういうことだな」
 「だな……俺も騙されつつも違和感は拭えなった。やっと解決したよ」

 キャロネロはエステイツ盗賊団の一人だという事だ。おそらくやられたフリをして旅人に同行しどこに向かうかを聞きだし、途中で盗賊団とこっそり連絡をとる。そしてタイミングを見計らって襲わせるということだ。

 「でも凄いな立花。いつわかったんだ?」
 「確かに……違和感こそ俺達もあったがそこまで確信を持てなかった」
 「そうね、確かに私も最初は違和感だけだったけど、夜の煙幕の時よ」
 「煙幕の時?」
 「私達は一階の部屋にいたから、あなたが騒いだ声がチラッと聞こえてね。それで外を見たら、煙幕と同時に男が飛んで走っていくのを見かけたわ。その時私は姿を消してそれを追ったら、その男は夜彼と話して打ち合わせをしていたの。それで次の日襲われるのも確信したわ」

 つまりあの時は、俺達が寝静まって殺れそうだったらそのまま殺ったが、近づこうとした段階で俺に気付かれ警戒されたと思い、断念したというわけか。

 「てことはもう昨日の時点で気付いていた感じか」
 「フフッ、隠しててごめんなさいね~でもみんなに言って、それがバレるのも嫌だったからね~」
 「というわけだ。何か言う事はあるか?」
 「な、何言ってるんだ!俺は被害者だ。夜の話だって何かの見間違いだ!」

 どうやらこういう状況でも往生際が悪いらしい。少し痛めつけてやろうか。

 「もう一度聞くがそれは本当か?」
 「本当だよ。兄ちゃんは俺のこと信じてくれるよな?」

 必死に懇願し、目で訴え掛けてくる。だが嘘はいかんな~立花がそんな嘘をつくわけがないし、そもそもお前目が泳いでるっつぅの!

 「残念だね~」

 片方の手で握手をしながら手に熱を込める。

 「ギヤァァァァ!」

 キャロネロの悲鳴が響き渡った。
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