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3章
73話:オンラクの迷宮へ
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宿できっちりと休みをとり早速ヒムヤーの迷宮へと向かった。ダリウスやバニラは流石に連れていけないのでお留守番となった。
「ザル~そんな怒るなって」
「ふん!」
ザルカヴァは九兵衛さんにご立腹だ。というのも昨日の飲みの席で九兵衛さんがいつもの屑っぷりを見せたのだ。
「フフッ、ここ数日の九兵衛さんは人が変わったように真面目で頼りがいがあったから怪しいとは思っていたけど エネルギー切れだったのね」
「立花ちゃん何を言っているんだい?俺はいつでも真面目じゃないか」
「ははっ、ある意味真面目だな」
俺と立花が笑うと実は爆笑し、九十九は白い目で九兵衛さんを見る。
「九十九ちゃんもなんとかザルに……」
「最低です……」
「おいおい……酷いじゃないか~」
なんでこんなことになったかというと、昨日の夜ファーディナンドによってロードリオン帰還及び城奪還を祝したパーティだった訳だが、九兵衛さんは前にも妖精の国を訪れたことがあり、ギルド総長としてロードリオンに招かれているだけあって知名度は高い。そんな九兵衛さんが何人ものエルフ美女に囲まれた時だ。
「九兵衛さん……この私の高鳴りをわかってくださるのかしら?」
「い、いけませんマドモアゼル……」
エルフの女性が九兵衛さんの手を自身の胸を触らせる。
「うほっ、これは柔らかい……」
「ふふっ、国を救ってくれた英雄に喜んでもらえて何よりですわ」
そして九兵衛さんの耳元で囁く。
「私の心の準備はできていますよ……」
「そ、それじゃあ……」
「まって九ちゃん……私も一緒に抱いて~」
さらに隣にいた女性は九兵衛さんの頬にキスをし、九兵衛さんの手を自身のお尻に触らせた。
「これはナイスなヒップ……」
「フフッ、私も一緒に堪能してくださらない?」
「げへっへっ、それじゃあ九ちゃん二人まとめてお持ち帰り~」
九兵衛さんもこの時かなり酔っていて欲望も全開だった。実際その二人も割と本気だったのかもしれないが、そんなやり取りを我慢できなかったザルカヴァの嫉妬心が爆発した。
「死槍……」
「へっ?」
ザルの槍は九兵衛さんの胸に直撃。酔っていても咄嗟の防御で傷一つなかったのが憎たらしいというかさすがというか……とにかくザルはそんな九兵衛さんを連れて説教した後泣きだし、九兵衛さんは一晩中その対応に追われたのだ。
「わかった、今度一緒に食事でも行こう」
「それはデート?デートじゃないと嫌だ!」
「れっきとしたデートだよ~」
最終手段のその単語を使ったか~
実際九兵衛さんはザルカヴァのことをどう思っているのかだな。まぁザルカヴァもスタイルは良さげで、でるとこはでてるし、九兵衛さんの息子が反応してないわけじゃないから好意はあるんだろうけど……
「わかりました~私が決めますから今度行きましょう~」
ザルカヴァはさっきまでの不機嫌な顔から一転、上機嫌へと変わる。九兵衛さんもどんどん自分で首を絞めている気もするが、心の奥底ではザルカヴァとの関係を望んでいるのかもしれないな。
「さて、迷宮攻略といきますかね」
さて四代迷宮が一つ、クレセントに続きオンラクの大迷宮の攻略だ。
「素材もちゃんと回収して資金源の確保ね、クレセントの時は白金貨数百枚になったから今回もそれぐらいは確保したいわね」
立花の言う通り今後のことを考えたらお金も重要になってくる。白金貨五百枚ほどで中貴族ぐらいの蓄えだから、今回の素材回収で大貴族の域を目指したい。
「確かに力で抑えるより金で抑えたほうがいい場合もあるからな、金と女は人を惑わせる」
「ほんとそうね」
俺達は一斉に九兵衛さんを見る。勿論白い目でだ。
「いやぁ~それほどでも~」
「褒めてない!」
ザルカヴァは九兵衛さんの頭を叩きみんなが笑う。昔はレダさんがよく突っ込みをいれていたな。そんなやり取りをしながら迷宮へと入った。
「迷宮とか懐かしいな~」
「私達もこの世界に来た頃は三百層の迷宮攻略をやらされましたね」
実と九十九は久しぶりの迷宮を懐かしんでいるようだな。
「三百層をクリアした当時はそれなりに苦戦した記憶があるだけに、騎士団に入った時迷宮が一〇〇一層まであるって聞いた時は驚きだったね」
「私達もまだまだってことよ実君」
「だな~今九十九ちゃんと直樹の三人で迷宮潜ったらどこまでいけるかな?」
「そうだな、三人なら九百層ぐらいまでは行けると思うぞ。九百層のボスはステータスが二十万ぐらいだろうからそこまではなんとかなるだろうし」
問題はラストだからな、実たちでは荷が重い。
「とりあえず最初の三百層は実と九十九とザルカヴァの三人で飛ばしてくれ、俺達は援護に回るよ」
最初は敵が雑魚いし三人に適当にやってもらおう。
三人を前衛に進んだ。最初の三百層は遊びみたいなものだし、俺達はついていきながら素材や金になりそうなアイテムの回収だ。
百五十層ぐらいまで進んだあたりでいかにも罠だという宝箱が置いてあった。
「この宝箱は……」
「罠ね……」
「スルーだな」
三人は宝箱をスルーしようとするが俺はそれを制止する。
「まて、そいつを開けろ」
「周平さん?」
「でもこれ絶対罠じゃ……」
九十九の言う通りこれは罠だ。前に菱田達が罠の宝箱を開けて俺は記憶を取り戻したんだったな。
「どんな状況でもそれを切り抜けるために力を発揮する必要がある、今は余裕もあるしその罠に正面から立ち向かうんだ」
これは俺のエゴだが、あの時の事を思い浮かべ開けて欲しいという衝動に駆られる。
「そういことなら了解~」
実は宝箱を開け、すると大きな音共に木の魔物が四体俺達を囲った。
ビッグウッドマン
レベル110
種族:魔法生物
攻撃:10000
防御:11000
魔法攻撃:8000
魔法防御:9000
素早さ:8000
魔力:8000
固有スキル:アースドレイン
「あの時はこれで……」
あの時記憶があればもう少し勇者といたんだろうな……そんなこと考えても仕方ないのだがちょっと考えてしまったな。
「私が片づけます」
九十九は双剣を手にトレントをあっさり倒した。
「口程にもないですね」
召喚したての勇者じゃないしまぁそうなるよな。
「わざわざ手間をかけさせてすまんな九十九」
「いえいえ~お金になりますから~」
「ザル~そんな怒るなって」
「ふん!」
ザルカヴァは九兵衛さんにご立腹だ。というのも昨日の飲みの席で九兵衛さんがいつもの屑っぷりを見せたのだ。
「フフッ、ここ数日の九兵衛さんは人が変わったように真面目で頼りがいがあったから怪しいとは思っていたけど エネルギー切れだったのね」
「立花ちゃん何を言っているんだい?俺はいつでも真面目じゃないか」
「ははっ、ある意味真面目だな」
俺と立花が笑うと実は爆笑し、九十九は白い目で九兵衛さんを見る。
「九十九ちゃんもなんとかザルに……」
「最低です……」
「おいおい……酷いじゃないか~」
なんでこんなことになったかというと、昨日の夜ファーディナンドによってロードリオン帰還及び城奪還を祝したパーティだった訳だが、九兵衛さんは前にも妖精の国を訪れたことがあり、ギルド総長としてロードリオンに招かれているだけあって知名度は高い。そんな九兵衛さんが何人ものエルフ美女に囲まれた時だ。
「九兵衛さん……この私の高鳴りをわかってくださるのかしら?」
「い、いけませんマドモアゼル……」
エルフの女性が九兵衛さんの手を自身の胸を触らせる。
「うほっ、これは柔らかい……」
「ふふっ、国を救ってくれた英雄に喜んでもらえて何よりですわ」
そして九兵衛さんの耳元で囁く。
「私の心の準備はできていますよ……」
「そ、それじゃあ……」
「まって九ちゃん……私も一緒に抱いて~」
さらに隣にいた女性は九兵衛さんの頬にキスをし、九兵衛さんの手を自身のお尻に触らせた。
「これはナイスなヒップ……」
「フフッ、私も一緒に堪能してくださらない?」
「げへっへっ、それじゃあ九ちゃん二人まとめてお持ち帰り~」
九兵衛さんもこの時かなり酔っていて欲望も全開だった。実際その二人も割と本気だったのかもしれないが、そんなやり取りを我慢できなかったザルカヴァの嫉妬心が爆発した。
「死槍……」
「へっ?」
ザルの槍は九兵衛さんの胸に直撃。酔っていても咄嗟の防御で傷一つなかったのが憎たらしいというかさすがというか……とにかくザルはそんな九兵衛さんを連れて説教した後泣きだし、九兵衛さんは一晩中その対応に追われたのだ。
「わかった、今度一緒に食事でも行こう」
「それはデート?デートじゃないと嫌だ!」
「れっきとしたデートだよ~」
最終手段のその単語を使ったか~
実際九兵衛さんはザルカヴァのことをどう思っているのかだな。まぁザルカヴァもスタイルは良さげで、でるとこはでてるし、九兵衛さんの息子が反応してないわけじゃないから好意はあるんだろうけど……
「わかりました~私が決めますから今度行きましょう~」
ザルカヴァはさっきまでの不機嫌な顔から一転、上機嫌へと変わる。九兵衛さんもどんどん自分で首を絞めている気もするが、心の奥底ではザルカヴァとの関係を望んでいるのかもしれないな。
「さて、迷宮攻略といきますかね」
さて四代迷宮が一つ、クレセントに続きオンラクの大迷宮の攻略だ。
「素材もちゃんと回収して資金源の確保ね、クレセントの時は白金貨数百枚になったから今回もそれぐらいは確保したいわね」
立花の言う通り今後のことを考えたらお金も重要になってくる。白金貨五百枚ほどで中貴族ぐらいの蓄えだから、今回の素材回収で大貴族の域を目指したい。
「確かに力で抑えるより金で抑えたほうがいい場合もあるからな、金と女は人を惑わせる」
「ほんとそうね」
俺達は一斉に九兵衛さんを見る。勿論白い目でだ。
「いやぁ~それほどでも~」
「褒めてない!」
ザルカヴァは九兵衛さんの頭を叩きみんなが笑う。昔はレダさんがよく突っ込みをいれていたな。そんなやり取りをしながら迷宮へと入った。
「迷宮とか懐かしいな~」
「私達もこの世界に来た頃は三百層の迷宮攻略をやらされましたね」
実と九十九は久しぶりの迷宮を懐かしんでいるようだな。
「三百層をクリアした当時はそれなりに苦戦した記憶があるだけに、騎士団に入った時迷宮が一〇〇一層まであるって聞いた時は驚きだったね」
「私達もまだまだってことよ実君」
「だな~今九十九ちゃんと直樹の三人で迷宮潜ったらどこまでいけるかな?」
「そうだな、三人なら九百層ぐらいまでは行けると思うぞ。九百層のボスはステータスが二十万ぐらいだろうからそこまではなんとかなるだろうし」
問題はラストだからな、実たちでは荷が重い。
「とりあえず最初の三百層は実と九十九とザルカヴァの三人で飛ばしてくれ、俺達は援護に回るよ」
最初は敵が雑魚いし三人に適当にやってもらおう。
三人を前衛に進んだ。最初の三百層は遊びみたいなものだし、俺達はついていきながら素材や金になりそうなアイテムの回収だ。
百五十層ぐらいまで進んだあたりでいかにも罠だという宝箱が置いてあった。
「この宝箱は……」
「罠ね……」
「スルーだな」
三人は宝箱をスルーしようとするが俺はそれを制止する。
「まて、そいつを開けろ」
「周平さん?」
「でもこれ絶対罠じゃ……」
九十九の言う通りこれは罠だ。前に菱田達が罠の宝箱を開けて俺は記憶を取り戻したんだったな。
「どんな状況でもそれを切り抜けるために力を発揮する必要がある、今は余裕もあるしその罠に正面から立ち向かうんだ」
これは俺のエゴだが、あの時の事を思い浮かべ開けて欲しいという衝動に駆られる。
「そういことなら了解~」
実は宝箱を開け、すると大きな音共に木の魔物が四体俺達を囲った。
ビッグウッドマン
レベル110
種族:魔法生物
攻撃:10000
防御:11000
魔法攻撃:8000
魔法防御:9000
素早さ:8000
魔力:8000
固有スキル:アースドレイン
「あの時はこれで……」
あの時記憶があればもう少し勇者といたんだろうな……そんなこと考えても仕方ないのだがちょっと考えてしまったな。
「私が片づけます」
九十九は双剣を手にトレントをあっさり倒した。
「口程にもないですね」
召喚したての勇者じゃないしまぁそうなるよな。
「わざわざ手間をかけさせてすまんな九十九」
「いえいえ~お金になりますから~」
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