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それはそれは幸せな物語
しおりを挟むあの夜から二年。
私と殿下、いえ、陛下は結婚したわ。
そう、私は愛する人と結ばれることが出来たの。
とても幸せ。
私は以前、悪役がいない物語を考えていたわ。
きっとそれは私の物語のことだったのね。
考えてみればそうよね。
ゲームの世界があるだなんて作り手の想像。
想像と現実は交わらない。
それでもあくまでゲームのするのならば。
ヒロインにとっての悪役は悪役令嬢だけれど。
悪役令嬢にとっての悪役はヒロインだもの。
そう、だからこの物語は悪役がいない物語。
私の物語。
そもそも、私がゲームに参加しないのならば、他の方も参加しないことを考えなければならなかったわね。
自分一人だけが抜けることしか考えないだなんて、とてもとても傲慢。
生憎、わたしが愛した悪役令嬢はいなかったけれど、過去は過去。
私とわたしは違うもの。
今ならわかるわ。
悪役のいない物語は既に始まっていた。
悪役がいない物語は、特にこれといった山場もなく、ただただ通常通り、正常に進んでいく。
悪役のいない物語は、わくわくしない。
ただただ平和なだけ。
もし悪役のいない物語があったならば。
悪いお姫様は、正義のお姫様と王子様に成敗されてしまいましたとさ………めでたしめでたし
なんて終わりではない。
お姫様は王子様と幸せに暮らしました。
それだけのお話。
それはそれは幸せな物語。
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