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第八章 Reckoning
落とし前―⑳―
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下腹部を下着だけ纏った黒縁眼鏡のカンタは顔の筋肉全てを使って、ロックに敵意を叩きつけている。
「ブルース……アレ、全く考えたくないことなんだけど――」
「全身を電気に変えて“タニグク”に直に入り込んで、内部のプロテクトそのものをぶち壊しやがった!!」
マキナの間合いから離れたサミュエルとブルースが、ロックの背後で言った。
恨みに研ぎ澄まされたカンタの両眼は、ロックと背中合わせとなったブルースとサミュエルとその向こう側を馳せる。
銀色の皮膚を自らの咢に籠る炎で照らす巨大な人型猪と化したマキナに、一平の炎の右拳が放たれた。
銀鏡色の巨猪人の炎が、一平を覆う。
一平の拳は、マキナに届かない。
だが、マキナの口腔から炎が噴き出す。
彼女の出したものではない。
一平の両腕に装備した手甲型“命導巧”:“ライオンハート”の“疑似物理現象”。
炎を構成する可燃物、助燃材、熱源の三要素を一まとめにした“爆轟咆破”が、銀鏡色の巨猪人の口腔の奥底で炸裂したのだ。
「一平!!」
龍之助が、一平に向けて叫ぶ。
しかし、視線を空から落ちる氷塊に変え、矛槍型“命導巧”:“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の穂先を振るった。
氷塊を薙ぎ、砕きながら、宙を浮かぶ白い氷塊群の奥にいる銀鏡色の巨大な猿人――リカコ――に龍之助が肉迫。
リカコの咆哮と共に、氷塊群が進撃を開始した。
穂先から出した加圧水流で、龍之助が応戦する。
三つの氷塊を横に薙ぎながら斬る。
しかし、それらの影に隠れた四つ目の氷塊が、龍之助に迫る。
彼は眼鏡の奥にある眼光を輝かせながら、矛槍を振り切った。
龍之助の眼閃が四つ目の氷塊に焼きつけられると、それが瀑布に変わる。
彼が右へ薙いだ槍の遠心力――その勢いを利用して、穂先で叩き切ったのだ。
“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の加圧水流による両断による瀑布と氷の欠片が、マキナを覆う。
水と氷塊に覆われた銀鏡色の右腕――手に付いた氷の爪で、龍之助を斬りつけた。
夜の空気を斬り、土瀝青の欠片が巻き上がる。
しかし、その中に赤色――つまり、龍之助の血は無い。
肉片の欠片もなかった。
ただ、マキナの全身を覆う銀鏡色が夜空に浮かぶ蒼色の月食を映す。
彼女が見上げる先には、水しぶきを上げながら飛翔する龍之助。
彼の得物である矛槍型“命導巧”の加圧水流で四つ目の氷塊を切断した勢いで、マキナの上空を取ったのだ。
呆ける白色の巨大猿の頭部に、“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の蒼い穂先の雷霆が落ちる。
「サキ、今だ!!」
龍之助の加圧水流を帯びた一振りが、マキナの額を裂いた。
巨大な銀鏡の猿人が、衝撃に両手で仰ぐようによろける。
大きく空いたマキナの胴に、蒼白い斬閃が疾走った。
空気を破裂させる指向性熱力の刃が、巨大猿人の左袈裟から右肩で爆ぜる。
衝撃で尻餅を付く猿人の銀鏡の肌に、炎の塊が映った。
炎の塊が人型になり、立ち消える。
炎に覆われて一平が、
「熱くないけど……なんか、手が思いしダルい!!」
炎色のパーカーに火が付いていないか、まるで、自分の尾を追う犬の様に探す一平。
だが、そんな一平の下に龍之助が駆けた。
龍之助を認める一平の視線が、ロック自身とその向こうのカンタを捉える。
カンタに目を向けると、彼の両眼に溜まる電撃が球電を作った。
二つの電撃がカンタの全身を銀鏡色に染める。
リカコとマキナと同じくらいの背の、銀鏡色の人型になった。
横に広い外見とは似ても似つかない――四肢と体幹の細い、銀鏡の雷で出来た魔人。
両眼に溜まった電撃がカンタの両手に移り、それが青緑色の投げ槍となった。
左手から放たれた一擲が、一平と龍之助。
ロックには、カンタの右の一擲が向かう。
サキが、一平と龍之助に雷の投げ槍の前に立った。
サキの目の前に、二人の“命熱波”の守護者が現れる。
彼女たちの作る不可視の結界が、カンタの雷擲を防いだ。
ロックは、二擲目に立ち向かった。
銀鏡の魔人の皮膚が、無傷のサキを映す。
だが、雷撃が煙幕となったのか、黒シャツに“力”の白一文字を加えた“力人衆”がサキ、一平と龍之助を覆った。
“疑似物理現象”の“駆け抜ける疾風”による神経強化を使い、ロックの反応速度を最高値に引き上げる。
全ての視界が遅くなり、二擲目の雷槍がロックの右頬を撫でた。
ロックの立っていた場所の土瀝青を焦がした瞬間、逆手に構えた紅黒の斬閃が銀鏡の魔人と化したカンタの胴を捉える。
翼剣の切っ先がカンタに振れる寸前、電光石火となって逃れた。
銀鏡の巨人の顔は見えない。
しかし、表面に映るロックの鏡像に、目と口を思わせる沁みが浮かぶ。
それが嘲笑っているように見えた。
しかし、その顔の形の沁みが苔色と一対のエメラルドの光で消える。
「ロック、落ち着け!!」
ブルースの二刀のショーテル型“命導巧”:“ヘヴンズ・ドライヴ”の双子のエメラルドの斬閃が銀鏡の巨人の双肩を刻む。
カンタの銀鏡色の細長い体の頭部が、口腔を大きく広げた。
雷鳴が口を吐き出す銀鏡の魔人の顎に、ロックは“ブラック・クイーン”の“籠状護拳”に覆われた右手の一撃を放つ。
ロックの体重と速さによる熱力を込めた拳が、3mの細長い巨体の両脚を駅前広場の大地から引き離した。
紅黒く光る翼剣を順手に持ち替える。
肉迫して、ブルースの刻んだ左肩の切れ目に、一刀を振るった。
右斜めに刻まれた斬閃の熱力が、銀鏡の魔人から血煙の様に噴き出す。
『コロ……コロシ、テ――!!』
「やってみろ、歩く他責思考!! 俺にやられた時の言い訳とテメェの腐り切った性根……どっちが先に尽きるかな!?」
ロックは分厚い翼剣の柄を叩き、半自動装填式拳銃型“命導巧”:“イニュエンド”を左手で取り出す。
左手の拳銃型“命導巧”をすかさず開いたカンタの口に、ロックは狙いを定めた。
銀鏡の魔人の口が閉じる間に三回引き金を引いた。
射出音と共に三発、全てが銀鏡魔人のカンタの口に入った。
銀鏡色の細長い胴体が、弛緩――否、大きく歪む。
左右に広がったと思ったら、上下に盛大に揺れた。
そして、盛大に銀鏡の腹が弾ける。
三発の破裂音と共に、白い煙がカンタの腹と口から吐き出された。
「ブルース……アレ、全く考えたくないことなんだけど――」
「全身を電気に変えて“タニグク”に直に入り込んで、内部のプロテクトそのものをぶち壊しやがった!!」
マキナの間合いから離れたサミュエルとブルースが、ロックの背後で言った。
恨みに研ぎ澄まされたカンタの両眼は、ロックと背中合わせとなったブルースとサミュエルとその向こう側を馳せる。
銀色の皮膚を自らの咢に籠る炎で照らす巨大な人型猪と化したマキナに、一平の炎の右拳が放たれた。
銀鏡色の巨猪人の炎が、一平を覆う。
一平の拳は、マキナに届かない。
だが、マキナの口腔から炎が噴き出す。
彼女の出したものではない。
一平の両腕に装備した手甲型“命導巧”:“ライオンハート”の“疑似物理現象”。
炎を構成する可燃物、助燃材、熱源の三要素を一まとめにした“爆轟咆破”が、銀鏡色の巨猪人の口腔の奥底で炸裂したのだ。
「一平!!」
龍之助が、一平に向けて叫ぶ。
しかし、視線を空から落ちる氷塊に変え、矛槍型“命導巧”:“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の穂先を振るった。
氷塊を薙ぎ、砕きながら、宙を浮かぶ白い氷塊群の奥にいる銀鏡色の巨大な猿人――リカコ――に龍之助が肉迫。
リカコの咆哮と共に、氷塊群が進撃を開始した。
穂先から出した加圧水流で、龍之助が応戦する。
三つの氷塊を横に薙ぎながら斬る。
しかし、それらの影に隠れた四つ目の氷塊が、龍之助に迫る。
彼は眼鏡の奥にある眼光を輝かせながら、矛槍を振り切った。
龍之助の眼閃が四つ目の氷塊に焼きつけられると、それが瀑布に変わる。
彼が右へ薙いだ槍の遠心力――その勢いを利用して、穂先で叩き切ったのだ。
“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の加圧水流による両断による瀑布と氷の欠片が、マキナを覆う。
水と氷塊に覆われた銀鏡色の右腕――手に付いた氷の爪で、龍之助を斬りつけた。
夜の空気を斬り、土瀝青の欠片が巻き上がる。
しかし、その中に赤色――つまり、龍之助の血は無い。
肉片の欠片もなかった。
ただ、マキナの全身を覆う銀鏡色が夜空に浮かぶ蒼色の月食を映す。
彼女が見上げる先には、水しぶきを上げながら飛翔する龍之助。
彼の得物である矛槍型“命導巧”の加圧水流で四つ目の氷塊を切断した勢いで、マキナの上空を取ったのだ。
呆ける白色の巨大猿の頭部に、“セオリー・オブ・ア・デッドマン”の蒼い穂先の雷霆が落ちる。
「サキ、今だ!!」
龍之助の加圧水流を帯びた一振りが、マキナの額を裂いた。
巨大な銀鏡の猿人が、衝撃に両手で仰ぐようによろける。
大きく空いたマキナの胴に、蒼白い斬閃が疾走った。
空気を破裂させる指向性熱力の刃が、巨大猿人の左袈裟から右肩で爆ぜる。
衝撃で尻餅を付く猿人の銀鏡の肌に、炎の塊が映った。
炎の塊が人型になり、立ち消える。
炎に覆われて一平が、
「熱くないけど……なんか、手が思いしダルい!!」
炎色のパーカーに火が付いていないか、まるで、自分の尾を追う犬の様に探す一平。
だが、そんな一平の下に龍之助が駆けた。
龍之助を認める一平の視線が、ロック自身とその向こうのカンタを捉える。
カンタに目を向けると、彼の両眼に溜まる電撃が球電を作った。
二つの電撃がカンタの全身を銀鏡色に染める。
リカコとマキナと同じくらいの背の、銀鏡色の人型になった。
横に広い外見とは似ても似つかない――四肢と体幹の細い、銀鏡の雷で出来た魔人。
両眼に溜まった電撃がカンタの両手に移り、それが青緑色の投げ槍となった。
左手から放たれた一擲が、一平と龍之助。
ロックには、カンタの右の一擲が向かう。
サキが、一平と龍之助に雷の投げ槍の前に立った。
サキの目の前に、二人の“命熱波”の守護者が現れる。
彼女たちの作る不可視の結界が、カンタの雷擲を防いだ。
ロックは、二擲目に立ち向かった。
銀鏡の魔人の皮膚が、無傷のサキを映す。
だが、雷撃が煙幕となったのか、黒シャツに“力”の白一文字を加えた“力人衆”がサキ、一平と龍之助を覆った。
“疑似物理現象”の“駆け抜ける疾風”による神経強化を使い、ロックの反応速度を最高値に引き上げる。
全ての視界が遅くなり、二擲目の雷槍がロックの右頬を撫でた。
ロックの立っていた場所の土瀝青を焦がした瞬間、逆手に構えた紅黒の斬閃が銀鏡の魔人と化したカンタの胴を捉える。
翼剣の切っ先がカンタに振れる寸前、電光石火となって逃れた。
銀鏡の巨人の顔は見えない。
しかし、表面に映るロックの鏡像に、目と口を思わせる沁みが浮かぶ。
それが嘲笑っているように見えた。
しかし、その顔の形の沁みが苔色と一対のエメラルドの光で消える。
「ロック、落ち着け!!」
ブルースの二刀のショーテル型“命導巧”:“ヘヴンズ・ドライヴ”の双子のエメラルドの斬閃が銀鏡の巨人の双肩を刻む。
カンタの銀鏡色の細長い体の頭部が、口腔を大きく広げた。
雷鳴が口を吐き出す銀鏡の魔人の顎に、ロックは“ブラック・クイーン”の“籠状護拳”に覆われた右手の一撃を放つ。
ロックの体重と速さによる熱力を込めた拳が、3mの細長い巨体の両脚を駅前広場の大地から引き離した。
紅黒く光る翼剣を順手に持ち替える。
肉迫して、ブルースの刻んだ左肩の切れ目に、一刀を振るった。
右斜めに刻まれた斬閃の熱力が、銀鏡の魔人から血煙の様に噴き出す。
『コロ……コロシ、テ――!!』
「やってみろ、歩く他責思考!! 俺にやられた時の言い訳とテメェの腐り切った性根……どっちが先に尽きるかな!?」
ロックは分厚い翼剣の柄を叩き、半自動装填式拳銃型“命導巧”:“イニュエンド”を左手で取り出す。
左手の拳銃型“命導巧”をすかさず開いたカンタの口に、ロックは狙いを定めた。
銀鏡の魔人の口が閉じる間に三回引き金を引いた。
射出音と共に三発、全てが銀鏡魔人のカンタの口に入った。
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