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最強天使、忍びの者に圧巻
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「忍者修行の館はさ、平衡感覚が試されるみたい。力也先輩、酔っちゃわないかなあ……」
「僕のことは気にしないでね? せっかくなら遊に楽しんで欲しいな」
「力也せんぱあーい! あんみつ食べましょうよ!」
力也くんとも絶妙に会話が噛み合わぬ遊は、小腹が空いたらしい。迷路で頭を使ったのだろうと言いたいところだが、ほぼスキップで突破していたような……。しのぶちゃんは、そんな遊に大笑いだ。
蒼くんは静かにスマホを覗き、マップを確認している。那須ハイパークに訪れた際もそうだったが、計画に余念がない。俺よりも添乗員に向いている。
「忍者の演劇を観たあとに、甘味処に行くのがベストかも?」
「にーちゃん! あんみつとは別の店に、日光の天然水を使ったかき氷があるんだって!」
力也くんをあんみつに誘い、兄にはかき氷を持ちかける。迷わせてくる遊に、俺は指先で顎をなぞった。どちらも食すという手もあるな。
「私もかき氷が気になってたんだけど、蒼は冷たいのだいじ?」
しのぶちゃんが自分の腹をポンポンと叩いている。ははは。最強天使の治癒力を、あなどってはならんぞ?
「うん。もう何ともないよ」
蒼くんの隣で、遊が白い歯を見せて笑っている。飾り気のないその笑顔……。なぜだ、少々嫌な予感が。
「しのぶさん!」
「うん?」
「にーちゃんの腹はさ、さっきサミュエルさんがまほ——ぶっふぉおッ!」
俺は咄嗟に、遊の口を手のひらで覆った。お、おい!魔法などと言ってはならんぞ!?
「アハハッ! 二人とも、仲良すぎでしょ!?」
目尻に涙を溜め笑うしのぶちゃんだったが、蒼くんはこちらをちらりと見たのみ。その反応もかえって気になるが……やれやれ。遊のうっかり具合は、俺と重なるものがある。そんな似た者同士の二人を、力也くんが——。
む?力也くんがおらぬ。
「遊よ。力也くんはどこだ?」
「あれっ? 力也せんぱあーい!?」
涼しい顔で、蒼くんが厠のほうを指さす。
「……さっき、サミュエルさんと遊がごまかしてるときに、トイレに行くって言ってましたよ」
ごまかしてるときとか。どう捉えても、隠し事があると見抜かれている。最強天使、彫像と化す。
「あっ、力也せんぱあーい! 会いたかったあ!」
遊の時空は、変身処と共に歪んだらしい。手ぬぐいを懐にしまう力也くんと合流し、そのまま忍者劇場へ向かった。
なんと、長蛇の列ができているではないか。驚きつつも無事に入館すると、超満員。アクション好きであろう少年は、こぶしを小刻みに振り待ちきれぬようだ。
「ほかにもさ、笑って見られる演劇もあるみたい!」
「では、のちほどそちらにも行ってみるとしよう」
がやがや盛り上がっていると、暗転。拍手が鳴り響いた。てっきり、冒頭から忍術が披露されるものと思っていたが、静寂から始まる本格的な舞台である。
ドラマ仕立ての展開に、観客はみな没入していく。
——カンッ!カンッ!カキーンッ!
刀を合わせる音に、交差する光の演出。鼓動を煽るBGMに、物語はさらなる盛り上がりを見せる。忍びの者たちはバク転を繰り出し、刹那の如く駆け、縦横無尽に宙を舞う。
なんたることか。息つく暇もないストーリーを、目の前で観る贅沢。彼らは真の忍者だ。そう言っても過言ではないだろう。
終演後の満足感は、まるで一本の映画を見終えたかのようだ。感動の余韻が消えぬまま、我々は甘味処で小休止することに。さて、あんみつか、かき氷か——。
おや?栃木を代表する名産が、店先の品書きに……!
——続く——
「僕のことは気にしないでね? せっかくなら遊に楽しんで欲しいな」
「力也せんぱあーい! あんみつ食べましょうよ!」
力也くんとも絶妙に会話が噛み合わぬ遊は、小腹が空いたらしい。迷路で頭を使ったのだろうと言いたいところだが、ほぼスキップで突破していたような……。しのぶちゃんは、そんな遊に大笑いだ。
蒼くんは静かにスマホを覗き、マップを確認している。那須ハイパークに訪れた際もそうだったが、計画に余念がない。俺よりも添乗員に向いている。
「忍者の演劇を観たあとに、甘味処に行くのがベストかも?」
「にーちゃん! あんみつとは別の店に、日光の天然水を使ったかき氷があるんだって!」
力也くんをあんみつに誘い、兄にはかき氷を持ちかける。迷わせてくる遊に、俺は指先で顎をなぞった。どちらも食すという手もあるな。
「私もかき氷が気になってたんだけど、蒼は冷たいのだいじ?」
しのぶちゃんが自分の腹をポンポンと叩いている。ははは。最強天使の治癒力を、あなどってはならんぞ?
「うん。もう何ともないよ」
蒼くんの隣で、遊が白い歯を見せて笑っている。飾り気のないその笑顔……。なぜだ、少々嫌な予感が。
「しのぶさん!」
「うん?」
「にーちゃんの腹はさ、さっきサミュエルさんがまほ——ぶっふぉおッ!」
俺は咄嗟に、遊の口を手のひらで覆った。お、おい!魔法などと言ってはならんぞ!?
「アハハッ! 二人とも、仲良すぎでしょ!?」
目尻に涙を溜め笑うしのぶちゃんだったが、蒼くんはこちらをちらりと見たのみ。その反応もかえって気になるが……やれやれ。遊のうっかり具合は、俺と重なるものがある。そんな似た者同士の二人を、力也くんが——。
む?力也くんがおらぬ。
「遊よ。力也くんはどこだ?」
「あれっ? 力也せんぱあーい!?」
涼しい顔で、蒼くんが厠のほうを指さす。
「……さっき、サミュエルさんと遊がごまかしてるときに、トイレに行くって言ってましたよ」
ごまかしてるときとか。どう捉えても、隠し事があると見抜かれている。最強天使、彫像と化す。
「あっ、力也せんぱあーい! 会いたかったあ!」
遊の時空は、変身処と共に歪んだらしい。手ぬぐいを懐にしまう力也くんと合流し、そのまま忍者劇場へ向かった。
なんと、長蛇の列ができているではないか。驚きつつも無事に入館すると、超満員。アクション好きであろう少年は、こぶしを小刻みに振り待ちきれぬようだ。
「ほかにもさ、笑って見られる演劇もあるみたい!」
「では、のちほどそちらにも行ってみるとしよう」
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ドラマ仕立ての展開に、観客はみな没入していく。
——カンッ!カンッ!カキーンッ!
刀を合わせる音に、交差する光の演出。鼓動を煽るBGMに、物語はさらなる盛り上がりを見せる。忍びの者たちはバク転を繰り出し、刹那の如く駆け、縦横無尽に宙を舞う。
なんたることか。息つく暇もないストーリーを、目の前で観る贅沢。彼らは真の忍者だ。そう言っても過言ではないだろう。
終演後の満足感は、まるで一本の映画を見終えたかのようだ。感動の余韻が消えぬまま、我々は甘味処で小休止することに。さて、あんみつか、かき氷か——。
おや?栃木を代表する名産が、店先の品書きに……!
——続く——
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