最強天使の俺、日本で迷子になり高校生男子に懐かれ大混乱【改訂版】

エイト∞

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最強天使、天使アピール(違)

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 帰宅後、遊はすぐにキッチンへ。バスの中では終始ふわふわした様子だったが、料理となるとスイッチが入るらしい。手際よく、あれこれ準備を進めている。

 おや?生産量トップのもやしを洗っているではないか。ハムを冷蔵庫から取り出したぞ。ゴマダレ冷やし中華、アゲインか!?
 待ってましたと言わんばかりに、俺も手伝おうとしたのだが——。

「サミュエルさんが握っていいのは、箸だけだからね!?」

 なぜか、カトラリーのナイフまで禁止される始末。死神ではないのだが、時折キャラ変させられるのはなぜだろうか。そろそろ、この黒Tシャツを処分したほうがいいかもしれぬ。

 ソファに座ったところで、大きく伸びをした蒼くんがやってきた。L字型の角を挟み、俺の斜め向かいに腰を下ろす。見たところ、一日中勉強していたようだ。

「蒼くん、お疲れ様」
「サミュエルさんこそ。バイトどうでした?」
「……実はな、久美ちゃんも一緒に働いたんだ」

 蒼くんが、遊のほうに視線を向けた。夕食作りに集中しており、こちらの会話は聞こえていない模様だ。……む!卵を手にしているぞ!錦糸卵用か!?

「遊、話せてましたか?」
「うむ。デートに誘おうとしていたぞ」
って?」
「最終的には、久美ちゃんから切り出してくれたんだ」

 背もたれに寄り掛かった蒼くんは、やれやれといった表情で笑っている。

「リードさせてどうすんだよ……」
「ははは。だが、二人はなかなか相性がいいように思うぞ?」
「ねえねえっ! あと目玉焼き作って乗せるだけだからさ、じーちゃんとばーちゃん呼んできて欲しい!」

 ジュージューと炒めものの音が響く中、遊が負けじと声を張る。どうも、今夜は別メニューのようだ。

「蒼くんはそのまま休んでいてくれ」

 礼を言う蒼くんを背に、ガラス戸をスライドして庭へ出る。サンダルを引っ掛け、家庭菜園のトマトときゅうり、俺が落ちた大木を横目に、蒼くんからは見えない端のほうへ——。
 夏の夕暮れを感じながら、オーロラ色に煌めくスマホを耳にあてる。

「……サミュエル様」
「バレット。何か報告があるのか?」

 俺は空を見上げた。熱帯夜を予感させる蒸し暑さと、まだ沈まぬ太陽。真冬ならば、この時間はすでに真っ暗だろう。

「まずはアイスクリーム屋でのご就労、お疲れ様でございました。さて、ペナルティについてでございます。腕時計の故障の件も含めて報告書を作成致しましたところ、お咎めなしとのことでございました」
「おお! バレットよ、見事だ! 感謝に耐えぬ!」

 さすが、我が無双執事である。休暇をもっと伸ばしてやりたいところだ。

「サミュエル様。もったいないお言葉をありがとうございます」
「俺のサポートと並行する形になってしまったが、久しぶりの長期休暇はどうだ?」
「上界と下界を往復しつつ、存分に満喫しております」

 思えば、ここまで長くバレットと顔を合わせぬのは、初めてだ。彼は衣食住を共にするバディ。最強天使の住まいは「まるで城のようだ」と例えられることもあるが、広さに関わらず、彼の姿を見ぬ日など休暇以外はありえぬ。
 朝はバレットがカーテンを開けるところから始まり、彼が淹れた苦いコーヒーを飲む。そのまま下界へ舞い降りることもあれば、朝食を摂り、ミッションの打ち合わせに入ることも少なくない。

 連休はあれど、バレットが我が家を離れるのは三日程度だ。彼の休暇の過ごし方は、執事の師匠であり、またバレットの育ての親でもあるゼファーとその家族と共に団らんを楽しんだり、お気に入りの日本へローザと舞い降りることもしばしばだが——。

「お、お久しぶりでございます。サミュエル様」

 数日ぶりに会うと、スンッとした態度が際立っているように見えるのだ。

「バレット、おかえり」
「ただい……ま戻りました、バレットでございます」

 知っている。

「お前の淹れたコーヒーが、ちょうど恋しくなって——」
「こちら、大変話題のお品物でございますッ!!」

 決まって、目を合わさずに俺の胸に土産を突き出す。その姿は、どこか照れ隠しをしているような……む?

 少し会わぬだけで、リセットされる。バレットと遊は、よく似ているではないか。ははは。思わぬ共通点の発見だ。笑みがこぼれてしまうぞ。

「有意義な休暇となっているようで、何よりだ。ときにはことも必要だからな」
「羽根を伸ばす……おや? サミュエル様、天使アピールをありがとうございます」
 
 やはり、バレットと遊は似ておらぬ。ゆるんだ口角がピクつく件。



 ——続く——

 読んでくださりありがとうございます!バレットとの電話はもう少し続きます!(笑)明日もぜひご覧ください!^^
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