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最強天使、五重塔と電波塔の秘密(その1)
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「東照宮ひさしぶりだあー! 力也先輩、酔ってないですか?」
「うん。大丈夫だよ」
駐車場を離れ、長い砂利道をひたすら歩く。セミの鳴き声が頭上から降り注ぎ、木々がさわさわと揺れている。緑のおかげか、暑さも多少は和らいでいるようだ。
しかし……観光客は多くとも、高校生の姿がないぞ。大学生らしきカップルは、ところどころに見られる程度だ。うーむ。グループデートにしては、ちょいと渋いところへ連れてきてしまっただろうか?
「キャッハハ! 野菜もきくらげも全部入れてるんですか!?」
「そーそー! オリジナルって言いながら、毎回同じ味になっちゃうの!」
俺の心配をよそに、久美ちゃんとしのぶちゃんは非常に楽しそうである。先ほど「マーラータン」と言っていたように聞こえたが、あの中国の麻辣湯で間違いないのだろうか?
旨いのは確かだが、レディがそんなに盛り上がるとは意外である。流行りとは、どこから始まりどこで終わりを迎えるのか。わからぬものだ。
「東照宮って参道を含めてかなり歩くんですよね。家康の墓も、とんでもなく上にあるんですよ」
隣を歩く蒼くんが、空を指さす。そこまで高くはなかろう。上界ではあるまいと、俺も思わず笑ってしまった。
「長い石段を上がった先のようだな。全員の体力が余っていたら寄るとしよう」
「……あのメンバーのうち、誰かが腹減って行けなそうですけどね」
お喋りが止まらぬレディたちと、飛行機ポーズで力也くんの周りを走る遊。蒼くんの千里眼は、今日も冴え渡っている。
「ははは。その予想は的中しそうだな?」
「ですよね。あ、最初の見どころに到着しましたよ」
落ち着いた蒼くんのガイドに、視線を上げると——。
朱色にそびえ立つ五重塔。日光を代表する建造物のひとつといっていいだろう。
俺は両手を腰にあて、じっくりと見上げた。鮮やかな色彩でありながら、豊かな自然と寄り添うその姿。再建されたものとて、その歴史もすでに長い。なんと感服すべきことだろうか。
「ちなみに、東京の浅草方面にスカイツリーってありますよね?」
「うむ」
「芯柱で建物の強度を上げてるんですけど、五重塔を参考にしたみたいです」
「な、なんと……!」
建設当初から、「空のその先を突こうとしているのでは?」と上界でも話題になっていた。現代の象徴であり、電波塔としては世界一の高さを誇るあのタワー。
——まさか、その構造が、日光の五重塔から知恵を享受していたとは。栃木の秘めた力には限界などない。宇宙の果てまで届くかもしれんな。オーサム、栃木!
「思わぬ共通点だ。蒼くん、勉強になったぞ」
「でも、奈良の法隆寺の五重塔も同じなんですよ。なので、日光の例え話は追いやられがちかもしれません」
ほう。時には身を引き、東京と奈良のタッグを支える。そんな執事スタイルの栃木も好きである。
——続く——
読んでくださりありがとうございます!投票、いいね、お気に入り登録などで応援をよろしくお願いします!
小説の内容紹介にも記載しましたが、東照宮はどうにもぼやかしようがないので、そのまま使いました(笑)明日もぜひ続きをご覧ください!
「うん。大丈夫だよ」
駐車場を離れ、長い砂利道をひたすら歩く。セミの鳴き声が頭上から降り注ぎ、木々がさわさわと揺れている。緑のおかげか、暑さも多少は和らいでいるようだ。
しかし……観光客は多くとも、高校生の姿がないぞ。大学生らしきカップルは、ところどころに見られる程度だ。うーむ。グループデートにしては、ちょいと渋いところへ連れてきてしまっただろうか?
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「そーそー! オリジナルって言いながら、毎回同じ味になっちゃうの!」
俺の心配をよそに、久美ちゃんとしのぶちゃんは非常に楽しそうである。先ほど「マーラータン」と言っていたように聞こえたが、あの中国の麻辣湯で間違いないのだろうか?
旨いのは確かだが、レディがそんなに盛り上がるとは意外である。流行りとは、どこから始まりどこで終わりを迎えるのか。わからぬものだ。
「東照宮って参道を含めてかなり歩くんですよね。家康の墓も、とんでもなく上にあるんですよ」
隣を歩く蒼くんが、空を指さす。そこまで高くはなかろう。上界ではあるまいと、俺も思わず笑ってしまった。
「長い石段を上がった先のようだな。全員の体力が余っていたら寄るとしよう」
「……あのメンバーのうち、誰かが腹減って行けなそうですけどね」
お喋りが止まらぬレディたちと、飛行機ポーズで力也くんの周りを走る遊。蒼くんの千里眼は、今日も冴え渡っている。
「ははは。その予想は的中しそうだな?」
「ですよね。あ、最初の見どころに到着しましたよ」
落ち着いた蒼くんのガイドに、視線を上げると——。
朱色にそびえ立つ五重塔。日光を代表する建造物のひとつといっていいだろう。
俺は両手を腰にあて、じっくりと見上げた。鮮やかな色彩でありながら、豊かな自然と寄り添うその姿。再建されたものとて、その歴史もすでに長い。なんと感服すべきことだろうか。
「ちなみに、東京の浅草方面にスカイツリーってありますよね?」
「うむ」
「芯柱で建物の強度を上げてるんですけど、五重塔を参考にしたみたいです」
「な、なんと……!」
建設当初から、「空のその先を突こうとしているのでは?」と上界でも話題になっていた。現代の象徴であり、電波塔としては世界一の高さを誇るあのタワー。
——まさか、その構造が、日光の五重塔から知恵を享受していたとは。栃木の秘めた力には限界などない。宇宙の果てまで届くかもしれんな。オーサム、栃木!
「思わぬ共通点だ。蒼くん、勉強になったぞ」
「でも、奈良の法隆寺の五重塔も同じなんですよ。なので、日光の例え話は追いやられがちかもしれません」
ほう。時には身を引き、東京と奈良のタッグを支える。そんな執事スタイルの栃木も好きである。
——続く——
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