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第一章 婚約破棄は突然に。
檻の中
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婚約破棄前日。
この日はドレスを選んでいた。
「リディアには何でも似合うからな。最大限魅力を出せるものにしよう」
「ありがとう」
行動と矛盾している言葉。
ただ、傍にいて輝いとけ、俺の品格を落とすなとも言いたげな言葉に一発顔面にお見舞いしてやろうかと思ってしまった。
もちろんすることなんてできない。
「よし、これにしよう」
目の前に出されたのは、黒基調の赤いバラが特徴的なドレス。
いやだな、なんて思ってももちろん拒否権はない。
「リディアは何を着ても美しいからな。これも似合うだろう」
「ありがとう、とても気に入ったわ」
嫌ではあるが、婚約破棄をする私にとって、悪役のようで似合うものではあるだろう。
部屋へ戻り、ルシアンが出ていったのを確認すると膝から崩れ落ちてしまった。
笑みを貼り付けていたからだろうか、頬が痛い。
笑みすら消えた口から乾いた声が漏れる。
「……やっと、終わるのね」
ミリアがそっと毛布をかけてくれる。
「リディア様、本当に大丈夫ですか?」
大丈夫、その言葉からはたくさんの心配が読み取れる。
婚約破棄をしてから、本当にそれで終わるとは思えない。
たくさんの人に迷惑をかけてしまうだろう。
でも、この家はもともと私のものだから住む場所には困らないし、金銭面も国が補助してくれると聞いた。
きっと大丈夫。
自分にそう言い聞かせて、うなずいた。
「ありがとう、ミリア。私は大丈夫よ。ミリアにはたくさん心配をさせたわね」
そう言うとミリアは笑いながらうなずいてくれた。
何回この笑顔に救われたかしら。
胸元のロケットをそっと握り目を閉じる。
亡き母の面影が脳裏によぎる。
―――檻の中でも強く生きるの。
お母様の声が聞こえたように感じた。
「もう私はこの檻から羽ばたくわ。鎖を断ち切るの」
震えてしまった。
でも、紛れもなく私の声だった。
夜は静かに更けていく、最後の日に向かって……
この日はドレスを選んでいた。
「リディアには何でも似合うからな。最大限魅力を出せるものにしよう」
「ありがとう」
行動と矛盾している言葉。
ただ、傍にいて輝いとけ、俺の品格を落とすなとも言いたげな言葉に一発顔面にお見舞いしてやろうかと思ってしまった。
もちろんすることなんてできない。
「よし、これにしよう」
目の前に出されたのは、黒基調の赤いバラが特徴的なドレス。
いやだな、なんて思ってももちろん拒否権はない。
「リディアは何を着ても美しいからな。これも似合うだろう」
「ありがとう、とても気に入ったわ」
嫌ではあるが、婚約破棄をする私にとって、悪役のようで似合うものではあるだろう。
部屋へ戻り、ルシアンが出ていったのを確認すると膝から崩れ落ちてしまった。
笑みを貼り付けていたからだろうか、頬が痛い。
笑みすら消えた口から乾いた声が漏れる。
「……やっと、終わるのね」
ミリアがそっと毛布をかけてくれる。
「リディア様、本当に大丈夫ですか?」
大丈夫、その言葉からはたくさんの心配が読み取れる。
婚約破棄をしてから、本当にそれで終わるとは思えない。
たくさんの人に迷惑をかけてしまうだろう。
でも、この家はもともと私のものだから住む場所には困らないし、金銭面も国が補助してくれると聞いた。
きっと大丈夫。
自分にそう言い聞かせて、うなずいた。
「ありがとう、ミリア。私は大丈夫よ。ミリアにはたくさん心配をさせたわね」
そう言うとミリアは笑いながらうなずいてくれた。
何回この笑顔に救われたかしら。
胸元のロケットをそっと握り目を閉じる。
亡き母の面影が脳裏によぎる。
―――檻の中でも強く生きるの。
お母様の声が聞こえたように感じた。
「もう私はこの檻から羽ばたくわ。鎖を断ち切るの」
震えてしまった。
でも、紛れもなく私の声だった。
夜は静かに更けていく、最後の日に向かって……
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