4 / 17
第一章 婚約破棄は突然に。
紅のバラと悪役
しおりを挟む
「リディア様、おはようございます。とうとう来ましたね」
ミリアの声で目が覚める。
ステンドガラスから差し込む朝日が眩しい。
……そう、とうとうやってきたのだ。
まだ覚めきらない頭をどうにか働かせベッドから降りる。
ドレッサーに映った自分の顔はひどいものだった。
隠しきれないほどに濃い隈。
何より―――感情のなくなった瞳。
こんな顔、してたのね。
「はは、」
乾いた声が漏れる。
ミリアと鏡越しに目が合う。
「リディア様、大丈夫ですよ。今日で終わりますから」
にこっと微笑んだその瞳が映る。
この笑顔に何度救われたかな。
「そうね。ありがとうミリア。私、ミリアの笑った顔が一番好きだわ」
私もミリアみたいな笑顔を。
優しく胸元のロケットを握る。
「もう、怖くないわ」
少し怖いかもしれない。
でも、それ以上に檻から抜け出せることが嬉しかった。
* * *
時間が進むにつれ、変わっていく姿。
ミリアの手によって編まれていく髪の毛。
宝石のように輝く髪飾りが髪に差し込まれていく。
「リディア様……女神様のようです」
そう言って微笑んでくれるミリア。
鏡の中にいる私は誰が見ても完璧な令嬢だ。
でも、その瞳には凍りついた決意が溢れていた。
「今日で終わりよ」
ミリアは少し驚いた顔をしたけれど静かにうなずく。
「はい。どんな結果でもお傍におります」
ドレスの裾を軽くつまみ上げ、立ち上がる。
オフショルダーの黒いドレス。紅のバラの装飾。
まるで悪役令嬢だわ。
祝福されたいぐらいなのに。
コンコンと、ドアのノックされる音がした。
「ルシアン様の準備が整いました」
外から聞こえた声に胸の奥が一瞬だけ冷たくなる。
息を吸い、微笑みを貼り付けた。
「行ってくるわね、ミリア」
「ご武運を……」
ドアの向こうには、あの人の従者が立っていた。
氷のような視線で私を上から下まで見定める。
「……美しい。ルシアン様もお喜びになられるでしょう」
そんな無表情で言われても嬉しくない。腹が立ってくるわ。
「ええ、そうでしょうね」
唇の端で笑い夜会の会場へ進んでいった。
ミリアの声で目が覚める。
ステンドガラスから差し込む朝日が眩しい。
……そう、とうとうやってきたのだ。
まだ覚めきらない頭をどうにか働かせベッドから降りる。
ドレッサーに映った自分の顔はひどいものだった。
隠しきれないほどに濃い隈。
何より―――感情のなくなった瞳。
こんな顔、してたのね。
「はは、」
乾いた声が漏れる。
ミリアと鏡越しに目が合う。
「リディア様、大丈夫ですよ。今日で終わりますから」
にこっと微笑んだその瞳が映る。
この笑顔に何度救われたかな。
「そうね。ありがとうミリア。私、ミリアの笑った顔が一番好きだわ」
私もミリアみたいな笑顔を。
優しく胸元のロケットを握る。
「もう、怖くないわ」
少し怖いかもしれない。
でも、それ以上に檻から抜け出せることが嬉しかった。
* * *
時間が進むにつれ、変わっていく姿。
ミリアの手によって編まれていく髪の毛。
宝石のように輝く髪飾りが髪に差し込まれていく。
「リディア様……女神様のようです」
そう言って微笑んでくれるミリア。
鏡の中にいる私は誰が見ても完璧な令嬢だ。
でも、その瞳には凍りついた決意が溢れていた。
「今日で終わりよ」
ミリアは少し驚いた顔をしたけれど静かにうなずく。
「はい。どんな結果でもお傍におります」
ドレスの裾を軽くつまみ上げ、立ち上がる。
オフショルダーの黒いドレス。紅のバラの装飾。
まるで悪役令嬢だわ。
祝福されたいぐらいなのに。
コンコンと、ドアのノックされる音がした。
「ルシアン様の準備が整いました」
外から聞こえた声に胸の奥が一瞬だけ冷たくなる。
息を吸い、微笑みを貼り付けた。
「行ってくるわね、ミリア」
「ご武運を……」
ドアの向こうには、あの人の従者が立っていた。
氷のような視線で私を上から下まで見定める。
「……美しい。ルシアン様もお喜びになられるでしょう」
そんな無表情で言われても嬉しくない。腹が立ってくるわ。
「ええ、そうでしょうね」
唇の端で笑い夜会の会場へ進んでいった。
2
あなたにおすすめの小説
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
『皇族を名乗った伯爵家は、帝国に処理されました』 ―天然メイドは、今日も失敗する―
ふわふわ
恋愛
婚約破棄を経て、静かに屋敷を去った令嬢。
その後に残された伯爵家は、焦燥と虚勢を抱えたまま立て直しを図ろうとする。
だが、思惑はことごとく空回りする。
社交界での小さな失態。
資金繰りの綻び。
信用の揺らぎ。
そして、屋敷の中で起こる“ちょっとした”騒動の数々。
決して大事件ではない。
けれど積み重なれば、笑えない。
一方、帝国では新たな時代が静かに始まろうとしている。
血筋とは何か。
名乗るとは何か。
国家が守るものとは何か。
これは、派手な復讐劇ではない。
怒号も陰謀もない。
ただ――
立場を取り違えた家が、ゆっくりと現実に追いつかれていく物語。
そして今日も、屋敷では誰かが小さな失敗をする。
世界は静かに、しかし確実に動いている。
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
【完結】君は星のかけらのように・・・
彩華(あやはな)
恋愛
君に出会ったのは幼いだったー。
婚約者に学園で出会った一人の女性と。
僕は後悔する。
彼女の幸せを償いたいー。
身勝手な男の話です。
でも、一途な思いでもあります。
4話+1話構成です。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる