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少年篇
作戦決行②
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「カリル・ヴァン・ジークライア殿下、無事の到着何よりです。パールニア合衆国に着くまで、我々が全身全霊でお守りいたします」
そんな、気迫のこもった言葉を聞いた後に騎士の一人一人が俺のところに来て
近衛騎士の人達一人一人と一言ずつ挨拶を交わし、そして聖女マリンと少し話をした後
ナインとスセルともう一人、近衛騎士の中で年長者のエルトールだ
三人は同時に円を囲むように話し終わった後に俺のほうに向かってきた
険しい顔をしている三人の顔を見た俺は、疑問に思い声をかけようか近づく
すると、みんな俺が近づいてくるのにすぐに気づき顔を見合わせ頷いている
正直、何があったのかは分からないが漠然とした悪寒自体はあった
そもそも、三人とも顔怖すぎなんだよ…………
はぁ、でもそれほどのトラブルがあったのだろうか
例えば追手が既に来ているとか、足がついてしまったとか、作戦がばれててもう囲まれているとか
どちらにしても、只事では無いのだろう
三人と相対した瞬間、スセルが真剣な表情で一歩前に出て、俺の顔を見た後に下を向き深く息を吸い込み、暫く息を止め一気に息を吐きだす
そして、俺に顔を向けなおし口を開く
「カリル、今からあなたの首についている奴隷の首輪をとりたいと思います」
「え? これって取ることできるの?」
「…………はい、出来ます。ですが、失敗すればカリル、あなたの命を落とすかもしれません…………」
「そうかぁ、じゃぁ、とっとと初めてよ」
俺の言葉を聞いた、三人は固まっていた
三人だけではない、マリンも近衛騎士も全員が目を丸くして固まる
俺自身何をそんなに固まることがあるのかと一瞬呆れそうにもなったが、この人達は俺を助けるために命を懸けているのだ
俺がそんな簡単に良いよというのが嫌だったのかなぁ
俺が少し不思議そうに首をかしげると、沈黙を破ったのはスセルだった
「カリル、何故そんな簡単に承諾で来るのか聞いても?」
「え? だって、この首輪がある限り俺に自由はないんだ。じゃぁ、聞きたいけど生きてるってことはなんだと思う?」
「それは……………………」
誰もが俺の問いに答えられずにいた
沈黙が再び俺達を包み込む、辺りからは野鳥の声や川の流れる音が森が風に揺られる音だけが響き渡る
聖女でさえも、少し難しいようだ
正直こんなに気まずい空気になるとは思っていなかった
そんな、みんな一斉に黙らなくても…………
スセルはお手上げだと言うように頭に手を置き、低い唸り声をあげながらものすごく考えていた
そして、近衛騎士年長者のエルトールがお手上げだと言わんばかりに両手を上げ俺に答えを聞こうとする
「すみません、殿下。答えを教えていただいても?」
「いや、俺も知らん!」
俺は腕を組み自信満々にそう言い放つと、再度の沈黙が訪れる
只今度は、驚いた表情をしながら困惑している様子だ
いや、こいつら面白すぎるだろう
コントでもやっているのかと言いたくなるぐらい、リアクションが最高だな
まぁ、分からないものは分からないしなぁ
でも……………………
「俺自身帝国の道具として死ぬ事は、生きていると言えるのか? だけど、生きると言うことに対して確かな答えは知らないけど…………俺が思う事は、心臓が動いているから、息をしているから生きているという事じゃない」
周りにいる近衛騎士や聖女、目の前にいるナイン、エルトールは呆然と立ち尽くしている中、スセルだけは俺の瞳を強い眼差しで見ていた
スセルは、少し考え頭をかきながら溜息交じりに俺の頭に手を伸ばす
そして、慈愛のこもった目で数秒見つめた後に、決意したようにもう一度息を吸う
スセルの覚悟は決まったようだ
「カリル、あなたは本当にすごい子だ。分かりました、その首輪を外しましょう」
「うん、スセルになら任せられる」
スセルはきょとんとしたような顔を見せた後に嬉しそうに、再び俺の頭を撫で始める
そして、この忌々しい奴隷の首輪を外すための準備を進め始めた
俺の付けている奴隷の首輪の特性として、勝手に外そうとすれば全身が麻痺し身動きが取れなくなるようになっているのと
外部の者が無理やり外そうとすれば首輪は爆発し自身と外そうとした者の命も奪うように設計されている
只スセルの情報によると、この首輪は普通の奴隷が付けている首輪とは違い、俺のにはもう一つ仕掛けが施されていると言う
それが、この首輪を付けている奴隷が外そうとする、若しくは誰かが外そうとした瞬間に、首輪を装着している奴隷は死ぬ呪いがかけられている
てか、改めて思うが普通七歳の子供にこんな事するか?
爆発もやばいけど、呪いって
そして、スセルから俺に首輪を外すための手段が説明される
「まず、カリルの首輪を外すためには――」
スセルの説明では、まず爆発を止めることは基本無理だと言われた
あまりにも淡々というもんだから、もうちょい頑張ってくれよと心の中で思ったのは黙っておこう
取るためには首輪の効力を消しつつ、弱まってきたところでスセルが自分のスキルを使い奴隷の首輪を切断するということだ
そして痺れに関しては回復魔法を他者にかけられるのがスセルと聖女だけの為、スセルが回復魔法をかけるらしい
最後の問題として呪いだが、これは聖女の聖魔法で呪いを相殺しつつ、聖女の祝福で自分と俺のステータスなんかをカバーする為に二段構えでいくとのことだ
正直これが一番厄介だが、俺はスセルは勿論の事、ここにいる全員の事を俺は信じている…………だから
「だから、頼んだよ。スセル、マリンさん。そして、見張りや守りなどの事はお願いします、ナインさん近衛騎士の方々」
そう言って、俺は深々と頭を下げる
もう俺自身の覚悟も決まっている
道具のまま、帝国の良いように生きて死ぬのだけはごめんだ
俺は自由になる
そんな、気迫のこもった言葉を聞いた後に騎士の一人一人が俺のところに来て
近衛騎士の人達一人一人と一言ずつ挨拶を交わし、そして聖女マリンと少し話をした後
ナインとスセルともう一人、近衛騎士の中で年長者のエルトールだ
三人は同時に円を囲むように話し終わった後に俺のほうに向かってきた
険しい顔をしている三人の顔を見た俺は、疑問に思い声をかけようか近づく
すると、みんな俺が近づいてくるのにすぐに気づき顔を見合わせ頷いている
正直、何があったのかは分からないが漠然とした悪寒自体はあった
そもそも、三人とも顔怖すぎなんだよ…………
はぁ、でもそれほどのトラブルがあったのだろうか
例えば追手が既に来ているとか、足がついてしまったとか、作戦がばれててもう囲まれているとか
どちらにしても、只事では無いのだろう
三人と相対した瞬間、スセルが真剣な表情で一歩前に出て、俺の顔を見た後に下を向き深く息を吸い込み、暫く息を止め一気に息を吐きだす
そして、俺に顔を向けなおし口を開く
「カリル、今からあなたの首についている奴隷の首輪をとりたいと思います」
「え? これって取ることできるの?」
「…………はい、出来ます。ですが、失敗すればカリル、あなたの命を落とすかもしれません…………」
「そうかぁ、じゃぁ、とっとと初めてよ」
俺の言葉を聞いた、三人は固まっていた
三人だけではない、マリンも近衛騎士も全員が目を丸くして固まる
俺自身何をそんなに固まることがあるのかと一瞬呆れそうにもなったが、この人達は俺を助けるために命を懸けているのだ
俺がそんな簡単に良いよというのが嫌だったのかなぁ
俺が少し不思議そうに首をかしげると、沈黙を破ったのはスセルだった
「カリル、何故そんな簡単に承諾で来るのか聞いても?」
「え? だって、この首輪がある限り俺に自由はないんだ。じゃぁ、聞きたいけど生きてるってことはなんだと思う?」
「それは……………………」
誰もが俺の問いに答えられずにいた
沈黙が再び俺達を包み込む、辺りからは野鳥の声や川の流れる音が森が風に揺られる音だけが響き渡る
聖女でさえも、少し難しいようだ
正直こんなに気まずい空気になるとは思っていなかった
そんな、みんな一斉に黙らなくても…………
スセルはお手上げだと言うように頭に手を置き、低い唸り声をあげながらものすごく考えていた
そして、近衛騎士年長者のエルトールがお手上げだと言わんばかりに両手を上げ俺に答えを聞こうとする
「すみません、殿下。答えを教えていただいても?」
「いや、俺も知らん!」
俺は腕を組み自信満々にそう言い放つと、再度の沈黙が訪れる
只今度は、驚いた表情をしながら困惑している様子だ
いや、こいつら面白すぎるだろう
コントでもやっているのかと言いたくなるぐらい、リアクションが最高だな
まぁ、分からないものは分からないしなぁ
でも……………………
「俺自身帝国の道具として死ぬ事は、生きていると言えるのか? だけど、生きると言うことに対して確かな答えは知らないけど…………俺が思う事は、心臓が動いているから、息をしているから生きているという事じゃない」
周りにいる近衛騎士や聖女、目の前にいるナイン、エルトールは呆然と立ち尽くしている中、スセルだけは俺の瞳を強い眼差しで見ていた
スセルは、少し考え頭をかきながら溜息交じりに俺の頭に手を伸ばす
そして、慈愛のこもった目で数秒見つめた後に、決意したようにもう一度息を吸う
スセルの覚悟は決まったようだ
「カリル、あなたは本当にすごい子だ。分かりました、その首輪を外しましょう」
「うん、スセルになら任せられる」
スセルはきょとんとしたような顔を見せた後に嬉しそうに、再び俺の頭を撫で始める
そして、この忌々しい奴隷の首輪を外すための準備を進め始めた
俺の付けている奴隷の首輪の特性として、勝手に外そうとすれば全身が麻痺し身動きが取れなくなるようになっているのと
外部の者が無理やり外そうとすれば首輪は爆発し自身と外そうとした者の命も奪うように設計されている
只スセルの情報によると、この首輪は普通の奴隷が付けている首輪とは違い、俺のにはもう一つ仕掛けが施されていると言う
それが、この首輪を付けている奴隷が外そうとする、若しくは誰かが外そうとした瞬間に、首輪を装着している奴隷は死ぬ呪いがかけられている
てか、改めて思うが普通七歳の子供にこんな事するか?
爆発もやばいけど、呪いって
そして、スセルから俺に首輪を外すための手段が説明される
「まず、カリルの首輪を外すためには――」
スセルの説明では、まず爆発を止めることは基本無理だと言われた
あまりにも淡々というもんだから、もうちょい頑張ってくれよと心の中で思ったのは黙っておこう
取るためには首輪の効力を消しつつ、弱まってきたところでスセルが自分のスキルを使い奴隷の首輪を切断するということだ
そして痺れに関しては回復魔法を他者にかけられるのがスセルと聖女だけの為、スセルが回復魔法をかけるらしい
最後の問題として呪いだが、これは聖女の聖魔法で呪いを相殺しつつ、聖女の祝福で自分と俺のステータスなんかをカバーする為に二段構えでいくとのことだ
正直これが一番厄介だが、俺はスセルは勿論の事、ここにいる全員の事を俺は信じている…………だから
「だから、頼んだよ。スセル、マリンさん。そして、見張りや守りなどの事はお願いします、ナインさん近衛騎士の方々」
そう言って、俺は深々と頭を下げる
もう俺自身の覚悟も決まっている
道具のまま、帝国の良いように生きて死ぬのだけはごめんだ
俺は自由になる
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