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第四章
マジカル☆リンちゃん:『マジカル☆リンちゃん、大ピンチ!?』
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【マジカル☆リンちゃん】
リンちゃんは、お母さんにおつかいをたのまれて、商店がいまで、やって来ていました。
「はあ……」
いつも明るいリンちゃんですが、その日はためいきをついています。
こんどの休みに、お父さんがいっしょにあそんでくれるとやくそくしていたのに、お父さんはおしごとが入ってしまって、あそべなくなったと言うのです。
ざんねんです。
でも、お父さんはおしごとがいそがしい人なので、仕方がないのです。わがままは言えません。
うつむきながら歩いていたリンちゃんでしたが、ふと、商店がいが、さわがしいことに気がつきます。
いっつもにぎやかな商店がいですが、今日はいつもとちがって、ふおんな空気です。
あるところに、人だかりができていました。
そこはたしか、宝石店です。
リンちゃんは入ったことがないけど、いつもお店の前をとおるとき、中にならべられている宝石を見て、とってもきれいだなあ、と思っていました。
宝石店の前で、みんながあつまって、ざわざわとさわいでいます。ヤジウマ、というやつです。けいさつの人が何人も立って、人だかりをせきとめています。
みんなが話しているのを聞くと、なんと、宝石ゴートーがあらわれたらしいのです。
しかも、ひとじちをとってお店の中に立てこもっているといいます。これはもう、ほうっておけません!
リンちゃんは、ろじうらにかくれて、変身をしました。
「やったぞ、マジカル☆リンちゃんが来てくれた!」
あつまっていた人たち、そしてけいさつの人たちも、リンちゃんが来たのを見て安心しました。
リンちゃんは今まで、魔法少女に変身していくつも事件をかいけつしていて、すっかり町を守るヒロインとしてみんなに知られていたのです。
「こらー、ゴートーさんっ! ひとじちをかいほうして、すぐに出てきなさーいっ」
リンちゃんはお店の中のゴートーに向かって大きな声で言います。すると、なんとすぐにゴートーはお店の中からノコノコと出てきたのです。しかも、一人です。
「お前がマジカル☆リンちゃんか……。待ってたぜ」
「えっ?」
「騒ぎを起こしてやれば出てくると思ってなァ。私はお前を倒しに来たんだよ」
ブキミに笑いながら、ゴートーが言います。
お店の中からひとじちがにげ出してきます。ひとまず、それはよかった。
でも、ということは本当に、このゴートーはリンちゃんをおびき出すのが目的だったということです。
「ど、どういうこと? あなたはだれ?」
「私はダイヤモンド伯爵。店の宝石はすべていただいたぜ」
そう言ってダイヤモンド伯爵という男は大きなふくろを出して見せました。
そして、「そこで見ていやがれ」と言うと、なんとふくろに入った大りょうの宝石を口に入れて、一気にのみこんでしまったのです!
「あーっ、宝石が!」
リンちゃんはあわてました。きれいな宝石が、わるものの胃の中に!
大りょうの宝石をのみこんた男は、なんだかぶるぶるとふるえ出しました。
そして、メキメキと音を立てて少しずつ体がふくらんでいきます。
ふつうの大人の身長だったのに、少しずつ体が大きくなっていって、ついには二メートルほどの大男になってしまいました。
「もったいないなあ、宝石を食べちゃうなんてぇ~! 怒ったゾ、これでもくらいなさい、『ぐんぐにる』ーっ!」
リンちゃんはステッキをふりかぶって、光の矢をはなちます。
すごいはやさの矢は、伯爵にはかわしようがありません。ちょくげきしました!
……しかし、伯爵にあたった『グングニル』は、彼のむねをつらぬくことなく、パアンとはじけて、消えてしまったのです。
「う、うそ。なんで……?」
相手のしんぞうを、かならずつらぬく魔法の矢です。
きかないはずがありません。しかし伯爵はピンピンとしています。その体をよく見ると、なんと、キラキラと光っているではありませんか。
「ふはははっ、どうだ魔法少女め。貴様の魔法では私の体を貫くことなどできないのだっ」
なんと、伯爵の体はダイヤモンドになっていたのです。そのかたさでは、リンちゃんの魔法の矢はききません。
「そんなあ……」
「怪物をことごとく倒しやがる生意気な魔法少女がいると聞いて、私はそいつを始末してやるべく地上にやって来たのだ。……だが、この程度か、ふはははは」
体が大きくなって、笑い声ももっとブキミになりました。
「ふん。くらえ! ダイヤモンドパンチ」
キラキラと光るこぶしを、リンちゃんにめがけてはなつ、ダイヤモンド伯爵。
「……ば、『ばりあー』!」
リンちゃんは、あわてて魔法のバリヤをはります。
しかし、伯爵のパンチで、バリヤごとふきとばされてしまうリンちゃん。
「きゃあっ」
「ふははは、『マジカル☆リンちゃん』も、これでおしまいだ」
地面にたおれたリンちゃんに向かって、ゆっくり、ゆっくりとちかづいてくるダイヤモンド伯爵。
伯爵が、空に向かって両手をかかげます。
すると、空に、大きな大きなダイヤモンドのかたまりができあがっていきます。
「そんな……」
「つぶれてしまえ!」
ぶん、と両手をふりおろす、伯爵。
大きなダイヤモンドのかたまりが、リンちゃんに向かっておちてきます。リンちゃんは、――――――――――――――………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
【マジカル☆リンちゃん】
リンちゃんは、お母さんにおつかいをたのまれて、商店がいまで、やって来ていました。
「はあ……」
いつも明るいリンちゃんですが、その日はためいきをついています。
こんどの休みに、お父さんがいっしょにあそんでくれるとやくそくしていたのに、お父さんはおしごとが入ってしまって、あそべなくなったと言うのです。
ざんねんです。
でも、お父さんはおしごとがいそがしい人なので、仕方がないのです。わがままは言えません。
うつむきながら歩いていたリンちゃんでしたが、ふと、商店がいが、さわがしいことに気がつきます。
いっつもにぎやかな商店がいですが、今日はいつもとちがって、ふおんな空気です。
あるところに、人だかりができていました。
そこはたしか、宝石店です。
リンちゃんは入ったことがないけど、いつもお店の前をとおるとき、中にならべられている宝石を見て、とってもきれいだなあ、と思っていました。
宝石店の前で、みんながあつまって、ざわざわとさわいでいます。ヤジウマ、というやつです。けいさつの人が何人も立って、人だかりをせきとめています。
みんなが話しているのを聞くと、なんと、宝石ゴートーがあらわれたらしいのです。
しかも、ひとじちをとってお店の中に立てこもっているといいます。これはもう、ほうっておけません!
リンちゃんは、ろじうらにかくれて、変身をしました。
「やったぞ、マジカル☆リンちゃんが来てくれた!」
あつまっていた人たち、そしてけいさつの人たちも、リンちゃんが来たのを見て安心しました。
リンちゃんは今まで、魔法少女に変身していくつも事件をかいけつしていて、すっかり町を守るヒロインとしてみんなに知られていたのです。
「こらー、ゴートーさんっ! ひとじちをかいほうして、すぐに出てきなさーいっ」
リンちゃんはお店の中のゴートーに向かって大きな声で言います。すると、なんとすぐにゴートーはお店の中からノコノコと出てきたのです。しかも、一人です。
「お前がマジカル☆リンちゃんか……。待ってたぜ」
「えっ?」
「騒ぎを起こしてやれば出てくると思ってなァ。私はお前を倒しに来たんだよ」
ブキミに笑いながら、ゴートーが言います。
お店の中からひとじちがにげ出してきます。ひとまず、それはよかった。
でも、ということは本当に、このゴートーはリンちゃんをおびき出すのが目的だったということです。
「ど、どういうこと? あなたはだれ?」
「私はダイヤモンド伯爵。店の宝石はすべていただいたぜ」
そう言ってダイヤモンド伯爵という男は大きなふくろを出して見せました。
そして、「そこで見ていやがれ」と言うと、なんとふくろに入った大りょうの宝石を口に入れて、一気にのみこんでしまったのです!
「あーっ、宝石が!」
リンちゃんはあわてました。きれいな宝石が、わるものの胃の中に!
大りょうの宝石をのみこんた男は、なんだかぶるぶるとふるえ出しました。
そして、メキメキと音を立てて少しずつ体がふくらんでいきます。
ふつうの大人の身長だったのに、少しずつ体が大きくなっていって、ついには二メートルほどの大男になってしまいました。
「もったいないなあ、宝石を食べちゃうなんてぇ~! 怒ったゾ、これでもくらいなさい、『ぐんぐにる』ーっ!」
リンちゃんはステッキをふりかぶって、光の矢をはなちます。
すごいはやさの矢は、伯爵にはかわしようがありません。ちょくげきしました!
……しかし、伯爵にあたった『グングニル』は、彼のむねをつらぬくことなく、パアンとはじけて、消えてしまったのです。
「う、うそ。なんで……?」
相手のしんぞうを、かならずつらぬく魔法の矢です。
きかないはずがありません。しかし伯爵はピンピンとしています。その体をよく見ると、なんと、キラキラと光っているではありませんか。
「ふはははっ、どうだ魔法少女め。貴様の魔法では私の体を貫くことなどできないのだっ」
なんと、伯爵の体はダイヤモンドになっていたのです。そのかたさでは、リンちゃんの魔法の矢はききません。
「そんなあ……」
「怪物をことごとく倒しやがる生意気な魔法少女がいると聞いて、私はそいつを始末してやるべく地上にやって来たのだ。……だが、この程度か、ふはははは」
体が大きくなって、笑い声ももっとブキミになりました。
「ふん。くらえ! ダイヤモンドパンチ」
キラキラと光るこぶしを、リンちゃんにめがけてはなつ、ダイヤモンド伯爵。
「……ば、『ばりあー』!」
リンちゃんは、あわてて魔法のバリヤをはります。
しかし、伯爵のパンチで、バリヤごとふきとばされてしまうリンちゃん。
「きゃあっ」
「ふははは、『マジカル☆リンちゃん』も、これでおしまいだ」
地面にたおれたリンちゃんに向かって、ゆっくり、ゆっくりとちかづいてくるダイヤモンド伯爵。
伯爵が、空に向かって両手をかかげます。
すると、空に、大きな大きなダイヤモンドのかたまりができあがっていきます。
「そんな……」
「つぶれてしまえ!」
ぶん、と両手をふりおろす、伯爵。
大きなダイヤモンドのかたまりが、リンちゃんに向かっておちてきます。リンちゃんは、――――――――――――――………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
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