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第四章
5月2日(木):みんなで、できること
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【京一】
その日は図書委員の当番だった。
放課後、宮本と共に図書室へ向かった。もう委員の当番も何度かこなしているからだろうか、図書室のカウンターで宮本と二人きりという状況にも大分慣れて、緊張もしなくなっていた。
「今日、小智くんと一緒に凛ちゃんも遅刻してたよね。……凛ちゃんになにかあったの?」
僕にだけ聞こえる小さな声で、彼女は聞いてきた。
「さあ。詳しいことはわからない」
「そっか……。凛ちゃんって、あんまり他人にそういうの、言わないもんね。――ホラ、この前、授業でカエルの解剖したときだって、自分がカエルにトラウマがあるってこと言わずに無理に頑張ろうとして。それで倒れちゃったんだもんね。……やっぱり心配だよ」
宮本はそう言って、切なげな顔をする。
あまり彼女には見られない表情だ。
……そんな顔を見せられて、僕が何も思わないわけもなく。
「大丈夫だよ。……凛がなにか悩んでるんなら、僕がなんとか力になってみるよ」
宮本の不安を拭うべくそうは言ってみたが、しかし非常に曖昧な言い方である。なんの説得力もない。
凛と宮本は、僕から見る限り、お互いにとってクラスで最も仲の良い相手であろう。よく一緒にいるし、昼休みにはいつも二人で弁当を食べている。
誰にでも気さくに話しかけて柔らかな笑顔を振りまく宮本、
自分から他人に話しかけることはあまりせずほとんど笑顔を見せることもない凛、
――対照的な二人にも思えるが、その実、気はばっちりと合うようだ。凛は冷たい態度に感じられるが、それでも学級委員長としてクラスメイトからは厚く信頼されているし、宮本は広く慕われている。
通ずるのは、そういう部分だろうか。
二人は多くの時間、共にいる。例えば凛が宮本に悩みの相談をしたいと思えば、そのタイミングはいくらでもあったはずなのだ。
――今、宮本がこうして僕に聞いて来ている以上、凛は仲の良い宮本に対しても悩みの相談などはしなかったということ。
凛は宮本に対して間違いなく心を許してはいるだろうが、いかんせん凛の心は強固なのである。
それを、僕が何とかしてみせると言うなんて、驕りも甚だしいとは思うが。
「うん。凛ちゃんのこと、たのむね。……ふふ、さすが小智くんだなあ」
そう言って、柔らかに笑う宮本。
よく見る顔である。
/
図書委員の仕事を終えて、宮本と並んで昇降口に向かって廊下を歩いていたところ、晃とイブとクララの三人とばったり遭遇してしまった。
僕は委員のために不参加だったわけだが、手芸部は今日も活動していたようだ。ただし、手芸部の活動はただの談笑だが。
「おやおやぁ? おい京一、なんで宮本と二人でいるんだよ」
新聞部の眼鏡女よろしく、晃がにやにやした顔でこちらを見て言う。
なんでも何も、同じ図書委員だからだってことは彼には分かっている筈なのに、まったくわざとらしい。
ただ、晃に言われてはじめて、いま宮本と二人きりで廊下を歩いていたのだと意識した。
以前までなら意識しまくりで緊張しまくりだったはずだが。
……やはり、宮本と二人という状況にもすっかり慣れてしまっているのだ。幸福も慣れれば普遍的なものとなってしまう。
「あ、この人が宮本さん?」
イブとクララが近寄って来た。二人は、手芸部の部員を探す過程で宮本の名前は聞いていたが、実際に会ったことはなかったのだ。
「宮本、紹介するよ。この二人が手芸部の一年で、クララとイブ――、」
言いかけたところでふとイブを見ると、こちらをじとりと睨んでいるのに気づく。僕は、はっとして言い直す。
「……ごめん、えっと、大倉と指宿」
イブは、人前ではあだ名で呼ぶなと、よく晃にキレている。そのあだ名が広まってしまうことに抵抗があるようだ。
宮本は、「よろしくね」と言ってにこやかに会釈した。
「それよりさ、京一。今日、凛と一緒に遅刻してきたってホント?」
イブがぐい、と顔を近づけてきて言った。
「あ、うん……」
「なに、なんなのそれ。あの凛が遅刻するなんて。大丈夫なの? 体調悪いの? なにかあったんじゃないの? しかも京一と一緒に遅刻ってどういうこと?」
ものすごい剣幕でまくしたててくるイブ。
「いや、僕は遅刻常習犯だし、今日は凛とたまたま同じ時間になっちゃっただけだよ」
「凛ちゃんになにかあったんだったら心配だよ。凛ちゃんって、あんまり弱気なところは見せない人だから……」
クララが俯いて言う。
「そうだよなあ。俺も、凛が遅刻してくるのなんて初めて見たぜ。明日は雨か雪かな。いやもう槍とか豚とか、飛行石を持った女の子とか振って来るかもな」
晃の冗談はみな総スルーで、イブとクララ、宮本も心配そうに顔を翳らせている。
「でも明日から連休だし。凛とは会えないもんね……。ねえ、京一は凛の幼馴染だし家隣同士だし、なんだかんだ言って凛と仲良いんだからさ、凛のことよろしく頼むよ! もし私らに手伝えることあったら言ってよね!」
イブがまっすぐな瞳を向けて、力強くそう言った。
クララも同意だと言わんばかりに頷いている。
「……うん。なにか手伝ってほしい時は、ちゃんと声かけるよ」
――自分で言って、その言葉が妙に引っかかった。
そうである。
そもそも、凛のことを何とかしたいなどと思っても、そんなこと僕一人の手に余って当然。そんなことを考える自体、驕りも甚だしい。
小さい頃、いつも五人で一緒だった。
今なお、友情は強固。当たり前のことである。
…………。
頭の中で、ふと、符合する。
手伝えることがあったら言って、と、今イブは言ったのだ。
確かに、彼女らの手を借りるべきだろう。
凛が何に悩んでいるのか、そんなことは知らない、――でも手を貸してやりたい。僕はそう思うし、その気持ちはイブたちも同じ。
だがまあ、『それ』に際して僕がイブたちに何かを、直接、言う、頼む、――ということはないだろう。
それからすぐに宮本と別れ、イブとクララ、晃と共に駅へと向かう。
電車に乗り、最寄り駅へ。
駅からは別々だ。晃は自転車、イブとクララはバス。僕は、徒歩にて帰路をとる。
自宅に入る直前、ちらと横目で、隣家を見る。
そういえば、委員を終えたあとはいつも凛と会うが、今日はいなかった。
ということは放課後、早めに帰ったのだ。
朝同様、彼女らしくない。
凛はすでに帰宅しているのだろうか。
もしかすれば、……元気がないまま、家事をこなしているのかもしれない。
やはり心配にはなるが、わざわざ声をかけに行くなんてことはしない。
僕が彼女に、直接、声をかけたところで何が変わるわけでもないし、無理に話を聞くべきではない。
そうではない手段で、出来ることをするべきなのだろう。
僕は静かに、自宅へと入って行った。
その日は図書委員の当番だった。
放課後、宮本と共に図書室へ向かった。もう委員の当番も何度かこなしているからだろうか、図書室のカウンターで宮本と二人きりという状況にも大分慣れて、緊張もしなくなっていた。
「今日、小智くんと一緒に凛ちゃんも遅刻してたよね。……凛ちゃんになにかあったの?」
僕にだけ聞こえる小さな声で、彼女は聞いてきた。
「さあ。詳しいことはわからない」
「そっか……。凛ちゃんって、あんまり他人にそういうの、言わないもんね。――ホラ、この前、授業でカエルの解剖したときだって、自分がカエルにトラウマがあるってこと言わずに無理に頑張ろうとして。それで倒れちゃったんだもんね。……やっぱり心配だよ」
宮本はそう言って、切なげな顔をする。
あまり彼女には見られない表情だ。
……そんな顔を見せられて、僕が何も思わないわけもなく。
「大丈夫だよ。……凛がなにか悩んでるんなら、僕がなんとか力になってみるよ」
宮本の不安を拭うべくそうは言ってみたが、しかし非常に曖昧な言い方である。なんの説得力もない。
凛と宮本は、僕から見る限り、お互いにとってクラスで最も仲の良い相手であろう。よく一緒にいるし、昼休みにはいつも二人で弁当を食べている。
誰にでも気さくに話しかけて柔らかな笑顔を振りまく宮本、
自分から他人に話しかけることはあまりせずほとんど笑顔を見せることもない凛、
――対照的な二人にも思えるが、その実、気はばっちりと合うようだ。凛は冷たい態度に感じられるが、それでも学級委員長としてクラスメイトからは厚く信頼されているし、宮本は広く慕われている。
通ずるのは、そういう部分だろうか。
二人は多くの時間、共にいる。例えば凛が宮本に悩みの相談をしたいと思えば、そのタイミングはいくらでもあったはずなのだ。
――今、宮本がこうして僕に聞いて来ている以上、凛は仲の良い宮本に対しても悩みの相談などはしなかったということ。
凛は宮本に対して間違いなく心を許してはいるだろうが、いかんせん凛の心は強固なのである。
それを、僕が何とかしてみせると言うなんて、驕りも甚だしいとは思うが。
「うん。凛ちゃんのこと、たのむね。……ふふ、さすが小智くんだなあ」
そう言って、柔らかに笑う宮本。
よく見る顔である。
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図書委員の仕事を終えて、宮本と並んで昇降口に向かって廊下を歩いていたところ、晃とイブとクララの三人とばったり遭遇してしまった。
僕は委員のために不参加だったわけだが、手芸部は今日も活動していたようだ。ただし、手芸部の活動はただの談笑だが。
「おやおやぁ? おい京一、なんで宮本と二人でいるんだよ」
新聞部の眼鏡女よろしく、晃がにやにやした顔でこちらを見て言う。
なんでも何も、同じ図書委員だからだってことは彼には分かっている筈なのに、まったくわざとらしい。
ただ、晃に言われてはじめて、いま宮本と二人きりで廊下を歩いていたのだと意識した。
以前までなら意識しまくりで緊張しまくりだったはずだが。
……やはり、宮本と二人という状況にもすっかり慣れてしまっているのだ。幸福も慣れれば普遍的なものとなってしまう。
「あ、この人が宮本さん?」
イブとクララが近寄って来た。二人は、手芸部の部員を探す過程で宮本の名前は聞いていたが、実際に会ったことはなかったのだ。
「宮本、紹介するよ。この二人が手芸部の一年で、クララとイブ――、」
言いかけたところでふとイブを見ると、こちらをじとりと睨んでいるのに気づく。僕は、はっとして言い直す。
「……ごめん、えっと、大倉と指宿」
イブは、人前ではあだ名で呼ぶなと、よく晃にキレている。そのあだ名が広まってしまうことに抵抗があるようだ。
宮本は、「よろしくね」と言ってにこやかに会釈した。
「それよりさ、京一。今日、凛と一緒に遅刻してきたってホント?」
イブがぐい、と顔を近づけてきて言った。
「あ、うん……」
「なに、なんなのそれ。あの凛が遅刻するなんて。大丈夫なの? 体調悪いの? なにかあったんじゃないの? しかも京一と一緒に遅刻ってどういうこと?」
ものすごい剣幕でまくしたててくるイブ。
「いや、僕は遅刻常習犯だし、今日は凛とたまたま同じ時間になっちゃっただけだよ」
「凛ちゃんになにかあったんだったら心配だよ。凛ちゃんって、あんまり弱気なところは見せない人だから……」
クララが俯いて言う。
「そうだよなあ。俺も、凛が遅刻してくるのなんて初めて見たぜ。明日は雨か雪かな。いやもう槍とか豚とか、飛行石を持った女の子とか振って来るかもな」
晃の冗談はみな総スルーで、イブとクララ、宮本も心配そうに顔を翳らせている。
「でも明日から連休だし。凛とは会えないもんね……。ねえ、京一は凛の幼馴染だし家隣同士だし、なんだかんだ言って凛と仲良いんだからさ、凛のことよろしく頼むよ! もし私らに手伝えることあったら言ってよね!」
イブがまっすぐな瞳を向けて、力強くそう言った。
クララも同意だと言わんばかりに頷いている。
「……うん。なにか手伝ってほしい時は、ちゃんと声かけるよ」
――自分で言って、その言葉が妙に引っかかった。
そうである。
そもそも、凛のことを何とかしたいなどと思っても、そんなこと僕一人の手に余って当然。そんなことを考える自体、驕りも甚だしい。
小さい頃、いつも五人で一緒だった。
今なお、友情は強固。当たり前のことである。
…………。
頭の中で、ふと、符合する。
手伝えることがあったら言って、と、今イブは言ったのだ。
確かに、彼女らの手を借りるべきだろう。
凛が何に悩んでいるのか、そんなことは知らない、――でも手を貸してやりたい。僕はそう思うし、その気持ちはイブたちも同じ。
だがまあ、『それ』に際して僕がイブたちに何かを、直接、言う、頼む、――ということはないだろう。
それからすぐに宮本と別れ、イブとクララ、晃と共に駅へと向かう。
電車に乗り、最寄り駅へ。
駅からは別々だ。晃は自転車、イブとクララはバス。僕は、徒歩にて帰路をとる。
自宅に入る直前、ちらと横目で、隣家を見る。
そういえば、委員を終えたあとはいつも凛と会うが、今日はいなかった。
ということは放課後、早めに帰ったのだ。
朝同様、彼女らしくない。
凛はすでに帰宅しているのだろうか。
もしかすれば、……元気がないまま、家事をこなしているのかもしれない。
やはり心配にはなるが、わざわざ声をかけに行くなんてことはしない。
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そうではない手段で、出来ることをするべきなのだろう。
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