ゆめゆめうつつ【真面目委員長の幼馴染が夢の中で魔法少女に・・?】

喜太郎

文字の大きさ
70 / 72
後日談

5月6日(月):兄バレ

しおりを挟む
 【京一】


『まさか京一と凛ちゃんが付き合うことになるなんてなあ、びっくりだよ。はっはっは』

 電話口の向こうから、楽しそうな笑い声が聞こえた。


「……いつ知ったんだよ」

『昨日、母さんから聞いたんだ。嬉しそうに俺に報告してきたぞ』

 僕と凛との関係は早くも母にばれていた。
 僕から言ったわけではない。

 その鋭い観察眼を以って昨日のうちに何かを察した母は、僕ではなく凛に問い詰めたようである。息子に聞いてもはぐらかされるに違いないと思ったのだろう。なんかもう丸々見透かされている。


 そうして次男が隣の家の幼馴染と恋仲になったことを知った母は、早速その事実を長男にも伝えたのである。
 すなわち今僕が通話している相手、わが兄・和哉である。



『まあ、びっくりはしたけど、でもなんだかんだこうなるような気もしてたよ』

 ひとしきり笑ってから、落ち着いた様子で兄はそう言った。

「え? なんでだよ」

『だって凛ちゃん、可愛いし良い子だし。あと強気だし。京一はまさしく凛ちゃんみたいな子がタイプだろ。ていうかそもそも、凛ちゃんが初恋なんだろ?』

「…………」

 どうやら母の観察眼は兄にしっかりと遺伝されていたらしい。
 というか兄に100%遺伝したのだ。少しは僕にも残しておいてほしかったものだが。


『凛ちゃんだって、なんだかんだ昔から京一のこと好きだったと思うぜ。……あー、あれはいつ頃だったかな。子供の頃、なんか三人で散歩してた時にさ、野犬に遭遇したことあったろ。あのとき、京一が勇気を出して追い払ってくれたじゃん。あのときにはもう、凛ちゃん、京一にときめいてたんじゃねえの』

「は? なに、突然そんな話……」

 確かに、そんな出来事はあった気がする。
 しかし、あの時のことを言うなら、注目するのは僕じゃないだろう。


「そのときって、凛のこと庇ってたのは兄ちゃんの方じゃないか。ときめいてたとしたら、僕じゃなくて兄ちゃんだろ」

『うーん、まあ確かに、俺がこう、がばっと凛ちゃんを庇ったよ。凛ちゃん、めちゃくちゃ怖がってたしな。そんでお前の活躍劇は、凛ちゃんから見れば俺の陰になっちゃってたかもしれないけど。
 でも、むしろそういう陰ながら人を助けるのがお前の良いところじゃん。だから、その京一のカッコ良さは、ちゃんと凛ちゃんにも伝わってたってことさ』


 そんな昔の、しかも些細なことが、今につながっているとは思えないが。


 それから、兄と色々と話しをした。
 主に兄が僕の羞恥心を煽るようなことを言ってくる。僕より先に生まれた兄は、何事であっても僕より優位に立つ。それは死ぬまで覆らないものなのである。



「そういえば京一。お前、志望大学はもう決めてんのか?」

 ふと思い出したように、兄が切り出してきた。

「え? ……い、いや。まだだけど」

「なんだ、そうなのか。ウチの大学受ける気、ないのか? だって凛ちゃんはもうウチに決めてるんだろ。じゃあ京一も一緒に受けようって決めたもんだと思ったんだが……」

 もはやエスパーか。

「なんだ図星か、どうなんだ京一よ。ん?」

 そう言って、兄はまたはっはっは、と笑う。


「まあオススメだよ。大学って、やる気さえあればとにかく色々な知識が入って来るんだ。学べることの幅はすこぶる広いぞ。国立ともなれば、なおさらな。ウチの大学は楽しいぞ」

「ふうん……」


 兄はいつも飄々とした雰囲気だが、その実、勉学に関してはかなり真面目な人間なのである。
 こうして学ぶことが楽しいと説くあたり、幼い頃から成績優秀な子供であった所以だろう。


『この間なんかよ、ウチのゼミの教授から面白い話を聞いたんだ』

「面白い話?」

『おう。あのな。なんでもその教授、昔から夢について研究をしているらしくてな』

「え……?」


 そうして、電話口の向こう、兄の和哉は自身の所属するゼミの教授から聞いたという話を楽しそうに僕に語るのだ――……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

処理中です...