学年一の美少女に嘘告されたので付き合うことにしました。〜いつのまにか、本気で惚れさせていた件〜

塩コンブ

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第一話

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 僕の名前は基山きやま秀矢しゅうや

 顔は大して悪くはない、むしろ良い……と思っている。贔屓ではなく、客観的に。数少ない友人もそう言ってた。とはいえ、別に目を引くほどのイケメンでもない。
 まぁ、前髪は目に届くほど伸びているし、コンタクトは持っているけど、激しく動くとき以外はめんどくさいので眼鏡なので、顔はよく見えないから関係ないかも。

 ……端的に言っていわゆる陰キャだ。認めたくないけど、仕方ない。
 とはいえ友達はちゃんといる。……少ないけど。まぁ別にそこまで友達がたくさん欲しいわけでもないし、わいわい騒いだって疲れるだけだ、なんて。
 ……なんか負け惜しみみたいでいやだな。
 結局、こういうめんどくさがりというか、マイペースなところがダメなんだろうなとは自覚している。

 ただ一つだけ、一度でいいから彼女というものが欲しいと思っている。別にむっつりすけべではない。しっからすけべだ。そもそも普段そういう話題を喋らないだけで、基本的にはオープンなのだ。ノーむっつり、イェスオープン。まぁ、その分理性も強いと思ってはいるけど……


 ◇◇◇◇◇

 朝。始業の約十分前。
 これが僕の登校する時間だ。遅すぎず早すぎず、ちょうどいい時間帯。
 僕はあくびをしながら、みんなが友達と談笑する間を華麗にすり抜け席に座る。
 そうしていると、一分もしないうちに……ほら、来た。

「うっす秀矢」
「うん、おはよう晃……」
「相変わらず眠そうだな」

 今話しかけてきたこいつは春山はるやまあきらいわゆる陽キャ。
 根っからの陽キャで、特別仲がいいわけではなく、誰にでも分け隔てなく話しかけてくるやつなのだ。苗字で呼ぶと、『距離がある』と嫌がるので、名前で読んでいる。
 はいはい。お察しの通り物凄いイケメンだ。

「まぁね、昨日YouTube見てたら遅くなっちゃった。授業中にでも寝て、回復するよ」
「うわぁ、それで頭いいんだからいいよなー」
「ただの才能だよ。定期テストぐらいなら直前に詰め込めば割となんとかなる」

 自慢だが、頭はいい自覚はある。そのため進学校であるこの高校にはなんなく受かったし、授業を聞いてなくても、定期テストの数日前から勉強すれば三十番以内には入ることが出来る。その分、抜き打ちの小テストは人に見せられないほど酷いけど。

「その才能を褒めてんだよ」
「そ、ありがと」

 などと会話していると、教室がざわざわしてきた。

「おー、相変わらず人気が凄いなー。登校しただけでクラス中が騒ぐんだもん」
「自分もでしょ。顔見て言いなよ」
「ひっでぇな、俺がブサイクだって?」
「逆。イケメンって言ってんの。分かってるでしょ?自分だって登校したら、女子達の歓声が上がるだから」
「へへへ、まーな」
「とはいえ、ほんとすごい人気だな」
「だよなぁ」

 今登校してきたのはたちばな暦月こよみ
 このクラス、いや学年一番の美少女だ。大勢の男子達に告白されてるのに全て振っていることから、既に彼氏がいるのでは? と言われている。
 この学年で彼女と最も釣り合う男子と言えば、この晃くらいだが、晃は他校にいるらしいし、目撃証言もあるのでこいつではないらしい。

「なーんで、振りまくってんだろうな?」

 晃が、何か期待するような、そんな目で僕を見ながら言った。

「さぁ? いいやつがいないんじゃない?」

 あんまり興味ないのでワイヤレスイヤホンを取り出し、音楽を聞きながら適当に答える。

「お前、ほんと興味なさそうだよな。彼女欲しいとか思わないの?」
「え? 普通に欲しいけど」
「えっ? マジで!?」

 晃が勢いよく立ち上がりながら、ほとんど絶叫に近い声でそう言った。
 おかげで注目を浴びてしまう。橘の周りに集まってお話してたやつらも、会話を止めてこっちを見る。
 思わずため息をこぼす。目立つのが嫌いなわけじゃない。苦手でもない。ただ、あまりにも不自然な目立ち方。あれやこれや詮索されるのは嫌だった。
 半分本気、半分冗談で晃を見ると、頭に手を当てて笑いながら「わりぃわりぃ」と謝った。イケメンの爽やかスマイル。許さない手はない。

「みんなも、悪かったな!」

 なんて、晃が一度謝れば、すぐにまた元の空気に戻る。相変わらずすごい人望だ。
 と、座りながら、晃は一点を見つめて笑っていた。そのままサムズアップしそうな、達成感のある表情。
 その先は、橘だった。
 流石に意味がわからなかったのか、こてん、と可愛らしく首を曲げていた。おぉ……、思わず一瞬見惚れてしまった。
 けど、それが良くなかった。橘が晃からわずかに視線を外したことで、僕と目が合ってしまった。こういうのってすごく気まずい。
 どうしたもんか、なんて考えていると、橘は一瞬目を見開いた後、すぐに顔を大げさにそらした。全く失敬な。
 顔に何かついていた? ぺたぺた触って確認するけど、特におかしいところは……

「おーい。何やってんの?」
「あぁ、いや、別に」
「それよりさ、彼女ほしいって本当か? なぁ?」
「はいはいほんとほんと」
「じゃあじゃあ」

 晃は身を乗り出して、僕の耳元で囁いた。

「暦月なんてどうだ?」
「バカか」

 思わずつっこんでしまった。

「それって告白してみろってことだろ? 無理に決まってるだろ」
「いやいや、もしかしたらワンチャンあるかもしれないだろ?」
「ないよ。今まで振りまくってきたんだから期待する方がおかしいだろ」
「でも、好きな人いるわけじゃないんだろ? お前。だったらほら、できるだけ可愛い方がいいじゃん。な?」
「別にそういうので彼女欲しいわけじゃないし」
「? ……どういうこと?」
「恋をすると変わるとか、彼女ができると世界が違って見えるとかいうじゃん? それを味わってみたいっていうか、ほんとにそうなのか知りたいだけ」
「……変わってんなー、お前」

 晃は露骨に残念そうだ。机にうなだれて、ため息をついている。

「別に。ほら、あれだよ。ようは恋をしてみたいみたいな、乙女とかのあれと一緒だよ。それにえろいことにはちゃんと興味あるし、わりと普通だと思うけど?」
「でもさ、誰でもいいなら告ってみりゃいいじゃん。ワンチャンあるぜ? 振られてもそういうの気にするタイプじゃないだろ? それに、前例は山のようにあるしな」
「まぁね。他ならまだしも橘なら今さら振られることは大して苦じゃないよ。でもさ仮にワンチャンあったとしても、失礼だろ。好きでもないのに告白とか。あっちは一応、本気で振ってくれてるのに、慣れてるだろうから試しに、なんて」

 そう。橘の人気は顔だけじゃない。その性格もだ。
 告白されるにしても二桁を越えればだんだんめんどくさくなって、対応が適当になってもおかしくないのに、橘は毎回毎回、誠意を持って対応する、らしい。
 そういうところは、男女関係なく尊敬してる。僕には無理だ。だからせめて、それを利用してもてあそぶみたいなことしはしたくなかった。
 だって、実際にもういるから。記念告白、みたいなやつ。

「おぉー、相変わらず紳士っつーか、性格はいいよなぁ」
「ありがとさん」
「とにかくさ、ちょっとは考えてみてくれよ」
「なんでそこまで……まぁわかったよ」

 そんな気、今だってさらさらないけど、このイケメンに懇願されたら、誰だって折れてしまう。

「そか。ありがとうな。じゃあそろそろ行くわ。また後でな」
「うん」

 そう言って橘のいるグループへ入っていく。このクラスとトップカーストで男子三人、女子四人のグループだ。

 学年の美少女とイケメン
 それから、空手部主将で、割とイケメン硬派系
 真那元まなもと大地だいち
 サッカー部のエースで爽やかな情熱系
 秋田あきたのぼる
 女子は
 野球部マネで、部のアイドルと言われている元気系
 夢川ゆめかわ恵奈えな
 このクラスの委員長で次期生徒会長と呼び声高いおっとり系
 平山ひらやま乃々佳ののか
 クールで才女。バド部のエース。おっぱいでかい系
 桃田ももたしずく

 これがクラス版、神セブン。

 基本的にいつも一緒にいて、昼飯も共にとっている。しかし、晃だけは一人で過ごしている自分を見かねたのか、昼休みご飯に誘ってくる。
 別に無理しなくてもいいんだけど、って前にこれ本人に言ったらわりとまじで怒って、落ち込んでたから、単純に友達として一緒にいてくれてるんだと思う。

 橘達の元に戻った晃が何かを話すと、最初は「おぉー! いいじゃん!」なんて言って盛り上がったのに、だんだん元気がなくなって、最後の一言で七人ともうなだれた。

 さて、晃が去っていったので、あとはもう僕は暇だ。
 ……ホームルーム始まるまで寝とくか。


 僕は知らなかった。今日、あんな恐ろしい話し合いが行われることになるとは……。
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