創作単発BL集

月猫いぬば

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夏瀬家族

お兄ちゃんたちのこと ※第三者目線注意

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登場人物
 
衣愛(いあ

24歳。警備会社に務める人当たりのいい長男。志乃が自分から離れてくれるようにと距離を置いてみているが、最近は効果がない模様。

志乃(しの

20歳。運動神経がよくて、モテモテ人気者の大学生。衣愛に甘々べったりで飲み会をサボることもしばしば。

綾音(あやと

5歳。出生時から体調が思わしくなく、アルビノ気味な容姿の末っ子。体温が通常より少しでも低くなると命が危険になるため、調節が欠かせない。体温が高めの衣愛と志乃は好き。





......................................................


「兄さんっ…!」

「志乃っ…待って部屋にして……」

その日、私は見てしまった。
お兄ちゃん達がキスしてるところ。

背の高い衣愛にぃの首に、志乃にぃが腕を絡ませて唇と唇を重ねていた。
軽く、ちゅっ、ちゅっという音が響いて顔の角度を変えているのが分かった。

分かった、というのも私は、生まれつき色んな病気を持っていた。
病名は分からない。

髪の毛が真っ白で歳をとる毎に年々色が付いていたり、右目が見えにくかったり、体温が下がるとしんどくなったり。

それで昔のしきたりとかで、体の弱い私には、死神に女の子と間違われて連れていかれなくするために男の子ながら綾音、と女の子みたいな名前が付けられた。

服もギリギリ間違われないのを買ったし、一人称も私、にさせられた。パパと同じだから良いけど。

そのお陰もあってか、昔は車椅子生活だったのをなんとか抜け出せたんだ。

ただ、同い年の子より身長も体重もないから女の子に間違われるわ年下に見られるわで散々なところもあるけども。

まあそんなわけで、狭い視界にギリギリ写らなかった2人が、たまたま!!映ってしまっただけだ。

すぐにその場を立ち去ろうとしたけど、勘のいい衣愛にぃは私に気づいてしまった。

「…誰かいるの?」

やっとこさ志乃にぃを引き剥がした衣愛にぃの目がすぐ私を捉えてしまった。
台所はあんまり広くないから、リビングとキッチンを隔てる壁があったんだけどそれは役に立つはずも無く。

「…あ、えっと……何も見てないよ、私」

びっくりして固まっていた志乃にぃが意識を取り戻して、突然照れたのか顔を真っ赤にして身を引いた。

衣愛にぃはいつもみたいにおっとりした様子で私にどう聞かせようか考えているようだった。

まあ、うちではほっぺやおでこに普段からちゅーする習慣はあるんだけども、口と口でのちゅーはパパとママくらいしかやらない。というか出来ないだろうな。

あんまり言い訳できない状況に立たされた訳ですね、衣愛にぃ…。

彼も私を観察してて何か察してくれたのか、誤魔化すことはせずにとりあえず別の方法を取ることにしたみたいだ。

「これ、誰にも言わないで黙っててくれないかな?」

首をかしげて、お願いする衣愛にぃ。

普段ならいいよ、って言えるんだけど、せっかくだからお菓子買って、って言ったらいいよって言ってくれた。やった!

「兄さん!そんなことしなくてもいいじゃん!!綾音はまだ5歳で、母さんも認めてくれてるんだし!!」

「こういう関係になることが、とは母さんも言ってないだろ!…まだ、母さんは目を瞑ってくれてるだけだよ……」

咎めるような口調に志乃にぃが怯えた顔をする。こんな衣愛にぃ、初めてだ。
私も少し怖くなって、持ってきた湯たんぽをきつく抱きしめた。

志乃にぃが何か言いたそうにしていたが、衣愛にぃが怖い顔で志乃にぃの自室の方向を指させば、志乃にぃはすごすごと部屋を出ていくしかなかった。

私が固まっていると、衣愛にぃの口から一番に飛び出したのは謝罪の言葉だった。
怖がらせてごめんね、と、しゃがみこんで真っ直ぐ私の目を見つめて謝る衣愛にぃにビックリして、そんなの全然!と衣愛にぃを許した。

「…そういえば、何で綾音はこの時間に…?」

そこで私は思い出した。寝ていたら湯たんぽが思ったより冷えるのが速かったこと、それで目が覚めてしまったこと、隣の瑠衣ねぇを起こしたくなかったこと。

まだ十時だったから誰かいるはず、とうさぎさんのカバーに入った湯たんぽを持ち出してきた訳だ。

お湯を取り替えてくれるように頼むと、衣愛にぃは快く引き受けてくれた。

「今は大丈夫?苦しくない?」

「うん、毛布も被ってきたし大丈夫!」

体が冷えるのを心配してくれたのか、衣愛にぃが聞いてくれた。
そう言う私はギューッと衣愛にぃに抱きついていた。こうすると、凄くあったかいから。

「…ねぇ衣愛にぃ、聞いていい?」

「うん?何?」

衣愛にぃは目の前の作業から目を離さないで明るく返事をした。

「志乃にぃは、衣愛にぃのことが好きなの?結婚、したいの?」

彼は手を止めて、驚いた目で私を見た。でもすぐに表情を緩め、否定とも取れる言葉を口に出した。

「ううん、その、ね。……確かに志乃は僕のことが好きだよ。でもね、…そうだ、 パパはママのことが好きで結婚しただろ?
綾音は僕らのことが好きで一緒にいるだろ?
本当はその違いだけなんだよ」

私は、少し意味が分からなくて首をかしげて見せた。

「つまり、志乃は僕が好きだけど、あいつは勘違いしてるの。
結婚したいの好きと、そばに居たいの好きを…」

いっとう悲しいような顔をして衣愛にぃは語った。好きだけど、好きじゃない?
違う、好き?

友達の好きと恋人の好きは違うと思っていたけど、兄弟の好きも違ったんだ。

でも、何か引っかかる。好きなら、答えてあげなきゃいけないんじゃなかったっけ?ドラマの告白のシーンでも振られる時の返事もきちんとしていたし。

「衣愛にぃ、は、答えてあげないの?」

「え?」

「志乃にぃの気持ち。返事してあげなきゃ、可哀想だよ」

衣愛にぃは、少し考えたような顔をして私に新しいお湯の湯たんぽをくれたあと、

「分かった。返事、してみるよ」

と微笑んで、私を部屋まで送り届けてくれた。

その後さっと廊下を引き返して、液体が入ったボトルみたいなものと、絆創膏とかが沢山入って売ってそうな箱を持って帰ってきた。

おやすみのキスをねだる時箱のパッケージがちらっと見えたけど、『極薄!0.02mm  先っぽジェル入!』と書いてあったけど、あれ、なんだろう??
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