インフィニット・ファンタジアライフ

桜華 剛爛

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7:寝床と食料?

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 アクアが言うように、ここで暗い顔をしていたら先に進まないし、それに頭が悪い俺が考えても始まらない。なので、難しい事は考えずに、とりあえず前向きに考えよう。

ー☆ー☆ー

 とりあえず今は大分日も傾いて来ているので、寝床と食料を調達しないといけない。しかしこんな所に食うものとかはあるのだろうか?まあ、アクアがいるから聞いてみる事にした。
「なあアクア、お前いつもどこで寝てるんだ?それに食事も・・・」

 すると俺の肩に乗っかって、何故か俺の頭を抱え込むようにしていたアクアが答えてくれた。
「ん・・・? アクアいつも母様のとこで寝てるの。それに食べ物もそこにあるの」
 それからアクアは、俺の頭を動かしうしろを向かせて、うしろにある世界樹の上の方を指差した。

 はい?要するにアクアの寝床は、この樹・・・世界樹の上って事か、でも、これは・・・流石に俺は登れないぞ。あっ、なるほど、さっきアクアがいつの間にか上にいたのは、寝床に戻ってたのか・・・。

「アクア、さっき上にから落ちてきたのは、寝床に戻って行ったのか?」
「ううん、食べ物取りに行ったの。そしたら足滑らしてしまったの。・・・でも、飛べるから心配ないの。えっへんなの」
 まあ、確かにアクアは飛んでたけど・・・なるほど上には食べ物を取りに行ってたのか?でも、どうやって行くんだ?俺は空を飛べないし、それに掴んで登れるような手ごろな、枝もないし・・・。

 そんな事を考えていると、アクアが俺の手を引き声を掛けてきた。
「ヒビキ、行こう母様のとこ!」
「いや、行こうって・・・俺、飛べないから、あそこまで・・・!?」
 アクアに手を引っ張られて、世界樹の樹のそばまで連れて来られたが、俺にこの大樹を登りきる根気も力もないと思う。それだけ高い位置しか枝というか手を掛けられそうなモノが無い。

 それに先程から考えていたとおり、手をかける場所というより、張り付いて登るしかないので無理と思っていると、上の方から何気に蔦が下りてきて、俺に絡まり持ち上げた。そこにアクアが俺の胸に飛び付き、ニコニコと笑顔を向けてきので、仕方なく抱き上げた。

「上に出発なのぉぉ!」

 その声と共に蔦は、俺がアクアを胸にしっかり抱いたのを確認したかのように、優しく俺達の身体に再度巻き付きゆっくりと上へ上昇して、上の方へと運んでくれたのである。

「はあっ、どうなってんの、これ?もしかして自然のエレベーター?」
「ん?・・・母様、ヒビキの事を気に入ったって。今から上の部屋に連れて行ってくれるの」
 アクアが俺に首に抱きついて来て、一旦不思議そうな顔をしたが、それでもニコニコと笑顔で頬ずりをしてきたので、俺は大人しくされるがままにされながら、上へと登っていく間に周り風景を確認していた。

 かなりの時間をかけ、大樹の上の方に連れて来られると、そこには自然に出来たツリーハウスのような感じの建物があり、その中は自然豊かな部屋になっていた。

「何?ここは、ホントに樹の上かよ。どう見ても一軒家の部屋だろう?しかも、なぜか凄く落ち着くし空気も美味しい、それになんだか癒される・・・・」
 その場所は青々と茂った絨毯見たにな芝生が生えた床と、頭上は枝が念入りに絡まり葉が茂った天然の屋根の様になっている。

 しかも入口みたいなところ以外は、枝とは言いがたい太い樹が、この部分を護るように周囲を覆い茂っていた。

 それにその周りは、さらに木々で囲まれているうえに、外はここに来るまでに日が落ち、若干暗くなっているのに室内には、何故か優しい光で照らされていたのである。

 それに不思議と室内から伸びているに木の枝には、リンゴみたいな果実と木の実が複数なっていた。

 俺が抱き上げていたアクアは、ここに来てすぐにそのリンゴみたいな果実を2つを見つけ、俺から下りてその果実に近付いて手に取り、それを持って俺に1つ手渡してくれた。

「ヒビキ、はいなの。アプルなの食べるの。とっても美味しいの」
「おっ、ありがとう。アクア・・・へぇー、リンゴみたいだけどアプルって名前なのか」
 アクアからそのリンゴみたいな果実、アプルを受け取りその場に座って食べようとしたら、アクアが座った俺に近付き、何のためらいもなく膝の上に座ってきた。

「ヒビキと一緒に食べるの。1人で食べるより美味しいの♪」
 膝の上に座り俺の顔を見上げ、満面の笑みを見せてきた。 まあ、アクアが喜んでるなら良いか・・・。

 それに別にやましい事をする訳ではないので、そのままの状態でアクアのくれたリンゴ、もといアプルの実をかじった。

『ん?これって・・・まんまリンゴじゃないか?でも凄く美味いし甘い』
 そう声には出さず思いながら、アプルの実をかじりながら、俺の膝の上で笑顔のまま鼻歌を歌っているアクアを見て、その後で所々にある低い窓みたいな所から外の様子を覗いて見た。

 最初は蔦に、この場所まで運んで貰いながら回りの景色を驚きながら見ていたが、位置的にはかなりと言うより相当高かった。それにアクアが足を滑らせた位置よりまだ倍以上の高い位置に連れて来られたのである。

 それでもまだ上空には、この世界樹は伸びている。それでも今居る場所からだと森と思われる木々の上より少し高い位置でかなり向こう側まで見渡せれる。

「へぇー、ここってこんなに高かったのか、それにまだ上があるのか・・・。まあ、既にかなり暗いから遠くまでは見えないけど・・・?えっ、そう言えば・・・何でこの中は明るいんだ?なぁ、アクア・・・」
 アプルを食べ終え、話し掛けようと膝の上のアクアを覗き込むと、先程まで何かの歌を口ずさんでいたが、何時のまにかそれが寝息に変わっていて、コックリコックリと船を漕いでいた。

 そんなアクアの寝顔を見た途端、急に俺もなんだか眠くなってきた。
「そういえば、なんだか俺も眠くなってきたな・・・ふっわぁぁ・・・。そう言えば色々あったけど、これはホントに現実なのかな?もしかしたら夢かもしれないし、次に目を覚ましたら・・・ふぁぁぁ」

 しかし、こんなに明るかったら周りから目立つし、寝にくいんじゃ無いかと、そう思っていると優しい光に照らされていた部屋の中が、序所に暗くなって月明かりだけの状態になり、更に眠気が襲ってきた。
「なんだぁ・・・すごいなぁぁ。自然と室内が・・・すうすう・・・」

 暗くなるのを確認したのと同時くらいに、ヒビキは安らぎを感じアクアを抱いた状態で横になり深い眠りに落ちた。

 ヒビキは眠りに落ちる前に、今回は色々な事がいっぺんに起きていたので、もしかしたらすべてが夢で、次に目を覚ましたら元の自分、そう肥満体型の50歳近い自分に戻っていつもの様に仕事に行く事になると考えていた。それに、ここまでのは自分の都合のいいように見ている夢だろうとも考えていたのであった。
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