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第一幕 プロローグ
第一曲 無気力な16才
しおりを挟むほんっとーに退屈な毎日。高校に入ってからと言うもの毎日が同じ日々の繰り返し。
朝起きて、電車乗って学校行って、授業中は友達とくだらない雑談か、あとは寝てたな。放課後も特に部活も入ってなかったから、バイト行って、バイトない時はゲーセンで暇つぶし。
大人の言う『最近の若い者』を完璧に演じてた。
「翔! な~にボーっとしてんのよっ?!」
バシッと僕の肩を叩いてきたのはクラスメイトの川名玲子。
彼女とは中学からの友達で何かと俺に世話を焼いてくる。身長は150cm弱で小柄。僕からは見下ろす形になる。性格は僕に対しては好戦的と言うか何というか……ガサツなんだよな。僕は怒って玲子に怒鳴りつけた。
「いってえな!! 何すんだよ!!」
「ぽけーっとしてたから、喝を入れてあげたのよ。」
「ぽけーっと何てしてねえよっ! 考え事してただけだ!」
「それって、うわの空でぽけーっとしてるって言うんだよ!」
「何をっ?!!」
僕と玲子のいざこざに呆れたような声で、のんびりとした声がした。
「まーまー。玲子だって悪気はないのだから、怒らないで? 翔くん♪」
後ろに立っていたのは、川野玲子と同じくクラスメイトの石川直美。
天然キャラを絵に描いた様な存在で身長は玲子と同じ150cm弱。彼女は高校に入ってから知り合ったのだが、玲子と仲が良いから、その流れで俺とも良く話すようになった感じだ。
それと……胸が異常なほどに大きい。目のやり場に困るくらいだ。
「直ちゃんナイスフォロー」
玲子は直美に抱きついた。確かに直美がフォローすることによって、俺と玲子のギスギスした関係が緩和される節がある。
彼女は貴重な存在だな。中学時代は玲子からの攻撃に逃げるしかなかったのだけれど、今は何とか話せるようになった。僕が嫌がっているのが分かっていて敢えて絡んでくる玲子。正直、そんな彼女と会うことが毎日憂鬱だった。
「玲ちゃんも、もうちょっと翔くんに優しくしなよ~」
「だって、直ちゃん! 翔に優しくしたら、つけ上がるよ!」
「うるせえな! つけ上がるってなんだよ!」
売り言葉に買い言葉。全く僕の事なんだと思っているんだ!
そんな様子に慣れているかの様に直美が笑いながら割って入る。
「だーかーらぁ? 仲良くしなって! 好きな子に意地悪したくなる、むしろ愛情表現かもしれないけどさ~」
「!!」
「!!」
直美の言葉に僕と玲子は絶句した。
そんな僕たちを見て、にっこり笑う直美。天然なのか計算なのか……むしろ飼い慣らされてるのかもしれないな。
すると……教室の入口から僕たちに向かって話しかける声がした。
「なぁに? 楽しそうだね~。何してるの?」
後から登場したのが片瀬理津美。
彼女は別のクラス。僕らが3組で理津美が1組。ちなみに1組は特進クラス。簡単に言うと優等生のクラスだ。
--これでチビトリオの完成だ。
3人とも身長が150cmに届かない。彼女らが僕の後ろに立つと、振り返ったら死角に入って見えなくなるくらい。こんなこと彼女達に言ったら蹴っ飛ばされるに違いないから本人達には言えないけど。
理津美は直美とは中学からの友達で、僕と玲子は直美経由で理津美と知り合った形だ。直美程ではないが理津美も胸が大きくて目のやり場に困る女性の1人だ。
理津美からの『何してる』質問に直美が少し困った顔をする。
「んん~ちょっと戯れ言?」
「なにそれ? それよりも、今日の放課後空いてる?ブリドリのライブやるらしいんだけど見に行かな……」
「行く! 行く行く行く!!」
理津美の言葉が終える前に玲子が飛びついた。直美もぽけーとした感じで答える。
「私もいくよ~」
「玲ちゃん直ちゃんと……翔ちゃんも行く?」
理津美から誘われたが、正直バンドなんて興味がない。音楽は店のBGMで聞くくらいで十分だ。しかも素人のバンドだろ?そんなことに時間を費やしたくない。
それよりも早く帰ってゴロゴロしたい。昨日はバイトだったから疲れたと言うこともあって早く休みたいのだ。
「僕は行かな…」
「翔も行くよね!」
僕が言い終わる前に玲子が割り込んできた。
待て待て待て!
僕を巻き込まないでくれ。何時間も興味のない音楽を聴きながら座らされるなんて拷問以外の何者でもないじゃないか。勘弁してくれ。
「ちょっ! 待てって!」
「どーせ暇なんでしょ? 付き合いなさいよ!」
玲子からバシッと肩を叩かれた。
暇と言われると悔しいが否定もできない。確かに帰ってもゴロゴロするだけだ。悔しいが断る理由が無い。
『昨日のバイトで疲れている』と言っても玲子は納得するヤツではないことは分かっている。玲子を説得する労力を使うよりライブに行った方がマシだ。僕は不本意ながら放課後のライブに参加することにした。
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