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Case.04【虚ろな影】
day2.1─闇夜の人影─
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翌朝。
絢葉が教室のドアを開けると、文子と京香が勢いよく立ち上がった。
「絢葉! コレ見てコレ!」
「昨日言ってたやつ、ほんとにあったんだよ!」
二人は興奮した様子でスマホを突き出す。
画面には、SNSに投稿された短い動画。
投稿者はどうやら学校のすぐ近くに住む人のようで、夜の闇に沈む静英高校の校舎がぼんやりと映っている。
そして、確かに――。
動画の奥から、体育祭でよく耳にする軽快なBGMが、微かに聞こえてきた。
「……ほんとに、鳴ってる」
絢葉は息を呑む。
噂は、事実だった。
────
放課後。
優雅部の部室で、絢葉は史桜にその動画を見せながら報告した。
「なるほど……。いよいよ現実味を帯びてきたね」
史桜は顎に手を当て、考え込むように目を細めた。
だが昨日の話の通り、下校時刻後に起きる現象を勝手に調べるのは難しい。
「さて、どうしたものか――」
そのとき。
ノックの音とともに、部室の扉が開いた。
「入るぞ、呉宮、東雲」
現れたのは、吹奏楽部の顧問・村西先生だった。
かつて旧音楽室の件で容疑者として挙がっていた、少し気の強そうな女性教師である。
「お前たちに、依頼がある」
史桜に促され、村西は席に腰を下ろした。
「依頼、ですか?」
「そうだ。……例の“夜に鳴るBGM”の件だ。どうせ耳にはしてるんだろう」
村西は眼鏡の位置をスっと直して語る。
学校としても調査を行っているが、原因は依然不明。
そこで、かつていくつかの“厄介な件”を片づけてきた優雅部に協力を頼みに来たという。
「それに、もう一つ──」
村西は少し声を潜めた。
「最近、夜の見回りをしていた警備員が“人影”を見たらしい。校庭の端で何かが動いていたが、確認に向かった時にはもう姿が消えていた。……それが、連日だ」
絢葉は背筋が冷たくなるのを感じた。
夜の校庭。誰もいないはずの場所に現れる“影”。
「もちろん、下校後は校門を閉めている。残っている職員も限られているし、侵入者の可能性は低い筈。……だが、何なのかが分からない以上、放ってはおけん」
史桜は腕を組み、目を輝かせた。
「ほう……二重の怪異、というわけですか。
興味深い──実に、興味深い!」
新たな謎の出現に、その目は興味を隠せていない。いや、隠すつもりが毛頭無い。
「よろしい。体育祭BGMの怪異と、夜の人影。果たして両者は繋がるのか、それとも別物なのか。人為的か、“天然モノ”か──我々が暴いてみせようではないか!」
そして勢いよく絢葉へ振り返る。
「東雲君! 早速今夜から始めよう!」
「は、はいっ!」
勢いに押され、絢葉は慌てて返事をする。
村西は苦笑を浮かべ、小さくため息をついた。
「……まぁ、お前たちなら問題ないだろう。下校時刻後の調査も許可する。但し遅くなり過ぎないように。……任せたぞ」
そう言い残し、扉を閉めて去っていった。
部室には、わくわくとしたような史桜の声が響く。
「さぁ、夜の校舎探訪と洒落こもうじゃないか!」
絢葉は少しだけ不安を覚えつつも、その瞳の輝きにつられるように頷いた。
絢葉が教室のドアを開けると、文子と京香が勢いよく立ち上がった。
「絢葉! コレ見てコレ!」
「昨日言ってたやつ、ほんとにあったんだよ!」
二人は興奮した様子でスマホを突き出す。
画面には、SNSに投稿された短い動画。
投稿者はどうやら学校のすぐ近くに住む人のようで、夜の闇に沈む静英高校の校舎がぼんやりと映っている。
そして、確かに――。
動画の奥から、体育祭でよく耳にする軽快なBGMが、微かに聞こえてきた。
「……ほんとに、鳴ってる」
絢葉は息を呑む。
噂は、事実だった。
────
放課後。
優雅部の部室で、絢葉は史桜にその動画を見せながら報告した。
「なるほど……。いよいよ現実味を帯びてきたね」
史桜は顎に手を当て、考え込むように目を細めた。
だが昨日の話の通り、下校時刻後に起きる現象を勝手に調べるのは難しい。
「さて、どうしたものか――」
そのとき。
ノックの音とともに、部室の扉が開いた。
「入るぞ、呉宮、東雲」
現れたのは、吹奏楽部の顧問・村西先生だった。
かつて旧音楽室の件で容疑者として挙がっていた、少し気の強そうな女性教師である。
「お前たちに、依頼がある」
史桜に促され、村西は席に腰を下ろした。
「依頼、ですか?」
「そうだ。……例の“夜に鳴るBGM”の件だ。どうせ耳にはしてるんだろう」
村西は眼鏡の位置をスっと直して語る。
学校としても調査を行っているが、原因は依然不明。
そこで、かつていくつかの“厄介な件”を片づけてきた優雅部に協力を頼みに来たという。
「それに、もう一つ──」
村西は少し声を潜めた。
「最近、夜の見回りをしていた警備員が“人影”を見たらしい。校庭の端で何かが動いていたが、確認に向かった時にはもう姿が消えていた。……それが、連日だ」
絢葉は背筋が冷たくなるのを感じた。
夜の校庭。誰もいないはずの場所に現れる“影”。
「もちろん、下校後は校門を閉めている。残っている職員も限られているし、侵入者の可能性は低い筈。……だが、何なのかが分からない以上、放ってはおけん」
史桜は腕を組み、目を輝かせた。
「ほう……二重の怪異、というわけですか。
興味深い──実に、興味深い!」
新たな謎の出現に、その目は興味を隠せていない。いや、隠すつもりが毛頭無い。
「よろしい。体育祭BGMの怪異と、夜の人影。果たして両者は繋がるのか、それとも別物なのか。人為的か、“天然モノ”か──我々が暴いてみせようではないか!」
そして勢いよく絢葉へ振り返る。
「東雲君! 早速今夜から始めよう!」
「は、はいっ!」
勢いに押され、絢葉は慌てて返事をする。
村西は苦笑を浮かべ、小さくため息をついた。
「……まぁ、お前たちなら問題ないだろう。下校時刻後の調査も許可する。但し遅くなり過ぎないように。……任せたぞ」
そう言い残し、扉を閉めて去っていった。
部室には、わくわくとしたような史桜の声が響く。
「さぁ、夜の校舎探訪と洒落こもうじゃないか!」
絢葉は少しだけ不安を覚えつつも、その瞳の輝きにつられるように頷いた。
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