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「ぁ、ぐ……ッ、ぃ、ア、ァッ」

「ちゃんと呼吸をしろ」

「ひ、」


高級宿に備え付けてある香油は凄かった。催淫剤の他に弛緩剤でも入っているのだろうか。イーサン・ヴォンガルドはそれを惜しげも無く丸々一本使用し、そのおかげ(?)か異常な掻痒感と引き換えに、たいした痛みも裂傷もなく(呼吸が止まる程の苦しさはあった)俺の尻は子供の腕程もあるヴォンガルドの長大なブツを受け入れる事に成功したのだった。

が、そこからが地獄の始まりだった。


「ンぎ、ッ……!」

「まず俺の形を覚えろ」


いやいやいや形云々の前に、なんというか絶対に入っては駄目なところまで陰茎が侵入している。内臓が押し上げられてるような感覚に吐き気を催し、嘔吐だけは堪えようとグッと歯を食いしばる。


ドチュン、ドチュンッ


普通のセックスじゃ聞くことのないような激しい抽出音と共に、俺の身体を何度目か分からない激しい痙攣が襲う。呼吸もうまく出来なくて鼻水と涎をダラダラ垂らしながらひんひんと泣く哀れな俺を見下ろしながら、それでも手加減してやろうという気持ちはイーサン・ヴォンガルドには生まれないらしい。


「堅物そうな面してる割に穴の具合は素直なもんだな。俺のブツが全部入るなんて中々ねェ。お前案外こっちの才能あるぜ?」


意識朦朧とする俺の髪を引っ張りイーサン・ヴォンガルドが腹の中を更に抉る。やめろ吐きそうだ。だがそれを口にする気力は残っていない。

ほぼ死に掛けの俺を相手にイーサン・ヴォンガルドの息子は全然萎える気配がない。それどころか、もう何も出なくなった俺の陰茎をグジュグジュと扱きながらより一層激しく腰を律動させる。

死ぬ死ぬ死ぬ……!!

あまりの衝撃にフッと意識が遠退くが、その度に乳首を抓られて意識を引き戻される。


「ひぎ…ッ、痛!いたいぃ、…」

「嘘を吐くな。乳首を弄るとナカが嬉しそうに締まる」

「ッ、痛いけェちゃ……!!」

「……どこの田舎出身だか知らねェが、悪くねェな」


グッと引き起こされて自重で更にイーサン・ヴォンガルドの陰茎が深いところまで入り込む。それと同時に真っ赤に腫れた乳首をねっとりと舐られて俺は大きく仰け反った。


「ッッッ……!!!」


もう何も出ないと思っていた陰茎からプシュッと透明な液が噴き出て俺は声も出せないままにイッていた。


「ほら見ろ、潮吹く程悦んでいるじゃねェか」

「ァ、ぁ、ひ…、」

「オイ、寝るな」

「ンむ、」


デカイ口で食われるみたいに唇を塞がれて、どういうわけだか腹のナカがうねるのが自分でもわかった。イーサン・ヴォンガルドが喉の奥で嗤う。だが悔しさよりも快感が勝る。ヌルリと無意識にヴォンガルドの舌に己の舌を絡ませれば、ご褒美とばかりに頭を撫でられてとろとろと身体が更に蕩けていく。


「金はお前にやるよ。その代わり俺が好きな時に突っ込ませろ」


獰猛な眼で見据えられて背筋がゾクゾクと戦慄いた。

再びのし掛かられて嵐のような猛攻が始まる。気分は海に投げ出された難破船である。自分が今どんな体勢でいるのか、どんな顔をして何を口走っているのか、途中から何にもわからなくなり、再び気付いた時には全てが終わった後だった。



◇◇◇



寒い。寒くて死んでしまう。

手足が痺れる程の寒気にゆっくりと目を開いた途端、酷い身体の痛みに襲われ顔をしかめる。

体調は概ね最悪だった。頭はガンガンと痛み、下半身は鉛のように重い。幸いだったのは部屋に一人きりだったことだ。一人きり、というかバスルームから水音がするから正確には一人ではないが。だが逃げ出すチャンスは今しかない。

服と共に無造作に床に投げ出された金貨の入った麻袋を見て昨日の記憶がまざまざと蘇る。

震える手で麻袋を拾い上げ、わかりやすくベッドの中央に置き俺はそのまま這うように宿舎を後にした。


ガクガクと震える脚を叱咤しながら小走りで早朝の街を駆ける。腰が痛い、尻が痛い、気持ちが悪い。


「うッ、」


途中何度か道端に嘔吐して、やっと家に帰った頃には既に出勤時間になっていた。

本音を言うと休みたいが一日分の給金がなくなるのは惜しい。俺は金と静養を天秤に掛けた末、歯を食いしばりながら何とか身体だけは水で流し、気力だけでそのまま職場へ向かったのだった。



「お前大丈夫か?顔真っ白だぞ」

「ただの飲み過ぎだ。体調には問題ない」

「お前が大丈夫だって言うなら深く聞かないけど。これ、お前が受諾した物品購入書類、申請者のサインが抜けてるけど体調悪いなら俺が代わりに貰って来てやろうか?」

「……すまん。直ぐに行ってくる」


何という凡ミスをしてるんだろうか。自分自身に呆れながら受け取った書類の申請部署を見れば、よりによって武官の事務管轄だった。

昨夜の衝撃で忘れて、否なかったことにしようとしていたが俺は窃盗の犯罪者なのだ。

普通に出勤してしまったが、本来なら直ぐ様出頭し罰を受けなければならない人間だ。だけどどうしてもそこまで思い切ることが出来ない。自分がここまで卑劣で卑怯な人間だったとは思わなかった。


武官からの申請書類とはいえ騎士連中は所属地が違うため昨日の今日で奴・に出会う事はない。はずなのだが。


俺は目の前から歩いて来た威風堂々たる男の姿を認識した瞬間、うっかり呼吸が止まりそうになった。

俺が気付いて相手が気付かないわけがない。逃げる隙も与えられず、無言で距離を詰められ一瞬で廊下の角まで追い詰められた。

心臓がドクドクと早鐘を打つ。恐怖から身体はガタガタ震えてとてもじゃないが顔を上げることが出来ない。


「丁度良かった。お前に忘れ物を届けに行こうと思っていた」


そうして男、イーサン・ヴォンガルドが差し出したのは、俺がわざわざベッドの上に置いて来た大量の金貨が入った麻袋だった。




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