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普通に幸せな未来を願って
しおりを挟む千九百四十五年、八月六日、当時十歳。
朝の七時頃、畑仕事を終わらせた私達の朝ご飯はサツマイモだった。
この時はサツマイモが普及しており、皆が主食としてサツマイモを食べていたのだ。
私達はサツマイモを片手に木陰に座ると、二人で話しながらそれを食べた。
―――
「やすちゃん。やっぱりサツマイモ、わや不味いのお」
「ほうじゃのお……じゃが腹がふくれるけ、なんぼう不味うても食わにゃいけん」
「ほうじゃのお……こがいなわやいびせー生活しんどいけぇ、早う元の生活に戻って欲しいのお」
うちの口から零れたのは願いだった。
今の様な苦しい生活ではない普通の生活を送るのだと。
そんな幸せをうち達は夢見ていた。
「そりゃあ、わやええのお。うち達のにがるしわみも、みてるとええのお……」
―――
私達は青空を見上げていた。
我が帝国が戦争に勝てば……。
──死んで逝った家族も報われる。
──死んで逝った同胞も報われる。
──もう、不味いイモを食べなくて済む。
──もう、寒い生活を送らなくても済む。
そんなことを、ただ呆然と願っていた。
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