男子校の姫は生徒会長に愛される

土方 椿姫

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―11 浅葱の優しさ―

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―朝比奈病院。
「……睦月君…このままじゃ、君は本当に壊れてしまう…
肉体的にも精神的にも…」
「………大丈夫ですよ、おじさん」
睦月は手当てを終えて長門と話しをしていた。
「いつだって、警察には言えるんだよ?」
「……大丈夫です」
椅子から立ち上がる。
「睦月君……」
「……―あ、今の睡眠薬、ちょっと効かなくなってきてるんです。もう少し強いのありますか?」
「あれより強いものは薬事法違反になるから病院では取り扱っていない。
…今、飲んでるのは1錠だよね。
2錠にしてみなさい。出しておくから。
受け付けで貰ってから帰りなさい」
「ありがとうございます」
頭を下げ、診察室を出て行く。
受け付けに向かい、薬を貰って家に帰る。

―神崎家。
(……飲んで寝るか。父さんがいないうちに…)
自分の部屋に入った睦月は寝巻きに着替え、貰った睡眠薬を飲み、ベッドに入る。
誠に抱かれ出した中学の時から睡眠薬と精神安定剤は常用している。
精神安定剤はごくたまにしか飲まないが、誠に抱かれず普通に眠れる時は睡眠薬を飲まないと、眠れないようになっていた。
(…………眠い……効いてきた……)
眠りに落ちる睦月。
翌朝までぐっすり眠った。

―翌朝。
「………―ん……今、何時…」
目を覚ました睦月。枕元に置いてあるスマホで時刻を確かめる。
「……9時……よく寝た……ん?」
机の上にノートが置いてあるのに気が付く。
「……大和…来たのか」
そのとき、チャイムが鳴る。
「……誰だ?」
カーディガンを羽織り、部屋を出て階段を降りる。
「……はーい、どなたですか?」
インターホンの画面を見る。
「……―睦月君だね?」
「………―浅葱先輩!?」
「門を開けてくれるかい?
君が心配で…」
「……分かりました」
門を開ける。
「ありがとう」
玄関に向かう。
睦月が玄関を開けると私服姿の浅葱が歩いて来た。
「………先輩、学院は…」
「睦月君が心配。体調悪いか」
「……少し……あ、入ってください」
「お邪魔します。
………睦月君、1人?」
「はい……」
「広い家なのに、誰もいないのか?」
「………父が、他人が家に入るのは嫌いで…」
「………なるほど。……っと」
睦月を抱き上げる。
「ちょっ……先輩!?」
「顔色悪い。部屋何処?」
「……2階。階段上がって左です…」
部屋に連れて行き、ベッドに運ぶ。
「……睦月君…」
椅子を置き、ベッドの横に座る。
「……先輩…なんで家が……」
「聞いた」
「……そうですか…」
「………睦月君…」
薬が目に入る。
「………先輩、俺は大丈夫です」
「……俺には話せない?」
「…………ごめんなさい」
「………いーよ」
睦月の頭を撫でる。
「睦月君が話したくなったら話してくれれば。
今は、ただ、傍にいさせて」
「………はい…」
「睡眠薬飲んでるのか」
「……飲まないと眠れないんです…」
「じゃあ、俺が傍にいるから…安心して寝なよ」
睦月を寝かせる。
「………―」
目を閉じる。そんな睦月の頭をずっと優しく撫でていた浅葱。
睦月は久しぶりに睡眠薬なしで眠れた―
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