男子校の姫は生徒会長に愛される

土方 椿姫

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―12 大和の想い―

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―昼過ぎ。
「………ん…?」
睦月が目を覚ます。
「あ、起きた?よく寝てたね」
いつの間にか添い寝をしていた浅葱。
「なにしてるんですか!?」
「添い寝。
……お腹空いてない?」
起き上がる浅葱。
「食べたくないです…」
「食べないと駄目だよー。俺が作ろうか。
たまに作るんだよ」
「そんなっ……申し訳ないですから!!」
「……分かった、じゃあ、今度ね。
それと、勝手にやってすまないが、携帯に俺のLINEと番号追加しといた。
連絡取れないと不便だろ?」
スマホを手に取り確かめる。
「…これですか」
画面を見せる。
LINEの画面で[水無瀬浅葱]と表示されている。
「そう。それ。なんか送ってよ。
いつでもいいから」
「……分かりました」
そのとき、浅葱のスマホが鳴る。
「……ごめん。
……どうした、優斗。
………分かった」
電話を切る。
「……弟から呼び出しだ。
名残惜しいが帰るよ」
立ち上がる浅葱。
「…………睦月君?」
睦月は無意識に浅葱の腕を掴む。
「(俺、なにやって…)すいません!!」
慌てて手を離す。
「………―」
睦月に優しいキスをした浅葱。
「……ん…っ…」
すぐ唇を離す。
「また明日、来るよ。
ゆっくり休んでね」
部屋を出て帰って行く。

―数時間後。
「……―睦月、調子どう?」
大和が部屋に入って来た。
「……ん…」
眠っていた睦月は目を覚ます。
「起こした?」
「……いや……何時、今…」
「16時過ぎた。
なんか食べる?作るよ」
「………食欲ねぇ…」
「………睦月…俺さ…」
「なんだよ……んっ…」
睦月の唇を奪う大和。
「………睦月が心配なんだ…
俺…お前のこと本気だから…」
「………っ……俺は…」
「…………会長だろ?
………分かってる。
でも、俺は………」
「………大和……お前の気持ちは嬉しいよ」
「だったら…」
「…………」
「………会長のこと好きなのか?」
「………分からねぇ…」
「………もし、会長を選ぶなら、俺は応援するよ。
……でもね?
お前のいちばんの味方は俺だよ。
じゃあ、ゆっくり休んで。
また明日ね」
睦月の頭をくしゃっと撫でると部屋を出る大和。
「………大和……俺は……―」
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