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再会
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もし、叶うなら彼には会いたくなかった。
小学生低学年時代に出会った伊集院灯弥くんは憧れのαだった。
僕もαだけど何かが違う、求められているもの、強い意志、そんなキラキラとした存在。
だから傍にいたい。彼の元に……。
「坊ちゃま、そろそろ」
「じゃぁまた今度な!! 絶対に忘れんなよ」
そう言って彼は遠くの地に行ってしまった。涙なんて流さない。君の笑顔を忘れない……。
8年後、僕は高校2年生になった。
鳳凰高校、輝かしいαのみが通っている学校、その中で僕は優秀な生徒として生徒会長に選ばれた。
そして、君と再会する。
「うわぁっと……綺麗な顔だな、いや……なんか知っている気がするぞ」
初対面で話しかけられそう呟かれた。同じくらいの身長にはっきりとした男の顔。
「あーそうだ! 名前、俺転校生の伊集院灯弥っつんだ、よろしくな」
「伊集院灯弥……」
ボソっと僕は名前を呟いていた。忘れたい。忘れたくない。昔出会った眩しすぎる彼、思わず瞬きを繰り返していると彼は口を開いた。
「あ! 思い出した、お前白玖だろ」
そう名前を呼ばれ驚いた顔を表に出す。もう僕の中ではこの人の名前を知っている、立派に成長している彼に少しきゅんとしてしまう、自分が恥ずかしい。
「白玖、俺はお前に会えて嬉しいぞ」
そう素直に聞こえる。懐かしい元気な声。
だけど、僕はもう君が知っているような人間ではない。
「えっと……僕は九条白玖、もしかしたら人違いかもしれないよ、たしかこの学校に〈はく〉は数人いるから」
「えーそうなのか? でも俺はお前が知っている人だと思うけどな、まぁよろしく!!」
肩に触れられる、懐かしい感覚。でもあの頃の僕にはもう戻れないから。
「君、転校生って言っていたよね、先生が君のことを探していたから連絡するね」
「あーサンキュ!」
先生に連絡を終え、職員室に彼を届けた。きっとこれで最後。会わないようにすればいい、そんなこと簡単なことだ。
「白玖……」
僕に抱きついてきた男は僕を空き教室に連れて行く。
「抱くぞ」
「今お父様が契約中じゃないの?」
「知ったことか、お前だって抱かれたくて仕方ないんだろ」
そう勝手に決めつけてくれる。Ωでもない、僕をどうして抱くのだろうか。
甘くも美味しくもないただの陶器を。
性器が秘部につけられ押し込まれる。Ωじゃない、もっとゆっくり身を開いてくれ、そんなこと言える立場に僕はいない。無理に抱かれ、秘部に傷がつく。
カチャカチャとズボンを履き、男はこちらに札を散らした。
「今日のご褒美だ」
嬉しくない。でも僕はこれしかできないから、床に座り込みながら札を集めた。
笑顔で彼を見送る。教室のドアはピシャっとしめられ、服を着て出ようとすると思わぬ男がそこにいた。
小学生低学年時代に出会った伊集院灯弥くんは憧れのαだった。
僕もαだけど何かが違う、求められているもの、強い意志、そんなキラキラとした存在。
だから傍にいたい。彼の元に……。
「坊ちゃま、そろそろ」
「じゃぁまた今度な!! 絶対に忘れんなよ」
そう言って彼は遠くの地に行ってしまった。涙なんて流さない。君の笑顔を忘れない……。
8年後、僕は高校2年生になった。
鳳凰高校、輝かしいαのみが通っている学校、その中で僕は優秀な生徒として生徒会長に選ばれた。
そして、君と再会する。
「うわぁっと……綺麗な顔だな、いや……なんか知っている気がするぞ」
初対面で話しかけられそう呟かれた。同じくらいの身長にはっきりとした男の顔。
「あーそうだ! 名前、俺転校生の伊集院灯弥っつんだ、よろしくな」
「伊集院灯弥……」
ボソっと僕は名前を呟いていた。忘れたい。忘れたくない。昔出会った眩しすぎる彼、思わず瞬きを繰り返していると彼は口を開いた。
「あ! 思い出した、お前白玖だろ」
そう名前を呼ばれ驚いた顔を表に出す。もう僕の中ではこの人の名前を知っている、立派に成長している彼に少しきゅんとしてしまう、自分が恥ずかしい。
「白玖、俺はお前に会えて嬉しいぞ」
そう素直に聞こえる。懐かしい元気な声。
だけど、僕はもう君が知っているような人間ではない。
「えっと……僕は九条白玖、もしかしたら人違いかもしれないよ、たしかこの学校に〈はく〉は数人いるから」
「えーそうなのか? でも俺はお前が知っている人だと思うけどな、まぁよろしく!!」
肩に触れられる、懐かしい感覚。でもあの頃の僕にはもう戻れないから。
「君、転校生って言っていたよね、先生が君のことを探していたから連絡するね」
「あーサンキュ!」
先生に連絡を終え、職員室に彼を届けた。きっとこれで最後。会わないようにすればいい、そんなこと簡単なことだ。
「白玖……」
僕に抱きついてきた男は僕を空き教室に連れて行く。
「抱くぞ」
「今お父様が契約中じゃないの?」
「知ったことか、お前だって抱かれたくて仕方ないんだろ」
そう勝手に決めつけてくれる。Ωでもない、僕をどうして抱くのだろうか。
甘くも美味しくもないただの陶器を。
性器が秘部につけられ押し込まれる。Ωじゃない、もっとゆっくり身を開いてくれ、そんなこと言える立場に僕はいない。無理に抱かれ、秘部に傷がつく。
カチャカチャとズボンを履き、男はこちらに札を散らした。
「今日のご褒美だ」
嬉しくない。でも僕はこれしかできないから、床に座り込みながら札を集めた。
笑顔で彼を見送る。教室のドアはピシャっとしめられ、服を着て出ようとすると思わぬ男がそこにいた。
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