【J庭59出店】義父の檻で咲く虚妄のα ~試し読み~ 

枝浬菰文庫

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見ないで

思わぬ男がそこにいた。


「あーわりぃ、お前がこっちのほう行くの見えたから、付いてきちまった……」
「そう、見ていたなら分かるでしょう」

冷たくあしらう。これが僕の今の生活だ。
それでも彼に腕を引っ張られた。いったいなんのつもりなのか。

「お前、嫌じゃないのかよ、俺達はαだぞ、こんなΩがするような行為……」



「Ωがするような行為? なんのことか分からない」
手を振り払い外へと向かう。


「白玖様、お迎えにあがりました」
「うん、ありがとう」


車内に入り、この後のスケジュールを共有される。
義父から言われた言葉は僕の心に大きな傷を与えた。


「いいか、お前は私の息子ではない、だがお前には利用価値がある、ここにいたいのであれば私の言うことは絶対だ、分かったな」


あの時僕に身寄りなんてなかった、母親は他界、もしくはどこか遠くへ行ってしまったのか、、残された僕にとって義父の命令は絶対的なものになった。


「白玖様、先ほどの転校生ですが白玖様の行為を見られてしまいましたね」
「他言されたところでどうにもならないでしょう、それよりも今日のスケジュールは?」


「21時に阿久津様がいらっしゃいます、商談が終わり次第とはおっしゃっていましたが」
「分かりました、それまでに準備を終わらせておきます」


「白玖様」
「他になにか?」

静まりきった車内に外の音は聞こえない。それよりも僕の従者である、早乙女さおとめは不思議な顔をしていた。


「なに?」


小さい頃から世話になっている早乙女はきっと伊集院灯弥のことに気がついている。だからといってどうしたらいいんだ。あの頃に戻りたいなんて言えるわけないだろ。



「いえ、クマができているようで、21時までお休みになられてはと思いまして」
「……ありがとう、そうする。21時前に呼びに来てくれ」


「かしこまりました」




家につき、身を清める。薄いシャツを着て、ベッドに横になる。天井を見上げあの懐かしい陽だまりのような顔を思い出し、目を隠す。


戻りたい、戻れたら嬉しい、そんな言葉義父の前では吐くことはできない。きっともっと接待をさせられる。
学校に行ける時間だけが自由……。

でもないか、いつも盗聴され、監視されている僕にとって自由はないのだから。



21時手前で早乙女は来た。


「阿久津様がお待ちです」
「はい」


部屋につくとノックをし、モア化したΩがいた。
「あっ……阿久津様どういうことですか?」


「あーとても美味な匂いだろ、裏社会でΩを引き取ったんだ」
そう説明しながらネックを外し、それが床に落ちる。
「あっ……」


「白玖みたいな美人に一度でいいからこのΩも抱かれてみたい。私はとてもいい人だろ」
「……くっ…」
まとわりつくような香り、早く欲しい。ダメだ。脳みそが沸騰する。早く、このΩを食べたい。


「はぁ……はぁ……」
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