クロネコ

枝浬菰文庫

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ふられた人

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パシン!!
レストランの1角で甲高い音がした。
あぁ、俺はまた相手に嫌な思いをさせてしまった·····。

彼女はそのまま店を出ていき俺は途方に立ちくれていた。

「あっ、えっとお客様大丈夫でしょうか?」
と一部始終を見ていたウエイトレスに声をかけられた。

軽く会釈して「あぁ大丈夫だよ」

「そうですか、あのこんなことを言うのもあれですけど·····ディナーの準備をしてもよろしいでしょうか?」

「そうだね、1人前を頼もう」

カチャカチャとフォークとナイフを運び1人ディナーを食する。

このレストランは数ヶ月待ちで予約できた店でここで彼女のご機嫌とり、いや、楽しい時間を過ごす予定だった。

だが今日の朝、張り込んでいたメンバーに動きがあり合流をしてほしいと言われてしまい、昼までの仕事をディナー約束の時間に被ることになってしまった。

「はぁー·····」
今日は告白しようとしていたのになんて日なんだ·····。

スパークリングワインを飲む。

カチャと目の前に置かれるデザートそこに書かれていたのは
【元気だしてください】とウエイトレスはにこっと笑っていた。

「これは、君が?」
「はい、事情を話したら料理長が書いてくださいました」

「じ·····事情とは·····どんな風にだい?」

「あ、えっと落ち込んでる方がいて少しでも元気になってほしいなって話しただけです、すみません余計なことをしてしまって」
と慌てるウエイトレス。

「ぶふっ、ありがとう、少し元気でた」 

「それはよかったです」
花が咲いたような笑顔になった、男のウエイトレスに不思議な力を感じた。

ドキっ! はっ俺はなんてことを感じてしまったんだ。

お会計は2人分で予約していたのに1人分で良いと言ってくれたウエイトレス·····。
上の立場なのか分からないが、良い人だった。

そして笑顔が堪んない。
レストランの外に出て現実を見る、はぁー。

俺が悪いけど1人で帰るか。


次の日

車で出勤すると目の前を歩いていく男、じーっと見ると職場に入っていた。

はい?


慌てて降り門番に確認をする。
「今カード見せて入ったか?」

「え、はい瀬谷さんですよね」

「? 瀬谷?」

瀬谷というのは俺の直属の部下で普通に昨日まで話をしていた。
いやいや、あれは昨日のウエイトレスだろ!!
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