予約がとれない男娼

行方不明

警察署に行って事情聴取して浩輔と合流して家についた。
「本当に大変でしたね」
「ああ、もう疲れたよ、柚月に早く帰るって言っておいたのに嘘になっちゃったな……」

「連絡いただければ俺が先に帰ったのに」
「うん、連絡したかったんだけど、スマホ弄るの禁止だったからさ」

「そうでしたか」
パスワードを解除して家の中に入るとなにやら争った形跡が見られた。

「ちょっなに！？　泥棒！！？」


「いや、泥棒って言っても簡単に入れるはずがない」

プルルルル　プルルルルと電話が鳴った。

「浩輔、柚月いるか確認して」
「はい」


受話器を取った。
『お久しぶりです、蒼士様、貴族制度が変わりまして今すぐにでもイギリスにお越しください』
『は？　貴族制度の案内なんて一度も来たことありませんが……』
『ええ、これはさきほど決定したことですので』

……。なにどういうこと？？

『案内人として赤間あかまという者がお迎えに上がりますのでよろしくお願いいたします』
『え、分かりました』


「ちょっと蒼士さん柚月くんいませんよ！！？」

「は？　いないって」

ピンポーン

「ちょっとごめん浩輔出て」
「はい」

ベッドルームに行くと争った形跡があった。
「これ」

白い液体がシーツの上に散乱していた。


「蒼士様　お迎えに上がりました、赤間でございます」
「いや、待ってこれ誘拐事件だから」

「異論は聞かぬようにというご命令です」
「命令……誰の？」


「奥様のです」

「……母がなんで」

「飛行機の時間まで迫っております、急いでください」

強引に私たちは日本を発った。


柚月はいったいどこにいるんだ。
心配でしょうがない、浩輔もいるってことは全員集合しなければいけないということなのか。

母が出てきたってことはすでに私と柚月の関係も知られているのであろう。

無事でいてほしい……。
ただただ願うばかりだ。

第一章　完